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今週末は明日が処女マリアの「受胎告知」の日に決まっている。明日3月25日に大天使ガブリエルがマリアを訪れ、その瞬間彼女は聖霊によって受胎し、12月25日にイエスを出産することになる。この日は固定祝祭日であるが、明後日はレントの中間の日であり、イギリスでは「母の日」となっている。「天上の母」と「地上の母たち」で忙しい週末である。また神聖な「受胎告知」の日のブログは私の雑文で汚したくないので、明日は最小限の文のきれいな「受胎告知」でしめたい。今日は明日のせるベリー公の時祷書にある「受胎告知」のフォリオにのっているラテン語について私なりの解釈を書いておこうと思う。このラテン語は「受胎告知」にふれているわけではない。
上の文章は教会の儀式の始まりにかならず司祭と会衆が交互に捧げる祈りであり、ベリー公の写本に対応させると次のようになる。
左側は
Domine la
bia mea a
peries
Et os meum annun
右側は
tiabit laudem tuam.
Deus in adiuto
rium meum
intende,
である。
これを句読点をいれ、改行を改めて分かりやすくすると次のようになる。
Domine, labia mea aperies,
Et os meum annuntiabit laudem tuam.
Deus in adiutorium meum intende,
英語では
Thou, O Lord, wilt open my lips,
And my tongue shall announce Thy praise.
O God come to my assistance,
という訳がある。
Domine は「主」の呼びかけ、labia は「唇」で変形して英語の lip になっているので覚えやすい。meum は 「わたしの」も同様に覚えやすい。os は「口」、「annuntiabit」 は宣言するだが、「受胎告知」の annuntiabit とはここでは直接関係ない。laudem は「讃美」、tuam は「あなたの」であることもフランス語を習った人には記憶しやすいだろう。
Deusu は「神」、intende も英語の intend とほぼ同じと私は思うことにしている。adiutorium は「援助」で、直訳すると「私の援助でそのつもりになってください」。
私の持っているピカピカの祈祷書での平易な訳に対応させると、
神よ、私の口を開いて下さい。
わたしは あなたに讃美をささげます。
神よ、わたしを力づけてください。
いずれにせよ、私の歳では、日本語の祈祷文から記憶して、英語、ラテン語の祈祷文への記憶へと行かなくてはいけない。私もこの文章を普通の活字で記憶した。ベリー公の写本職人の字も中国や日本の書に比べたら易しいものである。この祈りはいつも出てくるので、もう一つ、「父と子と聖霊に栄光あれ」を認識できれば、ベリー公の時祷書の少なくとも1パーセントを読んだことになる。
羊皮紙を節約させるために、極力空白は少しにするのが習わしであったが、この豪華な写本でもその慣行に従っている。空白を大きく取ると、中世の人には間延びして見えるようになったのであろう。ごくわずかな空白を見つけるのがコツである。
なお m に見える字があるが、孤立していた場合は必ずといっていいと思うが、in である。孤立していない場合は m にみえるが、 ni の可能性がある。ri が n に見えることになる。なお i の文字の上の点が付いたのは後世のことであり、これがあるとずいぶん楽であるが、ベリー公の時代の i は読解者を悩ませる。nn は mi 見えることがある。また e と c の違いは微妙であるが気を付ければ分かる。 t も実に微妙である。さらに a の筆記体と思っても ci であることもある。u と v の違いはないし、w という文字は存在しない。s は場所によって違う書き方をする。最後に左側の最後の n の上に記号が付いているのに気を付けよう。これは特殊な発音をする意味ではなくて、文章の構成上スペルの一部省略である。決まり切った祈祷であるから、省略しても読者は先刻承知の言葉である。また気が付いたら注意点を述べることにしよう。
なおこの古文書に興味のある方は下をクリックされることをお薦めする。この画像は26kの画像であるが、268kの large image を選択してこの部分に焦点をあてて解読されるといいと思う。
http://www.christusrex.org/www2/berry/f26r.html
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