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杜甫が続いてきたが、地名や人名のローマ字化で行き詰まってしまった。劉備とかはブリタニカで何とかなりそうだが、その息子の名前はどうにもならない。でも秋興は冬になる前に仕上げてしまいたい。秋興に好きな詩があるが、彼の同期の人物の名前はどうしたらいいのか。劉さんの名前は何とかなるとして、日本語でも読めない姓もある。
どうしたらいいのか、その間実験的であるが、李白の五言絶句に挑戦してみたい。ここまでコンパクトになると翻訳困難である。漢語に含まれている意味が抜け落ちることは必定である。初回であるので李白先生にはお許しを願うことにしよう。
なお「閨怨」というのは欧米圏にあるテーマだろうか。ファドとかには捨てられたり、死に別れた女の絶叫調の歌はありそうだ。でも出征した夫や恋人を想って貴婦人が押さえた悲しみを表す歌を知らない。中世の試合にのぞむ騎士を思いながら糸を紡ぐ女の歌のCDを持っているが、ラテン語ではないにしても中世フランス語ではなかったろうか。
それに女の部屋、閨房を英語でどうあらわすか。bedchamber とする訳にもいかず、lady's room では色気がないし、私には女の便所のような気がしてしまう。すこしお洒落にフランス語で、ボードレールから教わった Boudoir という言葉を使ってみた。この言葉はすでに英語になっている。しかしこの言葉はすねるという意味から来ているそうで、亭主の顔を見たくない女がこもる場所だそうである。
中国のように出征した夫を Boudoir で待ちわびるというのは形容矛盾があるような気もするがひとまずこれで行くことにした。言葉の起源がフランス的で面白いが、起源はともかく今では女の趣味で飾り立てた部屋であろう。もちろん日本の住宅事情では想像しにくい部屋である。フランス語を使ったために、亭主には秘密の paramour に逃げられた女の歌とはおもわれたら失敗である。
怨情
美人捲珠簾
深坐頻蛾眉
但見涙痕潤
不知心恨誰
李白
美人 珠簾を捲き
深く坐して蛾眉を頻む
但だ見る 涙痕の潤えるを
知らず 心に誰をか恨む
In Boudoir
A lady rolls up the blind
And sits with a sad frown
In her tear-stained gown.
Who do you have in mind?
Li Po
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