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随分長くご無沙汰していたので、いささか億劫であるが、詩の訳に再度挑戦することとした。私が登録している「今日の詩」が追ってきたフロストの詩である。以前に訳して記憶がある。改めて読み直すと、テルツァ・チーマ(Terza rima, 三韻句法)であり、14行詩であり、五歩格・弱強格であるようだ。イタリア語ならともかく英語ではきわめて難しいとされる詩形で、フロストが見事に書き上げた。 今回の訳詩でOne luminary clock を「月」と訳してみた。情景は雨の中の孤独な散歩であるから「光る時計台」の方が論理的である。しかし論理的に突き詰めると不自然な詩はいくらでもある。時計ではなく夜を支配する「月」にどうしてもしたかったのである。 Acquainted with the night I have been one acquainted with the night. I have walked out in rain - and back in rain. I have outwalked the furthest city light. I have looked down the saddest city lane. I have passed by the watchman on his beat And dropped my eyes, unwilling to explain. I have stood still and stopped the sound of feet When far away an interrupted cry Came over houses from another street, But not to call me back or say good-bye; And further still at an unearthly height, One luminary clock against the sky Proclaimed the time was neither wrong nor right. I have been one acquainted with the night. Frost 夜と馴染み 僕は一人夜に馴染んでいた。 雨に出かけ、戻るときも雨。 歩いて街の灯もはるか遠く。 僕は侘しい路を見下ろした。 当直の夜警に伏目で通った。 話をするのも億劫だった。 僕は止まり、じっとすると 一本向こうの道路の家から 途切れた叫び声が聞こえた。 僕を呼び止めるのではない。 そして地上より遥か高く 空に映えて輝く時計は黙し 時刻が正確か否かを語らぬ。 僕は一人夜に馴染んでいた。 フロスト
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桜と日本人ですね。なぜか、三島由紀夫を思...



