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今回のエミリー・ディキンソンの詩は「手負いの鹿」に始まる、傷ついた物の行動を表現したバラードである。
A WOUNDED deer leaps highest
A WOUNDED deer leaps highest,
I ’ve heard the hunter tell;
’T is but the ecstasy of death,
And then the brake is still.
The smitten rock that gushes,
The trampled steel that springs:
A cheek is always redder
Just where the hectic stings!
Mirth is the mail of anguish,
In which it caution arm,
Lest anybody spy the blood
And “You ’re hurt” exclaim!
Emily Dickinson
手傷いの鹿ほど高く跳び上がる
手傷いの鹿ほど高く跳び上がる
狩人の話を聞いたことがある。
「あれは死の恍惚でね
やがて薮は静まるのさ」
水が噴き出すときは岩は砕かれ
鋼が跳ね返るときは踏まれている。
頬が紅くなるときは
熱がある!
陽気は警戒心を覆う
苦悩の鎖帷子
血を隠し「傷を負ったな」
と言わせないため!
エミリー・ディキンソン
この詩音律的にはとくに見るべき物がなかった。偶数行は体裁程度に同韻が一対、あとは類字音で終わっている。弱強格とも強弱格ともいえなかった。ただし音節数は7・6・7・6である。はたして今のところこの詩に付曲している作曲家はいないようである。
内容は格言めいたものであり、見かけだけは元気そうでも内実はわからないというものであろう。金に困っている人ほど高級車を乗り回したがると聞くが、そのようなものであろうか。
ただ相変わらず彼女は否定的な人生観の持ち主である。まさに「女らしさ」を捨てた最初の女流詩人であり、19世紀の女流詩人に期待された役割を演じてはいない。彼女がもてはやされるためには、親が男の子はもちろん「男性的」になることを期待し、女の子が「男性的」であっても叱らなくなり、かえって将来を期待するようになった20世紀後半まで待たなくてはならない。
今回の詩は「詩集」の lifeの8である。
オハイオ大学の朗読とも対応しており、興味なる方はサイト
http://www.wiredforbooks.org/poetry/laura_lee_parrotti.htm
に入り
Series I. Life
VIII Unttled
をクリックしていただきたい。
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