ヘ短調作品34

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ピカソを買った謎の男

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ピカソに9千500万ドルを払った謎の男

ニューヨーク・タイムズ キャロル・ヴォーゲル記者

五月4日 2006年


40代半ばと見受けられる青のブレザーとクリーム色のシャツを着た男が、昨夜のサザビーのオークション会場の後ろの方で、no.1340 のカードを振り続け、ピカソの愛人ドラ・マールの肖像画に9千520万ドルで競り落とした。2004年五月のピカソのバラ色の時代『パイプを持った少年』、1905年作の1億410万ドルについで二番目に高い値段であった。

会場を埋めた人たちは彼のつける値段に身を乗り出していたが、誰も知らない人物であった。近くに座っていた人によれば、なまりからロシア人のようだったそうである。名前を告げず、オークション終了後、群がるテレビカメラや報道陣をさけ、サザビーのスタッフに護られて横の扉からでていった。

大金をつぎ込むと分かっていたら、こんな後ろに座らせなかったはずであるから、サザビーの首脳部には新規の客であり、オークションの過程でカードを振る態度がせっかちで、素人くさく、オークションには不慣れな人物である。(オークションに慣れた買い手ならもうすこし慎重でずる賢いはずである)

しかも彼はピカソだけを買いに来たのではない。1883年のモネの海の景色を5百万ドル、1978年のシャガールの聖書の『天国』に2百50万ドルでで飛びつき、総額1億270万ドルを投じた。

この匿名の買い手はこの夜の総額2億750万ドルの売り上げのほぼ半分を買ったことになる。出品55点で1億9千80万ドルの見積もりであったので、これを上回った。7点は売買不成立であった。

4人の買い手は、1941年のピカソの所有者になりたかったであろう。40年以上も公開されなかったのである。『ドラ・マールと猫』は501/2 X 371/2インチの大作で大きな椅子にすわったマールと彼女の肩に乗った黒猫を描いたものである。9千520万ドルは最低見積額のほぼ2倍の値段である。

専門家によれば、売り手のシカゴのギドウィッツ家に -- 公表されていないが落札価格の如何にかかわらず5千300万ドルの最低補償額を提示したそうである。 昨晩大きな補償額を提示したのはしかもピカソにだけではない。ディーラーたちがいうのは、サザビーは総額8千万ドルの保証金を用意したそうである。危険なようだが、この作戦はあたった。

(サザビーの手数料も記録的である。落札価格のうち、20万ドルにはまず20%の手数料、残りの金額には12%の手数料が入る。推定額には手数料は入っていない。)


サザビーはマティスの『背中を見せて眠る裸婦』(1927)には推定で1千200万ドルから1千500万ドルを保証した。カタログでは売り手を明示していないが、専門家によれば、以前サザビーの重役会の一員であった投資家のヘンリー・R・クラヴィスである。マティスも上手く行き、1千8百万ドルで落札され、マティスのオークションでの新記録になった。電話による落札であった。

晩年のピカソの作品も最近高値を付け始めた。何点かは昨晩順調に値を上げた。サザビーはロサンジェルスの投資家でコレクターのエリ・ボードにも『バトンを持ったハーレキン』にたいして保証を提示している。これは1969年作の絵であり、ピカソのもう一つの自己であるハーレキンが長いペニスのような棒を振っている。

タイコ・インターナショナルは二つの絵を売りに出した。この2点は元会長で代表取締役のL.デニス・コズロフスキーがニューヨーク州税を100万ドル脱税したとして起訴されたスキャンダルのいわく付きの作品である。彼はディーラーに空の箱をニュー・ハンプシャーのタイコのオフィスに送らせ、その一方で配達業者に彼の五番街のアパートにとどけさせた。コズロフスキー氏がロンドンのリチャード・グリーン画廊から購入した、1889年のルノワールの静物『花と果物』は250万ドルから350万ドルの予想価格であった。マンハッタンのナンシー・ホワイトが280万ドルで買った。モネの1883年の海の風景画『モンテ・カルロ周辺』の予想価格は2百万ドルから3百万ドルであったが、ピカソを9千520万円で買った匿名の購入者により5百万ドルで競り落とされた。

メトロポリタン美術館も売り手であった。後期のピカソ『肘掛け椅子にすわる女』(1960)である。この作品の見積もり価格は3百万ドルから5百万ドルであったが、電話による買い手で6百70万ドルで落札された。

紙に描かれた作品も好調であった。1882年のヴァン・ゴッホの水彩画『屋根』は過去10年間時々市場に出てきたが、予想価格は2百50万ドルから3百50万ドルであった。電話の購入者が4人の対抗者を上回り、4百70万ドルで落札した。売り手はフランスのデパート、ラ・サマルティヌの創設者ジョルジュ・ルナールの跡取りであった。

ニューヨーク・サザビーの印象派・現代絵画部門の取締役であるデイビット・ノーマンはオークションの後で、「高価なピカソを購入された方の趣味は素晴らしい。」さらに「あんな絵は滅多にないからね」と言った。

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