ヘ短調作品34

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最古の所蔵品としてはエジプトの多産のお守りとギリシャ・ローマ時代の粘土製のランプがある。紀元前300年から紀元200年頃のものである。

ヨーロッパ部門では、フランスの青銅製の人形があり、カンカン・ダンサーが長いスカートをはいて開脚している。イギリスのお屋敷のマントルピースに座っているが、回してみるとニッカーをはいていない。

この部門のハイライトはキャサリン大帝の見事な玉座の複製である。

手彫りの仕上げは第一次大戦時撮影された写真を基にしており、その写真も玉座と一緒に展示してある。オリジナルの玉座は行方不明か、破壊されたと信じられている。玉座の黄金の枠にはエロティックな行為が彫ってあり、中央の高い部分には18世紀ロシアの女帝の像がある。彼女はディオニソス的衝動を抑えることが出来なかったとされる。

「エロティック・アートは人生の本質、われわれが失ったもの、われわれの可能性について思い起こさせてくれる」とローラ・ヘンケルは述べている。彼女は美術品の鑑定家であり、サンフランシスコのセクシャリティー高等研究所で、現在崩芽期にあるエロトロジー、エロティック・アートの助教授である。

ヘンケルはウィルジグのコレクションは「世界的」であると述べている。同時に国際的な評価を得ている。フランセスク・グラネルはウィルジグの芸術的鑑識眼に匹敵するものはないとも述べている。彼はバルセロナ大学で経済学を担当し、ヨーロッパのエロティック・アート美術館を回って歩いており、かってEUに勤務していた。

ウィルジグは広範囲なコレクションによって、大人の多様な性的行動に対する寛容の精神を学んだという。「他人の人生の選択を勝手に評価してはならないということです。」

彼女のコレクションをあざける人についての彼女の見解は?「われわれの社会で一般的に了解されていることですが、一定の感情的、知的水準に達しなければ、性的行動に入るべきではありません。この原則はエロティック・アートにも適用すべきです。」

エロティック美術館I

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エロティック・アートに魅せられて

リシャ・ゴットリーブ

ワシントン・ポスト紙

精神分析も、宗教的ひらめきでもなく、ナオミ・ウィルジグは人生の束縛をかなぐり捨てた。彼女を1千万ドルもかかる世界探検の旅に駆り立てたのは、エロティック・アートとその不思議な魅力なのである。

現在71歳、16年間派手に買いまくり、ナオミ・ウィルジグは世界でも評判のエロティック美術のコレクターである。約四千点の収集物には、世界中の絵画、彫刻、タピストリーがあり、紀元前300年のもある。長年エロティック・アートに付きまとう汚名のため、ウィルジグは膨大なコレクションを3500平方フィートのタンパ・ベイの冬の家にしまい込んでいた。おばあちゃんの家はまるでデンマークのセックス・ショップであった。しかし彼女は「この作品は家においておいては価値がない」と言い始めた。

ウィルジグは美術品を展示する場所を5年間探し歩いた。ニューヨーク、ラスヴェガス、セント・ピータースバーグ、タンパは彼女の提案に冷淡であった。彼女は偶然サウス・ビーチを見つけた。マイアミ・ビーチのホットな地区で、大金持ち、有名人、ビキニ姿のモデル、ヨーロッパ出身の金持ち、それにアール・デコの建物が混じり合った場所である。

ここはぴったりの場所で、昨年十月にウィルジグは「世界エロティック美術館をオープンした。

ワシントン・アベニューの簡素な白い建物の二階に陣取り、館長さん同様得体の知れない美術館である。

ウィルジグは厳格な正統ユダヤ教徒の家庭で育った。「私はセックスの話がまるでない環境で育ったのよ」と彼女はいった。「全くなかったわ。」彼女はニュージャージーのクリフトンの銀行家と結婚した。彼女の今は亡きご主人のシッギ・ウィルジグはニュージャージーの信託会社社長でCEOであった。彼はワシントンにあるアメリカ・ホロコースト記念館の創設に加わっている。ウィルジグによれば彼女のご主人はエロティック美術には関心がなく、彼女は「ミス・ナオミ」と名乗って趣味を追求した。

ウィルジグはもともとは古美術の収集に熱心であった。エロティック・アートの収集を考え始めたきっかけは、長男のイヴァンが彼の独身アパートに飾る「エロティックな風俗画」を買って欲しいといったからである。彼女の話では「そんなものがあるかどうか知らなかった」そうである。3ヶ月後にフロリダのセント・ピータースバーグの骨董屋で最初の美術品を見つけた。店の主人は梯子を登り、木製の本棚に隠してあった本を出してきた。これは皮閉じの日本の「シュンガ」で、1850年頃のものであり、25枚の版画があった。「シュンガ」とはハウツー本であり、結婚の夜に若い二人にプレゼントされたものだというのが彼女の説明であった。

そもそもエロティック・アートはクロマニョン期にまでさかのぼるが、政治、宗教、教育の禁止等で隠されたり、失われたりしたとするのが、キンゼイ研究書の名誉研究所長で上級研究員であるジューン・リーニッシュの意見である。彼女は世界中でエロティック・アートをはじめとしてセクシャリティーの諸側面を講演している。彼女はさらに、アメリカの美術館はエロティック・アートのコレクションを隠して一般大衆には見せないようにしている。コロンビア大学の哲学の名誉教授で美術評論家アーサー・ダントはその意見に同意している。合衆国の今日の文化的検閲は超保守的な政治に責任があると彼は信じている。

彼によれば、「ニューヨークのメトロポリタン美術館はピカソのエロティックな絵を一枚所蔵しているが、公開したことはない。」この絵はアメリカ人が自由にしている行為をピカソがしているところを描いたものであるが、アメリカ人がこれを見たければ出国しなければならない。数年前に、この絵はモントリオールの「ピカソ・エロティック展」に貸し出されている。20世紀の大家の最高にエロティックな作品の展覧会はバルセロナとパリでも展示された。ウィルジグによれば、美しいだけではなく、エロティック美術はそれ以上のものをわれわれに与えてくれる。「人間関係、政治、死のような問題を考えさせ、作品には生命力を与えます。まさに核心的部分、つまりエロティックなひらめきを追求する精神を要求するのです。」55歳で長い冒険の旅に出て、会話は素朴、ときにはジェスチャにたよる他はない異国にも出かけた。最終的には英語とフランス語で「エロティカ買います」というプラカードを胸に下げて歩くようになった。

美術館のエレベーターのドアが開いたら、ウィルジグが迎えてくれた。しかし性交渉中のカップルの絵と彼女の肩の上に実物よりも大きな男性の部品が掛かっているのを見て、思わず目をそらしてしまった。私は内気な十代の娘に戻ったような気がした。私たちは、彼女の貴重な所蔵品、図形的な男根彫刻スタンリー・キューブリックの古い映画<A Clockwork Orange>の<The Rocking Machine>の前で立ち止まった。これは彼女が1999年のオークションで手にれたものである。

この美術館の壁は簡素なクリーム色であり、照明は控えめであるので静かで感じがいい。文化、歴史、テーマごとに分類されて部屋や廊下に飾ってある。オブジェには制作者の名前と制作の年代と場所が記されている。

制作者の中には著名な人物もある。ピカソの水彩画、サルヴァドール・ダリやクリムトのリトグラフがある。エロティック・アートの世界では名を知られた画家の作品もある。ブルーノ・ザック、ハンス・ベルマー、ロバート・マップルソープ、その他。多くは匿名か偽名である。制作者が社会から排斥されたり、処罰されたりすることをおそれたのである。

美術館は250冊以上の研究書を所蔵している。ウィルイグ自身エロティカに関して5冊の本を書いている。

アジア部門では装飾を施されたカーマ・スートラ・ベッドが小さな部屋を占拠していた。ベッドには1インチごとに合計161のエロティックなシーンのあからさまな詳細が彫り込んである。他の部屋では、照明された棚に1000年前のバリ島の性玩具とアフリカの多産祈願の仮面がある。

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