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「今日の詩」はバイロン卿の「さらば女神よ」である。この詩の由来については全く無知である。バイロン卿は「理想の女性」を求めて生涯を送った。理想主義者ドン・ファンさながらに女性遍歴を重ねた人である。今日は女性に関して大変な実績があったとされるバイロン卿の「別れの言葉」であり、形式も非常にきれいである。バイロン卿のみならず、とくにロマン派の詩人は、職業上の理由から女性に言い寄るように努力していた人が多かったと聞く。彼らは、詩想が枯れ、腕が落ちるという妄想に取りつかれる。一緒の職業病であろうか、結構しんどい職業である。「言い寄る」という行為と「別れる」という行為は対をなしている。 Farewell To The Muse Thou Power! who hast ruled me through Infancy's days, Young offspring of Fancy, 'tis time we should part; Then rise on the gale this the last of my lays, The coldest effusion which springs from my heart. This bosom, responsive to rapture no more, Shall hush thy wild notes, nor implore thee to sing; The feelings of childhood, which taught thee to soar, Are wafted far distant on Apathy's wing. Though simple the themes of my rude flowing Lyre, Yet even these themes are departed for ever; No more beam the eyes which my dream could inspire, My visions are flown, to return,--alas, never! When drain'd is the nectar which gladdens the bowl, How vain is the effort delight to prolong! When cold is the beauty which dwelt in my soul, What magic of Fancy can lengthen my song? Can the lips sing of Love in the desert alone, Of kisses and smiles which they now must resign ? Or dwell with delight on the hours that are flown ? Ah, no! for those hours can no longer be mine. Can they speak of the friends that I lived but to love? Ah, surely Affection ennobles the strain! But how can my numbers in sympathy move, When I scarcely can hope to behold them again? Can I sing of the deeds which my Fathers have done, And raise my loud harp to the fame of my Sires? For glories like theirs, oh, how faint is my tone! For Heroes' exploits how unequal my fires! Untouch'd, then, my Lyre shall reply to the blast-- 'Tis hush'd; and my feeble endeavors are o'er; And those who have heard it will pardon the past, When they know that its murmurs shall vibrate no more. And soon shall its wild erring notes be forgot, Since early affection and love is o'ercast: Oh! blest had my Fate been, and happy my lot, Had the first strain of love been the dearest, the last. Farewell, my young Muse! since we now can ne'er meet; If our songs have been languid, they surely are few: Let us hope that the present at least will be sweet-- The present--which seals our eternal Adieu. Lord Byron さらば女神よ 汝は力!我が幼少の時を支配したる 想像力の娘、別れを告げ、風に乗り 天に昇る時、これが我が最後の歌 我が心から迸る冷たき言葉なり。 我が胸はもはや歓喜を感ぜず 汝の激しき調べを止め、歌も請わず。 汝を天駆けさせたる少年の感動は 冷たき翼に乗り、はるか彼方を漂う。 我が竪琴から流れる調べは単調なれど この調べすらも永遠に別れを告げる。 我に夢を与えたる目が輝くことも 我が夢が溢れ戻りたることも ― ああ更になし! 宴の杯を彩りしネクタルも枯れ果て 快楽を延ばす試みのなんと虚しき! 我が心の美が冷えたり、空想の魔術も 我が歌をさらに延ばすこと能わず。 唇が拒みし今となり、独り荒野にて 愛や口吻や微笑を歌うこと能うるや? 流れ行く時を喜び過ごすこと能うるや? 否!かの時はもはやわが物にあらず。 我が唇が愛する友を語ること能うるや? 献身が歌を高貴にすることは確かなり! 我が己の詩を再度眺めるを嫌悪するとき 如何にして我が詩が共感を呼ぶこと能うるや? 我が先祖の成したる偉業を歌い、名誉に 合わせて竪琴を鳴り響かすこと能うるや? がの栄光に比べ、我が調べの何とか細き! かの英雄的偉業に比べ、我が炎の何と弱き! 触らざりし我が竪琴を突風に応ぜしめん ― 静まれば、我が微かな試みが終われるとき。 竪琴を聞きし人、もはや揺れ動かぬを知り 過ぎ去りしことを許すこと明らかなり。 かっての友情や愛情が節を覆い隠し 野蛮で狂った調べもやがては忘れられん。 ああ!祝福されし我が運命の女神よ 最初の愛の節が真であり、最後となるべし。 さらば我が若き女神よ!再会することもなし。 我らが歌が気だるくなるは稀なるは確かなり。 共に願わん、この贈り物が甘からんことを ― この贈り物 ― 我らが永遠の別れを印すもの。 バイロン卿
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2007年05月19日
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17.ブラームスからエリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクへ [ウィーン、1877年11月 23日] 親愛なる貴婦人へ 謙譲というものは 誰が着ても大変着心地の悪い衣装であります。あなたは私をからかっているのですか。それとも本当に私がご主人の顔を飾る美しいひげを引っ張って、婉曲にお願いしていたのが分からないのですか。あなたが改ざんした世界史を講義する必要はないでしょう。「良きコウノトリは12月にもどる。1月ではありません」(1) 新作の交響曲はたんなる Sinfonie です。私は前もってあなたのために弾くつもりはありません。あなたはピアノの前に座って、二つのペダルに可愛らしい足を乗せ、へ調の鍵を続けて叩けばよいのです。最初は高音域で、次に低音域で(ff と pp)。そのうち私の「最新作」(2)の生々しい印象が得られるでありましょう。 しかし私はあなたに反対してばかりで心底すまないと思っています。その埋め合わせになるニュースもあります。ゴルドマルクは昨日着きました。一月には彼のオペラ(3)をひっさげてライプツィッヒに行くことになるでしょう。このオペラのせいで、彼はグムンデンの仕事場のみならず、ここにも居着きません。私は彼をウィーンに引き留めておきたいものです。彼は愉快な人物ですが、ウィーンにはこの種の人物が少なすぎます。 でも今日はどれだけ手紙を書いたのでしょう。この辺で止めます。葉書ではなくて、便箋を封筒に入れるということは、あなたが私のこの前の手紙を誤解することをひたすら恐れるからであります。 あれは実際お願いの手紙でありました。ところで、エプシュタイン(4)に会って、私はさらにあなたのショパンの秘蔵品を期待することになりました。 今日の所は以上です。では失礼します。 誠実なるあなたのJ.ブラームスより (1)「古き恋(Alte Liebe)、作品72の第1曲」の引用。ドイツの言伝えでは、コウノトリが赤ちゃんを連れてくる。 (2)交響曲の性格を誤解させようとしていっている。実際には陰鬱とは正反対の曲である。 (3)「シバの女王」はウィーンの初演の成功から各地で公演された。 (4) ユリウス・エプシュタイン(Julius Epstein, 1832−)、ウィーンのピアニストで教授であり、フラウ・フォン・ヘルツォーゲンベルクの先生であった。 訳注: |

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