ヘ短調作品34

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今年のザルツブルク音楽祭で「モーツアルト22」のうち2曲のオペラをいっぺんに聴いてしまう方法があるようである。モーツアルトが12歳で作曲したジングシュピールともう一つのジングシュピールとを合体させたものである。両者ともに会話の部分が多いから可能だったのであろうか。さらに彼の最後のオペラ作品「魔笛」も厳密にはジングシュピールだそうであるから、今回の記事はジングシュピールで始まり、ジングシュピールで終わった彼のオペラ作曲活動を、ザルツブルクで生で聴いたトマシーニ記者が報告している。

もともとモーツアルトをほとんど聴いていない私には、いくつか自信がない箇所があった。記者の記事は明快であるが、私には誤訳の可能性の高いある記事である。お気づきの方のご指摘を頂戴できれば幸いである。



モーツアルトのジングシュピールとザルツブルク音楽祭の「魔笛」

アンソニー・トマシーニ

ニューヨーク・タイムス 8月7日発行


ザルツブルク、8月6日 ― 35歳で死亡した作曲家を晩年をむかえていたと考えるのはこじつけであるように思える。「モーツアルト22」、ザルツブルク音楽祭のモーツアルトのオペラ全曲の演奏の目的の一つは、最初の作品と最後の作品を書くまでの23年間にオペラ作曲家としてどれだけ進歩してきたかを示すことである。

たしかに23年間である。モーツアルトは最初のオペラを12歳のときに書いた。そのうちの一つを土曜日の夜音楽祭で聴いた。すなわち「バスティアンとバスティアンヌ」というドイツのジングシュピールで、会話を音楽と結びつけたコミックなジャンルである。ザルツブルク創作人形劇場で上演された。普通は劇を演じる操り人形の伴奏は録音でしているが、今回は歌手とオーケストラで上演した。

その前の晩に、新演出の「魔笛」を観ている。モーツアルトが死んだ月に書かれたもので、厳密に言えばこれもジングシュピールであるが、この霊感あふれる作品で、ジングシュピールのジャンルを超えて、深い精神性がありながらも滑稽なオペラ作品を創作したのである。ザルツブルクのピエール・オーディによる魅力的な新演出は、リッカルド・ムーティ指揮のウィーン・フィルハーモニックと豪華な配役をそろえた。しかしモーツアルトの思春期前のジングシュピールから語ろう。

ザルツブルク創作人形劇場は「バスティアン」を1913年に初演している。だから一座はこの作品を助演する資格はある。演出家のトマス・ライヒェルトは大胆にも「バスティアンとバスティアンヌ」を モーツアルトが「フィガロの結婚」を書いた1786年に作曲した「興行主」“Der Schauspieldirektor”という変わったジングシュピールと統合した。この作品は、争っている二人の女性歌手と交渉しなければいけない興行主の物語である。楽譜にはほんのちょっぴり最上級のモーツアルトのアリアと合奏があるが、複雑な会話がかなりの部分を占めるものである。

ライヒェルト氏は「興行主」のセリフを新しい会話でかなり置き換え「バスティアン」の枠組みにしている。どうしていけないの?このバージョンでは、一座の団長は「バスティアンとバスティアンヌ」の配役を決めようとしているがバスティエンヌの役を二人の歌手のいずれにしようか決めかねている。団長は二人とも採用し、二人にその役をやらせ、どちらがいいか決着を付けることにした。

エリザベス・フックスが指揮する、このモーツアルトの子供時代の作品は、軽いが、魅力的なお話である。羊飼いの娘バスティアンヌはだまされ、彼女の愛するバスティアンに捨てられたと思いこんだ。この悶着をおこしたのが、ずるがしこい、野心のある魔法使いコーラス(ラドゥ・ソジョカリュウ)である。この歌手は舞台上の人形と歌い、同時に興行主にいいようにされている助手のブッフを歌う。

音楽は独創的ではないかもしれない。幼いモーツアルトが従来の様式を習得しようとしたもので、新しい様式を生み出そうとしたわけではない。だが曲には叙情的で優雅なタッチがあり、それでいて茶目っ気がある。バスティアンヌの粋なアリアを聴いていて、モーツアルトは12歳にして「ドン・ジョバンニ」のチェルリーナを書いたように私には思われた。

「興業主」のシーンでは、アルフレッド・クラインアインツの演じる興業主のフランクが「バスティアンとバスティアンヌ」の人形たちをオーディションする。人形たち ― 顔も、髪もなく、衣装も付けないマネキンのような ― 手を広げ、準備体操をし、オーディションをされ、はねられていくのは、面白い見物である。

「バスティアン」の上演が始まると、舞台と衣装は、現代服のザルツブルク音楽祭の演出を思い起こさせる。信じられないが、電気の街灯が山道を一列に照らしている。

二人のバスティアンヌ役を争う女性歌手(エヴモルフィア・メタカキとアレクサンドラ・ザモイスカ)とバスティアン(ベルンハルト・ベルヒトルト)は舞台上の人形の代役に上手に敬意を表している。ユンゲ・フィルハーモニック・ザルツブルクの演奏家は優雅かつ情熱的に演奏している。


音楽祭大ホールでの「魔笛」の新演出では、カレル・アッペルが舞台、ジョルジュ・ジャラが衣装を担当し、私が長年見てきたおとぎ話と子供じみた他愛のないイメージをうまく利用していた。王子タミーノが大蛇に追われて迷いこんだごつごつした岩山は紙の張り子のようだが、不思議なことに舞台上を出入りする。

大蛇はパッチワークの素材からできたかわいらしい怪物で、頭が大きく、目はまばゆいサーチライトである。「夜の女王」に仕える「三人の侍女」は、緑のそろいのユニホームを着たオーストリアの登山者として登場する。鳥刺しパパゲーノは森の中をカラフルなヴァンにのせてもらう。ヴァンを押すのは、インコの友達で、これは衣装をつけたダンサーで飛んだりする。

からくりが多すぎて大変である。でも手の込んだ舞台効果(試練の場では、水と火が同時に床全面にまき散る)にもかかわらず、アウディ氏の演出には一貫したスタイルがあり、上品な色合いで、これ見よがしの感じがない。メトロポリタン・オペラのジュリー・テイモアの超多忙で人目をひくことだけ考えている演出とはちがう。配役に弱点がない。ポール・グローブスは声は男性的で、動きは敏捷なタミーノである。メッツの新しいボス、ピーター・ゲルブは、若くてきれいなソプラノ、すてきなパミーナ役のゲニア・クーマイヤーを招いてはどうか。目の覚めるようなコロラチューラ・ソプラノ、ディアナ・ダムラウは大胆で冷たい「夜の女王」である。偉大なバス、ルネ・パープからはザラストロの権威がにじみ出ていた。バリトンのクリスティアン・ゲルハーヘルは混乱したパパゲーノであった。ムーティー氏はこの崇高な音楽を落ち着き、上品に指揮した。

中東の戦闘報告が相次ぐさなか、金曜日の夜、モーツアルトのおとぎ話風のオペラの演出は核心をついたものになった。アウディ氏はレバノンのベイルート生まれである。この事実が、このオペラの人種、派閥紛争、共通点の模索の探求に対する彼の鋭い演出を説明していないだろうか?たとえば、知恵の寺院でザラストロが異人種の共同生活の実験を行っている。ここに明白に示されている。内なる悪魔と闘うムーア人、モノスタトス(快活なテノール、ブルクハルト・ウルリッヒ)は同じ人種の仲間とザラストロのために働いている。パープ氏のザラストロは慈悲深いが、恩着せがましい。この演出では寺院での民族的緊張は長続きしない。

単純なパパゲーノでさえ、モノスタトスを怖がった自分を責めている。パパゲーノはムーア人を見たことがなく、モノスタトスと出くわしたときである。「黒い鳥がいる」とパパゲーノはいう。「黒い人間がいて何がおかしいのだ?」

ザラストロは真理を求めるが、彼はセクシストである。女は生まれつき傲慢であり、男が女を導かなくてはいけないといつも言っている。モーツアルトは物語のこの要素をパミーナを感受性のある役柄にすることで帳消しにしている。彼女はタミーノの水と火の試練に加わる。アウディ氏の演出では、その平等性を示すにふさわしい冠と衣を身につけて、寺院の新しい指導者として一緒に出てくる。

刺激的な調子で、敗北した「夜の女王」は最後の歓喜の場面で寺院のまわりに潜んでいる。彼女はザラストロと合意に達するのか、時が来ればまたあらたな攻撃を謀っているのか? 私はモーツアルト晩年のジングシュピール、彼の一番哲学的な作品と思えるが、この最後の場面の曖昧な表現について考えつづけた。これはすべて彼が12歳の時から出発している。面白い。

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