ヘ短調作品34

ルブランの回想録の link 先はゲストブックを御覧ください。

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「今日の詩」は久しぶりにホイットマンのアメリカの賛歌である。このきわめてアメリカ的な詩人は必ずしもアメリカで最初から受け入れられたわけではない。逆にヨーロッパでアメリカ本国での冷遇が非難され、アメリカ人も認め始めたという経緯がある。何処にもある話だが。

I Hear America Singing

I HEAR America singing, the varied carols I hear;
Those of mechanics―each one singing his, as it should be, blithe and strong;
The carpenter singing his, as he measures his plank or beam,
The mason singing his, as he makes ready for work, or leaves off work;
The boatman singing what belongs to him in his boat―the deckhand singing on the steamboat deck;
The shoemaker singing as he sits on his bench―the hatter singing as he stands;
The wood-cutter’s song―the ploughboy’s, on his way in the morning, or at the noon intermission, or at sundown;
The delicious singing of the mother―or of the young wife at work―or of the girl sewing or washing―Each singing what belongs to her, and to none else;
The day what belongs to the day―At night, the party of young fellows, robust, friendly,
Singing, with open mouths, their strong melodious songs.

Whitman


アメリカの歌が聞こえる

アメリカの歌が聞こえる。いろんな歌が聞こえる。
機械工の歌 − 当然だが、力強く陽気に自分の歌を唄う。
大工は自分の歌を唄いながら、板や梁の寸法をとる。
石工は自分の歌を唄いながら、仕事を準備したり、中止したりする。
船員は舟の持ち場を唄い − 甲板員は蒸気船の甲板で唄う。
靴屋が腰を下ろして唄い、帽子屋は立って唄う。
きこりの歌 − 農夫の歌、朝でかける途中の歌、昼の休憩時間の歌、夕暮れ時の歌。
母親のやさしい歌声 − 家事をする新妻の歌 − 縫い物、洗濯をする娘の歌 −
みな自分の仕事の歌を唄い、他の歌を唄わない。
昼は、その日の仕事 − 夜は、親しい頑丈な若い仲間のパーティー
口を大きく開けて、力強く見事に歌を唄う。

ホイットマン

上の絵はブランマ・モーゼスの作品である。比較的気前のいいサイトはGrandma Moses(1860-1961)である。101才で死亡したときケネディ大統領が追悼のメッセージを送ったが、その2年後に彼は凶弾に倒れたのを記憶している。

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今日のドイツ語の詩はホフマンスタールの「緑の野にて歌う」である。内容がロマンティックだからか、二人の作曲家が付曲したことは分かっているが、私の知らない作曲家である。リヒアルト・シュトラウスでないことだけは確かである。

 
Im Grünen zu singen

War der Himmel trüb und schwer,
Waren einsam wir so sehr,
Voneinander abgeschnitten!
Aber das ist nun nicht mehr:
Lüfte fließen hin und her;
Und die ganze Welt inmitten
Glänzt, als ob sie gläsern wär.

Sterne kamen aufgegangen,
Flimmern mein - und deinen Wangen,
Und sie wissens auch:
Stark und stärker wird ihr Prangen;
Und wir atmen mit Verlangen,
Liegen selig wie gefangen,
Spüren eins des andern Hauch.

Hugo von Hofmannsthal


緑の野にて歌う

空は重苦しく陰鬱
僕たちは離れ離れ
この上なく孤独だった!
でも今はもう違う
大気はそよぎ始め
見渡す限り輝き
ガラスのようだ。

星は天に登りはじめ
僕と − 君の頬はきらめき
星は知っている。
星はいよいよ誇らしげに輝く。
僕たちの吐息は憧れに満ち
虜になった至福の気分で
お互いの息を感ずる。

ホフマンスタール

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41.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ

[アルノルドシュタイン]、1878年8月15日

 親愛なるわが友へ

 このお手紙はあのモテットのその後についてです。あなたがご親切にもこの貴重な歌をわたしたちに持ち出すことを許してくださったとき、わたしは、半分はわたし自身に「それとモテットも」と申しました。お返事がないものですから、暗黙の承諾と受け取り、ほかのものに一緒にしました。でもこれは大事にしてありますし、わたしたちが存分に可愛がったあとで、良い状態でお返しいたします。まあそんなに怒らないで。この窃盗事件の犯人はわたしです。でもわたしはあなたが意味ありげにウィンクしたものと思っておりました。「なぜ、なぜ(Warum? Warum?)」(1)このとびっきりの喜びを出し惜しみされるのですか。第一楽章では感激を押さえられませんでした。最初のページ(2)と次のページの「なぜ」までは、「そして来るなかれ」の見事な節付け以外何もいうことはありません。アルトの切分、とくに係留したホ音は愛らしすぎます。わたしは小節ごとに感嘆符をあなたに分けて上げることにします。

 わたしたちはグルムの宿に泊まっていますが、わたしたちの二部屋のほかは一部屋しかありません。でも保養客は少ないので、たぶん空いているだろうと思います。もう一軒宿がありますので、いらっしゃる前にお便りを頂ければ、ハインリッヒが手配できると思います。アルノルドシュタインは大変快適です。あなたのよれよれの本(3)にも書いてあるとおり、「楽しい位置」にあります。欠点としては、蝿と鴨の群がいること、騎兵分隊がここに駐留しているのでのどかな景色にそぐわないことです。いいことは数多くあります。青々とした植物、この上なく綺麗な岸辺、広々とした樅の森、ヴェルデン(訳注1)よりも澄み切った空気、ドブラッチの輪郭を前景にしたガイルタールのうっとりする山並み(訳注2)があります。植物のように静かに過ごすには良い所です。でもどうしましょう、あなたにはお魚がないのです。早いお返事であなたの忠実なヘルツォーゲンベルク夫妻の心を喜びで満たしてくださいますよう。



(1) [モテットは 「なぜ、なぜ」で始まっている。

(2) 楽譜の7ページ8小節と12小節。

(3) ヴァルヴァサドール、「ケルンテンの歴史」


訳注

(1)ヴェルデンの湖


(2)ガイルタールの山並み

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