ヘ短調作品34

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コールリッジは「クブラカーン」の作者である。最近にいたるまで私はその程度の知識と関心しか持ち合わせなかった。それ以外に簡単な伝記等で記憶に残っていることといえば、彼が阿片中毒患者だったということである。阿片は彼の才能を消耗させ、人格破綻者にした。彼はつねに阿片とともに語られてきた。彼は歴史上もっとも有名な阿片吸引者なのである。

女性で有名な中毒患者はよく知らない。ひょっとすると父親の「七光り」で有名になるかもしれないのが一人娘のサラ・コールリッジである。今日の詩は彼女の自伝的な詩であり、文学的価値よりも、19世紀の医学的知識を証言する詩として今後引用される可能性がある。この「ケシ」という題の詩に登場するのが、まだ赤ちゃんの息子のハーバートHerbert Coleridge (1830-1861)である。彼はお祖父さんの血をひき、学校では数学と古典で一番という秀才であった。卒業後は弁護士の資格をとったが、僅かな年金で生計を立て、もっぱら英語学の研究に励み、最終的には現在の「オックスフォード英語辞典 Oxford English Dictionary:OED」となる辞書の編集作業を完成させ31歳という若さで死亡した。病名は結核である。

この偉大な息子と添い寝している不肖の母親サラの詩はバラッド形式。つまり8音節と6音節の聯の繰り返しである。偶数行で韻を踏んでいる。


Poppies

The poppies blooming all around
My Herbert loves to see,
Some pearly white, some dark as night,
Some red as cramasie.
When poor mama long restless lies
She drinks the poppy’s juice;

That liquor soon can close her eyes
And slumber soft produce.
O’ then my sweet my happy boy
Will thank the poppy flow’r
Which brings the sleep to dear mama
At midnight’s darksome hour.

Sara Coleridge (1802-1852)


ケシ

ケシはどこにでも咲いている
ハーバートもよろこんでながめる
真珠の白や夜の黒の花
真っ赤な花もある。
ママは寝つけないとき
ケシのジュースを飲むの。

すぐに目はふさがり
気持ちよくねむれるの。
だからかわいい坊やは
ケシの花に感謝している
ケシは真夜中に
ママをねかせてくれる。

サラ・コールリッジ(1802-1852)

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コールリッジは阿片を常用していたのですね。ケシというと、ヒナゲシは我が家の小さな花壇にも咲きますが、サラ・コールリッジのこの詩はなんだか凄いですね。。小さな息子と添い寝しながら、ハーブティーを飲むみたいな感じで「ケシのジュースを飲むの」と書いている辺りの雰囲気に驚かされます--。当時のイギリスではこんな感じでケシが民間で気軽に使われていたのでしょうか。それともこの家系が特別だったのか...^^;。
「偉大な」お祖父さんとお母さんを持ったこの子が、後に「オックスフォード英語辞典」の原型(?)を編集したというのも面白いですね。このような偉業を遂げて、31歳で亡くなられたのは惜しいことですね。。

2009/7/25(土) 午前 1:24 [ - ]

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みつるさん今日/晩は。みつるさんのコメントで慌てています。

今回投稿のきっかけはBBC放送のWomen’s Hour のサラの番組です。

http://www.bbc.co.uk/radio4/womanshour/04/2007_08_thu.shtml

この番組でサラの「ケシ」の朗読があり、紹介されたのがロンドンの大学で reader だかsenior lecturer の Dr. Peter Swaab です。彼は最近サラの未発表、未発見の詩をまとめて本を出版しました。

http://www.amazon.co.uk/Collected-Poems-Sara-Coleridge/dp/1857548957%3FSubscriptionId%3D1NNRF7QZ418V218YP1R2%26tag%3Dbookfindercom01%26linkCode%3Dxm2%26camp%3D2025%26creative%3D165953%26creativeASIN%3D1857548957

現在の知識はその程度です。

2009/7/25(土) 午前 11:14 [ fminorop34 ]

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19世紀イギリスでは痛みを訴える人が使う分には問題なしでした。何よりも中毒患者の予備軍を作るのに貢献したのが家庭常備薬 アヘンチンキlaudanum です。アルコールに阿片を溶かしこんだものだそうです。子供が虫歯で痛いといえば、「はいチンキを飲みなさい」という調子だったようです。よく効いたでしょうね。サムエルもこれから始まったとする説があります。サラの詩では自分で栽培し、ジュースにしているかのようですが、そんなに簡単に作れるのかなと思ってもいます。詩は額面どおり受け取れない場合があります。チンキの常習者、今で言えば向精神薬の常用者でしょうか。

2009/7/25(土) 午前 11:38 [ fminorop34 ]

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父親の性格の遺伝ですが、長男の Hartley ではよく言われることです。彼は学生時代に酒におぼれてオックスフォードでのキャリアを棒にふりました。自他共に認める弱い意思の持ち主です。ソネットの作品は評価されております。阿片が酒で済みよかったですね。彼はワーズワスのように田園を散策し田舎の人達と友達を作り、のんびりした人生を送ったというのがウィキペディア(著作権切れのブリタニカ)の記事です。

2009/7/25(土) 午前 11:55 [ fminorop34 ]

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「大酒飲みの子は酒を飲まない」といいますが、当てはまるのが次男?のDerwent Coleridge です。父親譲りの語学力もさることながら、イギリスの教育界に重きをおきました。

さてサラですが、凄い語学力で何冊も翻訳しているほか、父親の著作を編集しています。彼女は控えめな美人(当時の女性の一番の美徳)が大方の意見ですから、ウィキ(古いブリタニカ)の記述でもそうなっております。語学力はともかく、性格的には父に似ない女性とされておりました。Dr Swaab が引きずり出した詩で、彼女の阿片やら老いらくの恋(プラトニックでしょうが)が未でてきました。性格も父親譲りという説が有力になりそうです。

2009/7/25(土) 午後 0:13 [ fminorop34 ]

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ハーバートの語学力は明らかに遺伝だと思います。サラは従兄弟(異母兄の息子)と結婚しています。遺伝学的には危険とされますが、この結婚の結果だけみれば、コールリッジ家の優秀な遺伝子を守るのに成功したようです。サムエルの直系ではありませんが、一族には社会的に尊敬される地位についた人もいます。男爵になった人もいます。

現在は否定的な情報が好まれる時代です。サラの阿片に関して、フェミニストたちは今後どう反応するのでしょう。いろいろな話が出てきそうです。サラも墓場で穏かではないでしょう。彼女は「ケシ」の詩は消却しておくべきでした。

2009/7/25(土) 午後 0:37 [ fminorop34 ]

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fminorop34さん、本当に詳しい説明をありがとうございます。私の何気ない疑問のためにお手間をおかけしてしまって...、感謝の言葉もありません。fminorop34さんに教えていただいたサラ・コールリッジの家庭環境や兄弟等、時代背景を通して、ケシの花がだんだんと立体的に浮かび上がってきました。
そうなんですね、痛み止めだったんですね。「阿片チンキ」と言う言葉は確かにこの時代のイギリス関連の文献で良く見かけます。そういえば、ロセッティの妻エリザベスがロセッティとジェーン(例のモリス夫人)との仲に苦しみ、溺れていったのも「 阿片チンキ」 中毒というものでした。彼女はそれで死んでしまったのですが...、ロセッティの「ベアタ・ベアトリクス」にはケシの花を鳩が持ってくる場面が描かれています。。

2009/7/26(日) 午前 7:16 [ - ]

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一方では死の象徴として、そしてもう一方では サラ のように「リラックス」効果(?? !)として...、ケシの花の19世紀の文学的な位置ってこうしてみると面白いですね。でも確かに、サラの阿片をほのめかすこの詩については、いつか何かで否定的に引用される機会が出て来てしまうかもしれませんね。。
(リンクいただいたPeter Swaab編集のサラ・コールリッジ詩集の表紙の花もケシみたいですね!−)

2009/7/26(日) 午前 7:16 [ - ]


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