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「アーツ&クラフツ展―ウィリアム・モリスから民芸」を見てきた。私はウィリアム・モリス William Morris(1834-1896)の盟友であるジョン・ラスキン John Ruskin (1819-1900)の「ヴェニスの石」の圧縮版を読んだことはあるが、モリス自身についてはほとんど知らない。ルネッサンス以降の偉大な芸術家の作品よりも名もなき職人たちの仕事に感銘を受けるという彼らの主張は理解できる。また近代的生産様式により失われつつある職人の作品に価値を見出したのも理解できる。今回も世界の民芸品の展示があり、それなりに興味深かった。とくにフィンランドの工芸家の野性的な土器が私の記憶に残っている。 肝心のモリスの作品は私には面白くないのである。またバーン・ジョーンズBurne-Jones(1833 –1898)には元々興味がなかった。モリスの音頭の下で製作されたイギリスの職人の工芸品も展示された物に限れば、正直つまらなかった。また職人の工芸品は結局、文化を破壊し、近代的生産様式で財をなした資本家の収集品になる。その皮肉な運命はともかくとして、私が興味を抱くのはカール・マルクスに傾倒した「社会主義者モリス」の主張とその時代背景である。今後意識して彼の著作を読むようにしよう。 一際目立つ、紛れもないモリスの装飾画「果樹園」に文字が書き込まれている。人物と字体は明らかに中世回帰である。今回は絵をそっちのけにして、彼のロマンティックな主張を書いた詩を解読するのに時間を費やしたという次第。 上の写真は今回展示されたものの最初の部分である。以下の詩の第一詩節に対応している。 The Orchard Midst bitten mead and acre shorn, The world without is waste and worn, But here within our orchard-close, The guerdon of its labour shows. O valiant Earth, O happy year That mocks the threat of winter near, And hangs aloft from tree to tree The banners of the Spring to be. William Morris(1834-1896) 果樹園 傷ついた牧場と畑は刈り取られ 外の世界は荒れ果てているが ここ果樹園のあたりには 目に見える労働の報酬。 勇ましき大地!幸運の年 冬の接近をものともせず 樹々に吊るされるは 来るべき春の旗じるし。 ウィリアム・モリス(1834-1896)
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モリス
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