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これもふと目にとまった詩である。チャールス一世作とあるが、いまだに誰の真作かは結論されていないとのこと。教養豊かな宮廷文化をイギリスに根付かせたチャールス一世は、美術愛好家であり、ヴァン・ダイクを呼び寄せて宮廷人の肖像画を描かせた。これ以来イギリス人の肖像画への愛着は決定的になった。だが豊かな教養は有能な政治を保証しない。 この作を伝チャールスとしても、彼が詩の愛好家だったという話は聞かない。不眠に悩む彼に宮廷詩人が書いて献呈したのか?彼の死を悼んだ詩人が書いたのか?彼の置かれた境遇に相応しい詩であるが、ちょっと出来すぎた話にも思える。議会派との不利な闘争の中で、彼が何よりも欲したのは眠りであったろう。チャールスゆかりの詩にふさわしいことは確かである。 最初の一行は、命令調で強弱格、次は一転して弱強格で静かに、静かに語りかけている。催眠を妨げないように、一行中の頭韻や同語反復に工夫がある。 (sleep secure)、(safe sure)、 (slumber sleep)、(music mirth) 脚韻は英雄韻である。 絵はヴァン・ダイクによるチャールスの肖像画。 Upon a Quiet Conscience Close thine eyes and sleep secure, Thy soul is safe, thy body sure; He that guards thee, he that keeps, Never slumbers, never sleeps. A quiet conscience, in a quiet breast, Has only peace, has only rest: The music and the mirth of kings Are out of tune, unless she sings. Then close thine eyes in peace, and rest secure, No sleep so sweet as thine, no rest so sure. Charles I (1600-1649) 静かな心 目を閉じ、眠りを得よ 心は安らか、身は健やか。 汝を護り、汝を衛ずる人 微睡み、寝入ることなし。 胸中穏やか、心静かにして 平安と安息がある。 王者の楽も歓びの声も 静かなる歌にて調う。 安らかに目閉じ、憩いを得よ 甘きは眠り、確かなるは憩い。 チャールス一世(1600-1649)
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イギリス宮廷詩人
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