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<詩と各行の注釈を示す>
Tristesse d'été
Le soleil, sur le sable, ô lutteuse endormie,
En l'or de tes cheveux chauffe un bain langoureux
Et, consumant l'encens sur ta joue ennemie,
Il mêle avec les pleurs un breuvage amoureux.
De ce blanc Flamboiement l'immuable accalmie
T'a fait dire, attristée, ô mes baisers peureux,
« Nous ne serons jamais une seule momie
Sous l'antique désert et les palmiers heureux! »
Mais ta chevelure est une rivière tiède,
Où noyer sans frissons l'âme qui nous obsède
Et trouver ce Néant que tu ne connais pas.
Je goûterai le fard pleuré par tes paupières,
Pour voir s'il sait donner au coeur que tu frappas
L'insensibilité de l'azur et des pierres.
V1.
Le soleil, sur le sable, ô lutteuse endormie,
この詩は晴れ渡った太陽の下で砂の上に横たわる男女のイメージを想起させる。" ô lutteuse endormie":マラルメは女をこう呼ぶ。NOULETは、この技巧的な呼びかけの美しさに注目する:一方は(lutteuse)という能動的な名詞であり、他方は(endormie)という受動的な修飾語であり、この二語が結合されている。従って一方は他方の原因であり、二語は対になっている。輪郭と原因を無視しない造形に注目すべきである。形容語はそれぞれ愛の瞬間を描いており、この結合は無秩序な動作が調和と統合に至る時間的距離を表現している。
V2.
En l'or de tes cheveux chauffe un bain langoureux
女の髪は詩人がけだるげに水浴びしている川にたとえられる。"Angoisse"の第3行と比較すべきである。これは"triste tempete semee dans la chevelure"と彼が語るときに類似している。女の髪はマラルメが多くの詩で繰り返し用いたテーマである。少なくとも髪に関して、マラルメの詩を二つに区分することが出来る。Mery Laurent と知り合う前の詩、すなわち、一つは "Angoisse", "Tristesse d'Ete"であり、他方、Mery の金髪が登場する詩である。すなわち、"Dame sans trop d'ardeur... " ô si chere de loin..."; "M'introduire dans ton histoire"; "Victorieusement fui le suicide beau"; "Ses purs ongles tres haut"; "La chevelure vol d'une flamme"。
マラルメにとって、女性の属性である髪はつねに川と海の象徴である。次に髪は女の象徴である。女が男に表すものすべての象徴である:肉体、詩人にとりついた理想の忘却、ある種の虚無に到達するために突入する場なのである。
詩の最初では、詩人は女の髪の種類にこだわらなかった。次に最初の"cheveux tenebreux"を修正して、l'or de tes cheveuxで置き換えた。このような修正は鮮明にブロンドの髪、Mery Laurent の髪を暗示している。
V3ー4.
Et, consumant l'encens sur ta joue ennemie,
Il mele avec les pleurs un breuvage amoureux.
太陽は女の頬の化粧を焼いている。joue ennemie は私の接吻を拒絶した頬である。化粧の概念は"encens" という語で表現されている。テキストの最初の状態を見れば混乱はない。Mme NOULET はこの二行に混ざり合った季節感:bains, encens et breuvage とBaudelaire への回帰を見るのである。
V- 4 .
Il mele avec les pleurs un breuvage amoureux.
まぶたの化粧は暑い涙のように流れる。詩人にはこれは愛の飲み物のようなものである(ADAM)。代名詞"il"は "soleil" を呼び戻すが、NOULETによれば、これはなおざりな様式であり、うっとおしい。
V5.
De ce blanc Flamboiement l'immuable accalmie
"De ce blanc flamboiement":1887 には f は大文字に変えられ、Flamboiementになっている。E. NOULETによれば、これで迂説法の効果を倍化させている。この行は見事であり、ほとんどが長い語で構成されている。長さは"m" の畳韻法と"a" の鼻音化で強化される。"l" の畳韻は川の流れの印象を与える結果を生む。
V6.
T'a fait dire, attristée, ô mes baisers peureux,
mes baisers peureux この挿入節は不明瞭である。:注釈学者によって見解が異なる。NOULETによれば、この挿入節は la lutteuse に関係している。詩人が大胆な換喩で呼びかけたのは彼女であり、彼女が与えた臆病な接吻で、彼女を指示している。逆に、もっともらしいのは ADAM の説で、詩人が指示しているのは la lutteuse であるが、臆病な接吻をしたのは「君に臆病な接吻をした」詩人その人である。
V7,V8
« Nous ne serons jamais une seule momie
Sous l'antique désert et les palmiers heureux! »
わたしたちは非常に暑い国にいる。小心なマラルメはその臆病さで女を失望させる。女は自分たちは一つになることが出来ないと結論する。"Sous"はマラルメに関係している。マラルメは簡潔性に配慮して l'antique désert にも関係させた。"antique"、この形容詞はマラルメには "ancestral"、 したがっ "eternal"、 と同義である。幸せはこの行の最後で拒否され、"nous" に関係する。マラルメは幸福の概念をミイラの概念と一体化させる。男の幸福への到達の不甲斐なさーー「私たちは決して砂漠と椰子の木の下で一つのミイラにはなれない。私たちは決して幸せにはなれない」。
V9.
Mais ta chevelure est une rivière tiède,
"Mais" はここで基本的に重要な文節を構成する。 ADAMはこの行にコメントしている。:彼女は言う「私たちは融合して一つの死体にはなれない。」そして彼は答える。「その通りだ。でも少なくとも僕は君のそばに虚無の安息を見いだすよ。」
V10.
Où noyer sans frissons l'âme qui nous obsède
sans frissons :これは非常に重要である。彼はもはや生きていることを感じていない、完全な不動の状態に到達する。
V11.
Et trouver ce Néant que tu ne connais pas.
ce Néant que tu ne connais pas:これも不明瞭である。
マラルメが"connaitre"を"posseder"の意味で使っている場合:この行は、詩人がすでに虚無を発見する試みは失敗するに決まっていることを知っている;彼は彼女が"posseder"せず、彼に与えられない、なにものかを要求していると解釈される。
あるいは、マラルメが"connaitre" を"avoir fait l'experience"の意味で使っている場合:詩人は女がまだ体験していない虚無について語っている。初稿によって、この問題に決着をつけることはできない。しかしながら、むしろ第二の解釈に注目しよう。たしかに、初稿では、マラルメは"Le Néant ou l'on ne pense pas"と書いており、この虚無の定義から、マラルメはすでに体験しており、彼はこの点で彼の傍らの女と対比しているのである。
V12.
Je goûterai le fard pleuré par tes paupières,
この行は第4行の再表現である。
V. 13-14 :
Pour voir s'il sait donner au coeur que tu frappas
L'insensibilité de l'azur et des pierres.
L'insensibilite de l'azur et des pierres:Azur と Pierre この二つの象徴はマラルメの詩によく登場する。Azur は到達不可能な理想のむなしい追求を象徴する。彼が純粋な思考を見いだした時の無感動である。この無感動は物質の無感動に近い:石の無感動:Mme NOULET によれば、Azur と Pierre の遠い距離と類似音の結びつきによってある効果が生じる。
かくして"Angoisse", "Le Pitre chatie", "L'Azur" と同様に、詩人の主要な強迫観念がここにある。それは到達不可能な完成への強迫観念であり、それは同時に無感動、虚無、死につながる。
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