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ボードレール はフランス人には珍しく、英語が堪能であり、アメリカの詩人エドガー・アラン・ポー を評価し、ポーの翻訳をしている。誰からインスピレーションを受けようと勝手だが、ボードレールが惚れ込むほどの詩を書いた人かなと思っていた。フランス的な価値観に反抗的な彼のことだから、わざとポーを褒めたのではないだろうかと勘ぐっている。 「今日の詩」の選者はまたポーの詩を送ってきた。アメリカ人の誇るべき大詩人なのだろう。「今日の詩」がすべて普遍性のある良い詩ばかりとは限らないが、詩の人気は国によって異なるのが面白い。食わず嫌いもいけないので今日訳してみた。「今日の詩」はたしかに悪くない。 内容は、傲慢な月が登場すると、星は影が薄くなる。闇夜に星は輝くというが、ポーにはそう見えない。月夜の晩でも星の光は高貴である。 Evening Star 'Twas noontide of summer, And mid-time of night; And stars, in their orbits, Shone pale, thro' the light Of the brighter, cold moon, 'Mid planets her slaves, Herself in the Heavens, Her beam on the waves. I gazed awhile On her cold smile; Too cold- too cold for me- There pass'd, as a shroud, A fleecy cloud, And I turned away to thee, Proud Evening Star, In thy glory afar, And dearer thy beam shall be; For joy to my heart Is the proud part Thou bearest in Heaven at night, And more I admire Thy distant fire, Than that colder, lowly light. Edgar Allan Poe 夕べの星 夏の盛り 真夜中 軌道の星は 惑星に囲まれ 月の冷たき輝きに色あせ 空高く雲間に漂う 月の奴隷。 我はしばし見つめる 余りに余りに冷たき 月の微笑み。 帷のごとき 雲が通りしとき 我は汝に振り向く 彼方に輝く 気高き夕べの星よ 汝の光はさらに貴し。 汝が夜空で果たす 気高き役は 我が心の喜び。 汝の遥けき光は かの冷たく卑しき光より 賞賛されるべし。 エドガー・アラン・ポー
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2007年05月18日
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16.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ ライプツィッヒ、1877年11月15日
親愛なる友人へ
じつは、わたくしはあなたのお手紙を受け取りましたとき、何か変わったことが起きるものと思い、あなたがわたしたちに会いにみえるものと思って子供のように喜んでいました。ところが、読んでみたら、ヘルテル-ハウフェとベデッカーの星で始まり、そのあとはショパンでしょう。こう書き始められた方が率直というものではございません。「私は一月一日にお宅を伺います。コーヒーは上物をお願いします。ようやく分かってくれたと思いますが、フレッシュ・クリームを沸かさないのが私の好みです。とにかく私にひもじい思いをさせないでください。(エンマ・エンゲルマン夫人(1)に要領をおしえてもらって)昼食は美味しいのをお願いしたいものです。これらの条件が満足されるならば、私は、シュトックハウゼン(2)がくる前に、あなたに聴いていただくために新作のシンフォニーをただちに演奏するでありましょう、等々」 ええ、これこそ素直で感じのいい方のお手紙というものですわ。わたしはあなたの手紙を拝見して悲しくなりました。ご存知のように、わたしはずっと前から、新作の交響曲をカバンにいれて一月に当地を訪問されることを存じておりました。それにまあ、どうして’Symphonie’のような上品な言葉を Sinfonie と f でつづられるのでしょうか。それでもわたしは謙譲であろうと、努力して自分を抑え、お手紙を差し上げませんでした。ヘル・ブラームスから、お好きな時に自分から泊めてくださいという手紙を頂けるものとばかり思っておりました。これがご褒美なのですか。ばかげた謙譲ですわね。 ショパンについてほとんど知っておりません。わたしの知る限り、父はショパンの自筆原稿の所有者でした。父はそれをわたしの兄に贈与しました。兄は父の所有していたショパンの全集も持っています。彼はあなたに最上の情報を提供できるます。ショパンが書き込みをしたのがあるはずです。それらはすべて確認できます。このことを兄に郵便で知らせます。 今回あなたが完全に自由になりたくてハウフェ(新しい棟を増築し、ますます光り輝いております)に泊まりたいなら、もう少しほかの言い方があったはずです。そうすればわたしも少しは慰められたと思います。ヘルテル夫妻は今イタリアにいますので、あなたはそこには行けません。エンゲルマン家(3)もあなたをお迎えしたいでしょうが、家の解体工事があるのでだめです。エンゲルマン夫人はエンマと一緒に暮らしています。エンマはただ今妊娠中です。お幸せですこと。 というわけで、あなたがハウフェにお泊りになる計画をまだ立てておられないなら、あなたを敬愛するヘルツォーゲンベルク夫妻にお便りを下さい。 エリーザベト・ヘルツォーゲンベルクより 注 (2) ユリウス・シュトックハウゼン(Julius Stockhausen, 1826-1906)、有名な歌手、フランクフルト・アム・マインのマイスター称号を持つ。 (3) ウィルヘルム・エンゲルマン(Wilhelm Engelmann, 1808-1878)、ライプツィッヒの出版者で美術品収集家、エンゲルマン教授の父。
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