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そもそも Qua Cursum Ventus という原題からしてラテン語である。オックスフォードの学生には自然なのだろうが、ラテン語の素養のない私はさっぱり自信がなかった。また韻律を重視して、単語の配列が私の知識と食い違い、戸惑う箇所があった。この詩の韻律を検討してみると弱強格を意識していたらしい。そうすると納得できる言葉の配列があり、語義があった。 幸い注釈を見つけた。1849年にロンドンで出版された詩集にあるという。注釈によれば、原題はほぼ「風が吹くと」と訳してよかろうとのこと。オックスフォードで風が吹き荒れたことを指す。オックスフォード大学の学園紛争で、多くの学生の長年の友情が破綻した。詳しくはないが、いわゆるオックスフォード運動である。イギリス国教会の神学上の問題で争ったそうで学生は大変だったろう。この事件を船団の航海に喩えた詩である。 みな仲良くし、同じ理想を抱いていた。これは船団の航海である。暗闇の中コンパスと自分の信念でひたすら進航し、いつの間にか船は仲間とはぐれてしまう。詩人は、最後に船が大海原で再会することは無理だとしても、無事に帰港できるよう、風と海に託して結んでいる。 Qua Cursum Ventus As ships, becalmed at eve, that lay With canvas drooping, side by side, Two towers of sail at dawn of day Are scarce long leagues apart descried; When fell the night, upsprung the breeze, And all the darkling hours they plied, Nor dreamt but each the self-same seas By each was cleaving, side by side: Even so--but why the tale reveal Of those whom, year by year unchanged, Brief absence joined anew, to feel, Astounded, soul from soul estranged? At dead of night their sails were filled, And onward each rejoicing steered-- Ah, neither blame, for neither will'd, Or wist, what first with dawn appeared! To veer, how vain! On, onward strain, Brave barks! In light, in darkness too, Through winds and tides one compass guides-- To that, and your own selves, be true. But O blithe breeze! and O great seas, Though ne'er, that earliest parting past, On your wide plain they join again, Together lead them home at last. One port, methought, alike they sought, One purpose hold where'er they fare,-- O bounding breeze, O rushing seas! At last, at last, unite them there! Arthur Hugh Clough 風が吹くとき 夕暮れの凪で止まり 帆を垂らした船団のよう 夜明けに二艘の帆船が 遠く離れるのは稀だった。 夜になり、風が沸き起こり 暗闇の時間に進んだ時は みな同じ海を行くつもり 船団組んで波を切った。 それにしても、一体あの作り話は! いつもと変わらず、わずかの間 顔を会わさないと、仰天して 互いに不仲になる人たちのお話は! 漆黒の闇夜に帆は膨らみ 大喜びで前進の舵取りをした― 夜明けにどの船が先に着くか 分からず、望みでもなかった! 方向を変える?前に進むのだ 勇気を出せ!明るくても暗くても 唯一のコンパスが風と潮を乗り越え― コンパスと自分自身に忠実であれ。 ああ、楽しい風よ!大いなる海よ! 決別を乗り越えて大海原で再会する それはとてもありえないが どうかみなを家に戻しておくれ。 仲間が一致して一つの港を求めた 仲間が暮らすところ、誠実な一つの目標― ああ、心弾む風よ、心勇む海よ! 最後には、最後には、仲間を結び付けておくれ! アーサー・ヒュー・クラッフ
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アーサー・クラッフ
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アーノルドの「ドーヴァー・ビーチ」、The Sea of Faith 以下の暗い状況、特にドーヴァーの最後の2行の confused alarms of struggle and flight と ignorant armies clash とはこの神学上の対立を表しているのでしょうか。
クラッフの貧しい農民、労働者を歌った詩「考え直してみるのだ」には、社会主義的傾向はあまり感じられませんでしたが、社会主義的思想の持ち主だったのでしょうか。
2009/3/5(木) 午後 2:39 [ otheR wind ]
一度私も整理して見なくてはなりません。「ドーヴァーの海岸」について何も知りませんでしたが、山ほど評論があるようです。一度目を通します。この作品が書かれた時とその前にあった事件、つまり1848年のフランスの騒動など前後関係を調べて見ます。
2009/3/5(木) 午後 2:59 [ fminorop34 ]
Socialism だか socialist という言葉をクラッフの評論で見かけました。我々が考える「社会主義」とは違うかもしれません。一応OEDでこの言葉が使われ始めた年代を調べてきます。
2009/3/5(木) 午後 3:03 [ fminorop34 ]
この言葉がイギリスで使われた起源ははっきりしないそうです。13世紀に使った人がいるようですが、個人主義と対照的な言葉としてであり、以前のブリタニカではロバート・オーエンが1835年に社会を論じたときに始まるそうです。一応教会が忌み嫌う意味で使われたのはこの頃です。OEDにも用例があります。ですから19世紀イギリスに戻って「社会主義」を考えなければいけないのではないでしょうか。
2009/3/5(木) 午後 3:17 [ fminorop34 ]
OEDの用例です。
1839 J. Mather (title)To explain and expose what Robert Owen's Socialism is.
1840 Quart. Rev. Dec. 180 The two great demons in morals and politics, Socialism and Chartism.
1850 Daily News 13 Mar. 5/2 The infection of<><oq>Christian Socialism' is spreading to Whitehall.
2009/3/5(木) 午後 3:26 [ fminorop34 ]
1863 Fawcett Polit. Econ. ii. i. 181 Socialism, as first propounded by Owen and Fourier, proposed that a society living together should share all the wealth produced.
1881 Stevenson Virg. Puerisque 89, I do not greatly pride myself on having outlived my belief in the fairy tales of Socialism.
2009/3/5(木) 午後 3:26 [ fminorop34 ]
Socialist については
1827 Co-operative Magazine Nov. 509 The chief question<>between the modern,<>Political Economists, and the Communionists or Socialists, is whether it is more beneficial that this capital should be individual or in common.
1833 Poor Man's Guardian 24 Aug. 275/2 [Letter signed] A Socialist.
1833 The Crisis 31 Aug. 276/1 The Socialist, who preaches of community of goods, abolition of crime, of punishment, of magistrates, and of marriage.
2009/3/5(木) 午後 3:28 [ fminorop34 ]
すみません一向にピンときません。この言葉が使われ始めたのとクラッフが騒乱に巻き込まれたのとほぼ同じ時代の言葉です。
2009/3/5(木) 午後 3:30 [ fminorop34 ]
お調べいただいてありがとうございます。
アーノルドの詩は1867年の「新詩集」に収められていて、創作年代はわかっていないとのことですね。
ヴィクトリア時代の当時は宗教の対立混乱があったようですね。
2009/3/5(木) 午後 3:49 [ otheR wind ]
二人ともオックスフォードに在学していましたからオックスフォード運動(革新運動だか復古運動?)と無縁ではないと思います。クラッフはこれに幻滅したとあります。彼は1848年のフランスの革命の時にパリに偶々行っており興奮しています。また共産党宣言がでたのもこの年です。という事は今の社会主義と同じような意味で使われたのですね。もう一度クラッフの伝記を読んでみます。
2009/3/5(木) 午後 4:01 [ fminorop34 ]