ヘ短調作品34

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モリス

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モリスの二歩格(4音節)28行の縦長の詩である。4個の単音節の単語を一行に絞こみ、素朴で安らかな雰囲気を出そうとしている。長い、安らかな時間の経過を表現するのに効果的な形式である。一行4単語で随分表現できるものである。また脚韻は英雄韻で一貫しており、韻の学習教材にもなる。

モリスは実際にベッドをケルムスコットの工房で拵えた。さらにベッド・カバーの製作はモリス商会お得意の分野である。娘のメリーの意匠、妻のジェーンの刺繍の協力もあったそうである。

なおこの詩の訳で詳しくなったのはモリスと妻ジェーンとの関係である。この詩でモリスとベッドを共にして休んでいる。モリスの妻ジェーンは、貧しい家庭に生まれ、教育を受ける機会に恵まれなかった。モリスと結婚後、潜在的に高い知性の持ち主であったことを示した。彼女はバーナード・ショーの「ピグマリオン」映画等では「マイ・フェア・レディー」のモデルであるとされる。モリスのみならず、ラファエル前派の画家のモデルである。


For the Bed at Kelmscott

The wind's on the wold
And the night is a-cold,
And Thames runs chill
Twixt mead and hill,
But kind and dear
Is the old house here,
And my heart is warm
Midst winter's harm.
Rest then and rest,
And think of the best
Twixt summer and spring
When all birds sing
In the town of the tree,
As ye lie in me
And scarce dare move
Lest earth and its love
Should fade away
Ere the full of the day.

I am old and have seen
Many things that have been,
Both grief and peace,
And wane and increase.
No tale I tell
Of ill or well,
But this I say,
Night treadeth on day,
And for worst and best
Right good is rest.

William Morris (1834-1896)


ケルムスコットのベッドに

森に風が吹き
夜は寒く
野や山を巡り
テムズは冷たい
だが優しいのは
この古い家
意地悪い冬でも
僕の心は温かい。
たっぷり休息し
春から秋の
善いことだけ思う。
青葉の町では
鳥はみな歌い
君を抱きしめ
ジッとしている。
真昼になる前に
大地と愛が
色あせぬように。

僕は長い間
出来事を見てきた。
嘆きも平安も
欠けるも満ちるも
僕は善も悪も
お話はしないが
言いたいのは
夜もあれば昼もあり
良いときも悪いときも
休息が一番。

ウィリアム・モリス(1834-1896)

閉じる コメント(6)

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モリス商会のファブリック・デザインは、ロマンティックなものが多いですね。私も惹かれる柄があります^-^。
ジェーンと言うと、どうしてもロセッティ-エリザベス夫妻の悲劇、ロセッティの「ベアタ・ベアトリクス」の生まれるきっかけとなったエリザベスの不幸を思い出してしまいます。だから悪女的なイメージしかないのですが、この詩を読んでいると、モリスの穏やかな幸福感だけが伝わって来ます。幸せの時間もきっとたくさんあったのでしょうね。それでも、モリスの夢が凝縮されたようなインテリアには、何だかちょっと寂しさを感じてしまいます。。

2009/7/17(金) 午前 0:31 [ - ]

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コメント有難うございます。いつもいきなり詩を見て早速訳に取り組み、よくて翻訳と併行的に、普通はコメントがあれば心配になりウェッブを調べるというパターンです。今回モリス展があり、ブログネタにしようとしましたが、ラファエル前派はあまりよく知りません。このベッドに関する私の知識もケルムスコット・マナに巡礼したことのある方には噴飯物です。ベッドの製作にはモリス商会は関わっておりませんでした。17世紀初頭のオークのベッドでした。詳しい説明は↓にあります。

http://www.burrows.com/founders/bed.html

このベッドのキャノピーとカーテンの製作に「聖家族」が関わっていました。モリスはこのベッドに相応しい詩をかき、娘のメリーが詩の字体とか配置を考え、ジェーンが刺繍したというわけです。家族に製作させたベッドを賞賛する詩を後で書いて出版したわけではないようです。ひとまず訂正します。

前々回ですか投稿しました「果樹園」(今回展示されていました)のように文学と美術が一体となった例のようです。

2009/7/17(金) 午後 0:27 [ fminorop34 ]

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このベッドの写真がイメージ検索をすれば出てまいります。比較的見やすいイメージは↓でしょうか?

http://s3.images.com/huge.86.434253.JPG

ベッドのキャノピーを見ていただきますと、

AND THAMES RUNS CHILL(天蓋の左一行目の最終)
IS THE OLD HOUSE HERE(天蓋の左一行目の最終)
REST THEN & REST AND THINK(天蓋の左三行目の最終)

OFTHE BEST(天蓋の左三行目の最初)

となっております。一行四語ですが、メリーは区切りに印か花模様をおいています。

2009/7/17(金) 午後 0:44 [ fminorop34 ]

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ジェーンさんがもしモリス家に相応しい素性の女性だったら、どうなっていたのか?考えてしまいます。やはり芸術家のミューズとしての使命をロセッティにはたしたのではないでしょうか?

いかに進歩的な思想の持ち主でも女房が不倫すれば、たちまち家庭内暴力ということになると思います。ただユートピア的な理想社会を目指した、19世紀の社会主義者それも教育を受けた人達のサークルの受け止め方はどうだったのでしょうか。

モリスはマルクス主義者ですから、例のマニフェストにあるように、妻は牛や羊のような私有財産ではなく、共有すべきであると考えていたのでしょうか?マニフェストを読んでいたと思われるジェーンとモリスの解釈は?大真面目に卑しい出自の女に求婚したモリスが妻を拘束できなかったのは、彼がかぶれた主義とは無関係だったのでしょうか?

2009/7/17(金) 午後 1:58 [ fminorop34 ]

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また戻りますが、この詩はモリスの家庭内に平和な瞬間があったという証言にはならないのでは、というのが現在の感想です。

2009/7/17(金) 午後 2:04 [ fminorop34 ]

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後で見つけたベッドですが、このサイトには拡大鏡が付いていますので彼の詩は読みやすいかと思います。

http://viewfinder.english-heritage.org.uk/search/detail.aspx?&uid=60347&storyUid=72&slideNo=10

詩もベッドも1891年です。モリスは数年後に死亡しています。

2009/7/17(金) 午後 2:34 [ fminorop34 ]


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