ヘ短調作品34

ルブランの回想録の link 先はゲストブックを御覧ください。

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カンガ・ディン

こんな安全な所に駐屯しているときや
こせり合いや兵営にいるときは
ジンやビールの話をしてもいいさ。
でも大戦闘になったら
水運びの仕事をすることになる
弾を喰らって血だらけの奴に急がねばならん。
インジャは日差しがきつい
あそこで俺は女王陛下に
お仕えしたものさ。
みんな黒い顔した連中だが
一番優秀だった奴は
連隊のビティ、ガンガ・ディンさ。  

   そいつがディン!ディン!ディンさ!
   この汚いビッコ野郎、ガンガ・ディン、ぐずぐずしおって!
   オイ!早くもってこんか!
   水だ、飲め!パネー・ラオ!
   この鼻水垂らしやがった老いぼれ奴!

あいつが着ていた制服といやあ
前はほんのわずかだった。
後は半分以下だったよ
よれよれのボロと
山羊皮の水袋
これがあいつの装備一式だ。
汗まみれの軍列が
日中退避して横になり
熱で瞼がムズ痒くなるとは
俺らは「こっちだ!」と叫んでは
咽をカラカラにしちまったものさ。
全員に水が支給されないとあいつを殴った。

   そいつがディン!ディン!ディンさ!
   この野蛮人、貴様は一体どこにいたんだ?
   もっとテキパキやれ
   貴様が俺のヘルメットを一杯にしなかったら、
   俺は貴様をすぐにのしてやるからな、ガンガ・ディン!
  
あいつは長い一日が終わるまで
びっこを引いていたものさ
それに恐れを知らないみたいだった。
わが軍が攻撃し、遮断したら
必ず血を流すものさ
あいつは右翼で50歩の所で背中に
水袋を背負って待っている。
あいつは攻撃のときは一緒に走り
「後退」のラッパが鳴るまで俺達を見ていた。
皮膚は汚いけれども
あいつの中身は真っ白だったよ
弾をくぐって負傷兵に駆けつけたぜ。

そいつがディン!ディン!ディンさ!
   弾が草の上にすげえ埃を上げて
   弾薬が尽きると
   前線の将校の大声が聞こえたものさ
   「オーイ、弾薬ラバとカンガ・ディン!」  
  
俺は忘れもしない
あの夜、俺は落伍しちまった
俺の弾帯の当たりに一発食らったらしい。
俺の息が詰まり、渇きで狂いそうだったが
最初に俺を見つけてくれたのはあの男
ニタニタ、ブツブツの戦友ガンガ・ディンさ。

あいつは俺の頭を上げ
俺の傷口を抑え
俺に半ピントの水をくれた ―緑色だ。
汚くてくさかったが
これを全部飲んでしまったよ
カンガ・ディンの水に感謝しているよ。

   そいつがディン!ディン!ディンさ!
   腹に弾を喰った野郎がいれば
   あいつは地面を張って、そこら中探し回り
   何としても水を手に入れたガンガ・ディン!

俺を運んでくれたぜ
担架が置いてある所に
弾が出てきて、なんとも哀れな俺を拭いた。
あいつが死ぬ前のことだった。
「あの水が欲しかったと思えました」といったガンガ・ディン。
俺もそのうちあいつに会うだろうよ
あいつが行っちまった所でな −
訓練は今の倍になり、酒保もありはしない。
あいつは石炭の上にしゃがみ込み
汗まみれの呪われた連中に水をくれているさ
俺はぜひとも頂戴するぜ、ガンガ・ディン!

   ディン!ディン!ディン!
   貴様は薄汚いガンガ・ディン!
   俺は貴様を殴り、ムチで打ったが、
   貴様の神様にかけていうが
   貴様は俺よりずっと上等だ、ガンガ・ディン!

キップリング

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「今日の詩」はずいぶん前に届いた詩である。兵隊英語の語彙が障害になったことは確かである。イギリス帝国主義の代表戦士であるキップリングの作品が抵抗なく送られてくるのである。この点驚きである。白人が優越した民族であり、劣った民族を指導しなければいけないという思想は別に珍しくはないが。

現在は否定された思想のもとで制作された傑作は確かにある。ヒットラーやムッソリーニやスターリン体制のもとでの傑作はあり得ると思う。作品の出来栄えさえよければ、人種差別用語がバリバリ出てくるキップリングの詩が許されるのはなぜか?やはり郷愁を感じる読者が多いということであろうか。なお「今日の詩」の「ガンガ・ディン」はキップリングの話題作であり、ハリウッドの愚劣な活動写真にもなっている。

ソフトの制約上英文編と和文編に分割した。

Gunga Din

YOU may talk o' gin an' beer
When you're quartered safe out 'ere,
An' you're sent to penny-fights an' Aldershot it;
But if it comes to slaughter
You will do your work on water,
An' you'll lick the bloomin' boots of 'im that's got it.
Now in Injia's sunny clime,
Where I used to spend my time
A-servin' of 'Er Majesty the Queen,
Of all them black-faced crew
The finest man I knew
Was our regimental bhisti, Gunga Din.

It was "Din! Din! Din!
You limping lump o' brick-dust, Gunga Din!
Hi! slippy hitherao!
Water, get it! Panee lao!
You squidgy-nosed old idol, Gunga Din!"

The uniform 'e wore
Was nothin' much before,
An' rather less than 'arf o' that be'ind,
For a twisty piece o' rag
An' a goatskin water-bag
Was all the field-equipment 'e could find.
When the sweatin' troop-train lay
In a sidin' through the day,
Where the 'eat would make your bloomin' eyebrows crawl,
We shouted "Harry By!"
Till our throats were bricky-dry,
Then we wopped 'im 'cause 'e couldn't serve us all.

It was "Din! Din! Din!
You 'eathen, where the mischief 'ave you been?
You put some juldee in it,
Or I'll marrow you this minute,
If you don't fill up my helmet, Gunga Din!"

'E would dot an' carry one
Till the longest day was done,
An' 'e didn't seem to know the use o' fear.
If we charged or broke or cut,
You could bet your bloomin' nut,
'E'd be waitin' fifty paces right flank rear.
With 'is mussick on 'is back,
'E would skip with our attack,
An' watch us till the bugles made "Retire."
An' for all 'is dirty 'ide,
'E was white, clear white, inside
When 'e went to tend the wounded under fire!

It was "Din! Din! Din!"
With the bullets kickin' dust-spots on the green.
When the cartridges ran out,
You could 'ear the front-files shout:
"Hi! ammunition-mules an' Gunga Din!"

I sha'n't forgit the night
When I dropped be'ind the fight
With a bullet where my belt-plate should 'a' been.
I was chokin' mad with thirst,
An' the man that spied me first
Was our good old grinnin', gruntin' Gunga Din.

'E lifted up my 'ead,
An' 'e plugged me where I bled,
An' 'e guv me 'arf-a-pint o' water—green;
It was crawlin' an' it stunk,
But of all the drinks I've drunk,
I'm gratefullest to one from Gunga Din.

It was "Din! Din! Din!
'Ere's a beggar with a bullet through 'is spleen;
'E's chawin' up the ground an' 'e's kickin' all around:
For Gawd's sake, git the water, Gunga Din!"

'E carried me away
To where a dooli lay,
An' a bullet come an' drilled the beggar clean.
'E put me safe inside,
An' just before 'e died:
"I 'ope you liked your drink," sez Gunga Din.
So I'll meet 'im later on
In the place where 'e is gone—
Where it's always double drill and no canteen;
'E'll be squattin' on the coals
Givin' drink to pore damned souls,
An' I'll get a swig in Hell from Gunga Din!

Din! Din! Din!
You Lazarushian-leather Gunga Din!
Tho' I've belted you an' flayed you,
By the livin' Gawd that made you,
You're a better man than I am, Gunga Din!

Kipling

豹 -- リルケ

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グーテンベルクに収録されているとはいえ、リルケは20世紀前半に活躍した詩人である。もう少し19世紀に活躍した詩人の詩で勉強すべきかとも思う。つい手を出してしまった。いずれ図書館で調べることとし、投稿してみることにした。かって原野を疾駆した誇り高き獣の檻の中の毎日である。

Der Panther

Sein Blick ist vom Vorübergehn der Stäbe
so müd geworden, daß er nichts mehr hält.
Ihm ist, als ob es tausend Stäbe gäbe
und hinter tausend Stäben keine Welt.

Der weiche Gang geschmeidig starker Schritte,
der sich im allerkleinsten Kreise dreht,
ist wie ein Tanz von Kraft um eine Mitte,
in der betäubt ein großer Wille steht.

Nur manchmal schiebt der Vorhang der Pupille
sich lautlos auf -. Dann geht ein Bild hinein,
geht durch der Glieder angespannte Stille -
und hört im Herzen auf zu sein.

Rilke




鉄枠に囲まれて視力は衰え
豹はジッとしておれなかった。
豹には無数の鉄枠があり
外には世界がないようだ。

ほんのわずかの範囲を動き回る
逞しく柔軟な足取りの歩行は
無感覚な大いなる意思の中心を
力強く旋回して踊るようだ。

時として瞼が静かに上がる
すると一つの像が目に入り
張りつめた静寂が全身を駆け巡り −
やがて豹の心から消えていく。

リルケ

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39.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ

ハウス・ザメックス [ガイルターレのアルノルドシュタイン]

1878年8月10日

 親愛なる友へ

 このお手紙の正当な持参者はさらに帽子をもってペルチャッハに参上いたします。この帽子をご自身用にお使いくだされば幸いです。これは、あなたが気に入っておられたハインリッヒの帽子とは実の兄弟で、あなたの黒いフェルトよりは額にくいこまないでしょう。母がトランクにもう一つ持っており、喜んであなたに差し上げたいとのことです。あなたの趣味を知っておりますので、周りにリボンを縫いつけようとしましたが、それではこの型を崩すことになるので止めました。

 わたしたちはあなたの家で雨宿りした楽しい時間を今でも懐かしく思い出しております。あなたがあのモテット(1)をアルノルドシュタインに持ち出すことを許してくださって、わたしは大変嬉しく思います。わたしの目は鈍いものですから、あの種のものを細部まですばやく取り込めませんでした。最初は、大聖堂のネイブに、それも夕日の時刻に入ったときに受ける、香しくも茫漠とした印象でした。すべては明るくて色彩的であり、全体の効果を考えた素晴らしい技法がかすかに感じられただけでした。でも明晰な鑑識眼で全体を見なおすには時間と日の光が必要です。この曲の精神に浸った今、わたしが愛する対象の個々の特徴や美しいさわりを選り出すことができます。これほど楽しいことはありません。

 わたしたちの若いイギリスのお友だち(2)から手紙を受け取りましたが、彼女は、「愛の歌(Liebeslieder)」のアルト、テノール、バスの部でまったく音楽的素養のない三人を徹底的に訓練して、今では彼女と歌って満足できる水準に達したとのことです。彼女は民謡を隣人に、彼女の話では、「愛の歌」,「五月の夜( Mainachat)」,「永遠の愛(Von Ewig Liebe )」(3)それにあのピアノ協奏曲のアンダンテの入った小コンサートを開いてブラームスを「接種」しようとしています。彼女はこれがもっとも相応しいプログラムであるとかたく信じています。

 それからお願いがあります。母はここでいたいけな人(4)の健康に変化が起きたらと心配しています。お医者さんに看てもらえるでしょうか。ペルチャッハにはお医者さんは誰もいませんか。ぜひ一人教えてください。

 さようなら。あなたの善意のお行いにあらためて感謝いたします。

  あなたの誠実な友エリーザベト・ヘルツォーゲンベルクより 

 ぜひアルノルドシュタイン(訳注1)にいらしてください。



(1)「なにゆえ悩む者に光をたまわり(Warum ist das Licht gegeben dem Mühseligen)。」混声合唱のための二つのモテット、無伴奏、作品74の第1曲。ジムロックから1879年に出版。

(2)エセル・スマイス(Ethel Smyth)(訳注2)、ピアニストで作曲家。当時ヘルツォーゲンベルクに教わっていた。彼女の作品には、ワイマールで公演された「ファンタジオ(Fantasio)」、大陸およびコベント・ガーデンで公演された「森(Der Wald)」、1907年にライプツィッヒとプラハでの「難破者(Strandrecht)」――1908年にはロンドンでニキシュ指揮でのコンサート形式で公演――が含まれている。その他室内楽多数。

(3)二つの歌曲、作品43。

(4)フラウ・エリーザベトの姉ユーリエ。

訳注

1. アルノルドシュタインはオーストリアがスロヴェニアとイタリアと国境を接する山岳地帯である。ベネディクト派の修道院があったところであるが、二人が訪れた数年後に大火災で破壊された。この地方と修道院の光景に興味のある方は見ていただきたい。現在復興中である。

2. エセル・スマイスは今後とも書簡集に登場する女性である。イギリスで最も有名なドイツの作曲家で指揮者のメンデルスゾーンゆかりのライプツィッヒ音楽院にきたが、失望してヘルツォーゲンベルク家に下宿してヘルツォーゲンベルクに師事した。彼女は女性であるエリーザベトに恋愛感情を持っていたとされる。たびたび彼女自身の回想録でエリーザベトのことを書いている。

アルノルドシュタインの風景である

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