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「今日の詩」は、イェーツの「足長蠅」である。不思議な詩であるが、物語性があり、読者を飽きさせないのはさすがである。イェーツは色々詩の型を工夫して研究者に論文ネタを提供したものだ。形式的には偶数行に韻を踏んでいるが、特に凝った技は遣っていない。 二人の有名な男性と一人の無名の女性を登場させて、それぞれが音をたてずに作業に打ち込み、「想いを巡らせている」。登場人物のエピソードの終わりには次の二行の節が挿入されている。 (小川を飛ぶ足長蝿のように 彼/彼女は静か想いを巡らす) Long-Legged Fly That civilisation may not sink, Its great battle lost, Quiet the dog, tether the pony To a distant post; Our master Caesar is in the tent Where the maps are spread, His eyes fixed upon nothing, A hand under his head. (Like a long-legged fly upon the stream His mind moves upon silence.) That the topless towers be burnt And men recall that face, Move most gently if move you must In this lonely place. She thinks, part woman, three parts a child, That nobody looks; her feet Practise a tinker shuffle Picked up on a street. (Like a long-legged fly upon the stream Her mind moves upon silence.) That girls at puberty may find The first Adam in their thought, Shut the door of the Pope's chapel, Keep those children out. There on that scaffolding reclines Michael Angelo. With no more sound than the mice make His hand moves to and fro. (Like a long-leggedfly upon the stream His mind moves upon silence.) William Butler Yeats 足長蝿 この文化は崩壊しないのでは 大戦争に敗れても この犬を静まらせ、この馬は 離れた柱に繋いでおけ。 われらのシーザーは テントで地図を広げ 一点を凝視することなく 顔に手をやる。 (小川を飛ぶ足長蝿のように 彼は静か想いを巡らす)。 天にも届く塔を焼くのだ 将兵にあの顔を覚えさせ このひっそりした場所で 動く時には気をつけそっと動くのだ。 まだ子供っぽい彼女は 誰も見てないと思い込む。 彼女は街で知ったジプシーの すり足を練習する。 (小川を飛ぶ足長蝿のように 彼女は静か想いを巡らす)。 あの思春期の女の子たちが 想像していたアダムを見るやも 法皇の礼拝堂の扉を閉め みなを中に入れるな。 足場のあそこに凭れるのが ミケランジェロ。 彼の手はあちこち動き 音を立てるのはネズミだけ。 (小川を飛ぶ足長蝿のように 彼は静か想いを巡らす)。 イェーツ
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2007年07月13日
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今日のドイツ語の詩は季節にふさわしくないが、世紀末の詩人トラークルはやはり気になる。彼は第一次大戦に看護兵として徴用され、オーストリアが大敗したゲロデクの戦闘で負傷した兵士の介護に狂い、薬物を過剰に摂取して死亡した。彼の有名なゲロデクは以前英訳した。今日の詩はそれほど深刻ではないが、やはり黄昏のウィーン。 Im Park Wieder wandelnd im alten Park, O! Stille gelb und roter Blumen. Ihr auch trauert, ihr sanften Götter, Und das herbstliche Gold der Ulme. Reglos ragt am bläulichen Weiher Das Rohr, verstummt am Abend die Drossel. O! dann neige auch du die Stirne Vor der Ahnen verfallenem Marmor. Georg Trakl 庭園にて ふたたび散策する古き庭園 ああ!静かに咲く赤や黄の花。 汝らの優しき神々、哀れみを汝らと さらに秋めく金色のニレに恵みたまえ。 薄青の沼に微動せず突き出る葦 夕べに沈黙するツグミ。 ああ!汝は頭を垂れる 古人の倒壊せる大理石の前。 トラークル
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67.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ [ライプツィッヒ]1879年12月1日 親愛なる友へ いそいで暗譜しましたので、あなたの貴重な原稿をお返しします。おたずねのわたしたちのコンサート・プログラムも送ります。今回の公演はいつもわたしたちの喜びであり、苦労に対する充分な報酬でした。コーラスが曲の本質を理解し、難しい箇所をこなしてくれる時は、人生におけるもっとも誇らしい瞬間です。彼らはわれを忘れ、不安を克服し、美しいパートでは嬉しそうに見つめ合います。バスは「汝ら悲しまん(Ihr aber werdet traurig sein)」の一節に感動して妙なる唱和をします。ある偉大なる人格のもとでの集団の一体性が感じられます。こんな瞬間はまことに貴重です。リハーサルごとに歌手の熱意が盛り上がっていくのを見つめるのが大いなる喜びであり、熱意を盛り上げるのがわれわれの栄誉と思っております。最初は演奏経験のある人はほとんどいないのです。一般市民の陳腐な「旧き良きバッハ」の崇拝とは一線を画す本物です。 ラデッケ(1)は主任オルガニストで、ただ座って順番にストップを引き出すのとは違います。 その件についてはもう止めます。もっと重要な件がありますが、先日の手紙でお伝えするのを忘れていました。お願いですから、クリスマスにはいらっしゃらないでください。引きこもっていたいので残念ですが、わたしたちは出かけております。でもいずれいらっしゃいますね。 今日クレンゲル(訳注1)を埋葬し、彼の墓でバッハを熱心に歌いました。 さようなら、親愛なる友。誠実なるわたしどうように、ハインツ善良公からもよろしくとのことです。 エリーザベト・ヘルツォーゲンベルク (1)ロベルト・ラデッケ(Robert Radecke, 1830−)バイオリンスト、ピアニスト、オルガンの名手、音楽監督。 訳注
1.クレンゲル一家は今後も書簡集に登場する。ブラームスの曲をチェロに編曲した人物もこの一家から出ている。 |

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桜と日本人ですね。なぜか、三島由紀夫を思...



