ヘ短調作品34

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夜と馴染み

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随分長くご無沙汰していたので、いささか億劫であるが、詩の訳に再度挑戦することとした。私が登録している「今日の詩」が追ってきたフロストの詩である。以前に訳して記憶がある。改めて読み直すと、テルツァ・チーマ(Terza rima, 三韻句法)であり、14行詩であり、五歩格・弱強格であるようだ。イタリア語ならともかく英語ではきわめて難しいとされる詩形で、フロストが見事に書き上げた。

今回の訳詩でOne luminary clock を「月」と訳してみた。情景は雨の中の孤独な散歩であるから「光る時計台」の方が論理的である。しかし論理的に突き詰めると不自然な詩はいくらでもある。時計ではなく夜を支配する「月」にどうしてもしたかったのである。

Acquainted with the night

I have been one acquainted with the night.
I have walked out in rain - and back in rain.
I have outwalked the furthest city light.

I have looked down the saddest city lane.
I have passed by the watchman on his beat
And dropped my eyes, unwilling to explain.

I have stood still and stopped the sound of feet
When far away an interrupted cry
Came over houses from another street,

But not to call me back or say good-bye;
And further still at an unearthly height,
One luminary clock against the sky

Proclaimed the time was neither wrong nor right.
I have been one acquainted with the night.

Frost


夜と馴染み

僕は一人夜に馴染んでいた。
雨に出かけ、戻るときも雨。
歩いて街の灯もはるか遠く。

僕は侘しい路を見下ろした。
当直の夜警に伏目で通った。
話をするのも億劫だった。

僕は止まり、じっとすると
一本向こうの道路の家から
途切れた叫び声が聞こえた。

僕を呼び止めるのではない。
そして地上より遥か高く
空に映えて輝く時計は黙し

時刻が正確か否かを語らぬ。
僕は一人夜に馴染んでいた。

フロスト

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