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ST. AGNES’ Eve-Ah, bitter chill it was!
The owl, for all his feathers, was a-cold;
The hare limp’d trembling through the frozen grass,
And silent was the flock in woolly fold:
Numb were the Beadsman’s fingers, while he told
His rosary, and while his frosted breath,
Like pious incense from a censer old,
Seem’d taking flight for heaven, without a death,
Past the sweet Virgin’s picture, while his prayer he saith.
聖アグネスのイブ ああこの身を切る寒さ!
フクロウは羽根があるのにふるえている。
ウサギは身震いしながら凍てついた草むらを行き、
柵の中の羊は口をきこうともしない。
祈祷乞食の指はかじかみ、ロザリオを
手にして祈る間、白い息は
香炉の尊いお香のように
処女マリアの気高い画像から
そのまま天国に向かう。
今日の夜は聖アグネスのイブである。聖アグネスは非常に人気のある処女聖人で、ローマ時代にキリスト教のために殉教したと信じられている。今回キーツの「聖アグネスのイブ(Saint Agnes’ Eve)」 に挑戦してみようかなと一週間考えていたが、どうしても訳が出来ない箇所が出てきた。残念ではあるが、出だしと第6詩節のみの訳出にとどめることにした。
寒いチャペルで凍てついた死者の彫像を前にして、死者の魂の救済を祈祷する老いたる乞食の吐く息が天に昇っていく描写からして、今の季節感としてはぴったりである。詩は42節からなる長編であることもさることながら、イギリス・ロマン派ごのみの怪奇な中世趣味がわかりにくかった。なかなかうまく訳せなかったろうとはおもう。獰猛な龍やら残忍な騎士が守る城に閉じこめられた乙女を聖アグネスの前夜に若者が危険を冒して忍び込み、駆け落ちするというお話であるが、自信のない箇所が数カ所あった。またの機会に挑戦するとしよう。
民間伝承でこの寒い夜、乙女は未来の夫になるべき男性を夢見るとされている。いくつか詩はあるが、キーツの「聖アグネスの前夜」 で代表させることにしよう。普通暦の本には必ず登場する詩節である。
They told her how, upon St. Agnes' Eve,
Young virgins might have visions of delight,
And soft adorings from their loves receive
Upon the honey'd middle of the night,
If ceremonies due they did aright;
As, supperless to bed they must retire,
And couch supine their beauties, lily white;
Nor look behind, nor sideways, but require
Of Heaven with upward eyes for all that they desire.
彼女たちが言うには、聖アグネスの前夜、
ちゃんと作法を守れば
蜂蜜のように甘い真夜中には
うら若き乙女は嬉しい夢を見、
恋人から優しい言葉をかけてもらえるとか。
夕ご飯は食べないで床に就き、
百合のように清らかに上を向き、
後ろも脇も見ないで、ただひたすら
天を仰いで願い事をすればね。
絵はイギリスの画家アーサー・ヒューズの「聖アグネスのイブ」である。左から恋人が城に侵入し、恋人に会い、二人が城を脱出するところを描いている。彼は挿絵画家でもあったのだが、それにしてもヴィクトリア朝の絵は文学あっての絵が多い。
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