ヘ短調作品34

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「今日の詩」はブラウニングの「死せる公爵夫人」である。歴史上ドラマティック・モノログの選集には選ばれる有名な詩だそうである。このような形式の詩は初めてである。英語版ウィキペディアにこの詩の解説があり、おかげで誤訳はかなり減ったはずである。

話者はイタリアの有名な貴族の当主である25才のフェラーラ公爵アルフォンソ二世である。彼は新興のメディチ家の14才の娘ルクレチアと結婚した。彼女は陽気な性格であるが、まだ若く無教養と婿殿に判断された。新興財閥の娘であり、名門貴族の奥方になるに相応しい教育を受けていなかったのであろう。彼女は3年後に死亡し、毒殺説の噂が立った。フェラーラ公爵は、その後神聖ローマ帝国の皇帝の娘であり、ティロルの伯爵の姪にあたるバーバラという女性との縁談に乗り気であった。

この詩はフェラーラ公爵がルクレチアの死後、縁談を持ってきた伯爵の家来と思われる人物に「死せる公爵夫人」の肖像画を見せる形で展開される。陽気で教養のない彼女が肖像画では極めて厳粛な顔付きである理由をフェラーラ公爵は説明し、伯爵の縁談に乗り気になり、上機嫌で客を持てなす所で終わっている。英雄韻で終始し、一行10音節を守り、形式的に申し分なく、話も面白かった。


My Last Duchess

Ferrara:

That's my last Duchess painted on the wall,
Looking as if she were alive. I call
That piece a wonder, now: Fr?? Pandolf's hands
Worked busily a day, and there she stands.
Will't please you sit and look at her? I said
"Fr?? Pandolf" by design, for never read
Strangers like you that pictured countenance,
The depth and passion of its earnest glance,
But to myself they turned (since none puts by
The curtain I have drawn for you, but I)
And seemed as they would ask me, if they durst,
How such a glance came there; so, not the first
Are you to turn and ask thus. Sir, 'twas not
Her husband's presence only, called that spot
Of joy into the Duchess' cheek: perhaps
Fr?? Pandolf chanced to say "Her mantle laps
Over my Lady's wrist too much," or "Paint
Must never hope to reproduce the faint
Half-flush that dies along her throat": such stuff
Was courtesy, she thought, and cause enough
For calling up that spot of joy. She had
A heart ― how shall I say? ― too soon made glad,
Too easily impressed; she liked whate'er
She looked on, and her looks went everywhere.
Sir, 'twas all one! My favour at her breast,
The dropping of the daylight in the West,
The bough of cherries some officious fool
Broke in the orchard for her, the white mule
She rode with round the terrace ― all and each
Would draw from her alike the approving speech,
Or blush, at least. She thanked men, ― good! but thanked
Somehow ― I know not how ― as if she ranked
My gift of a nine-hundred-years-old name
With anybody's gift. Who'd stoop to blame
This sort of trifling? Even had you skill
In speech ― (which I have not) ― to make your will
Quite clear to such an one, and say, "Just this
Or that in you disgusts me; here you miss,
Or there exceed the mark" ― and if she let
Herself be lessoned so, nor plainly set
Her wits to yours, forsooth, and made excuse,
--E'en then would be some stooping, and I choose
Never to stoop. Oh sir, she smiled, no doubt,
Whene'er I passed her; but who passed without
Much the same smile? This grew; I gave commands;
Then all smiles stopped together. There she stands
As if alive. Will't please you rise? We'll meet
The company below, then. I repeat,
The Count your master's known munificence
Is ample warrant that no just pretence
Of mine for dowry will be disallowed;
Though his fair daughter's self, as I avowed
At starting, is my object. Nay, we'll go
Together down, sir. Notice Neptune, though,
Taming a sea-horse, thought a rarity,
Which Claus of Innsbruck cast in bronze for me.

Robert Browning.



死せる公爵夫人

フェラーラ

壁に掛かっているのが私の死んだ妻の肖像で
生きていたときとそっくりです。この作品を
私は奇跡だと言っています。フラ・パンドラフの
手先は一日中忙しく動き、妻はそこにいます。
お座りになり、妻を見られますか?私はわざと
フラ・パンドラフの名を上げたのは、あなたのように
初めて見られる方には、描かれた表情
真剣な眼差しの深みと情熱が読み取れません。
見詰めたのは私にだけです(あなたに今開きました
カーテンに注目するのは私だけだからです)
彼女の肖像は、この眼差しは何を意味するか
私に問いかけるようでした。振り返り、尋ねるのは
あなたが最初でありません。それはただ夫がいる
せいではありませんでした。私の妻である
公爵夫人の頬に喜びの跡が見えるのは。おそらく
フラ・パンドラフが「奥方様のガウンが手首に
重なりすぎています」とか「ほんのりとした紅が
奥方様の喉に沿って消えて行くのを巧みに描くのを
絵の具が拒んでおります」とか。このようなことが
妻は礼儀と考えていましたから、喜びの表情を
呼び起こした理由だと考えられます。妻は
− なんと申しましょうか? − すぐに喜ぶ性質で
すぐに感動しました。妻は見るものすべて
好きになり、妻の視線はどこにも向きました。
なんでも同じでした!私が彼女の胸を気に入るのも
西方に沈んで行くときの太陽の光も
おせっかいな道化が果樹園に入り込み
彼女にお届けする桜桃の一枝も、彼女が
テラスで乗り回す騾馬も − どれもこれも
同じような賞賛の言葉をしゃべるか、少なくとも
顔は紅潮しました。彼女は皆に感謝しました −
それは良いとしても − どういうのか − まるで
彼女は九百年の昔からの家に生まれた私と他の人を
同列にしているようでした。かかる些細なことで
謙り下り咎める人など何処にいましょう?話術に長けた
人物なら − (私はその才はありません) − かかることに
「これとあれが気に入らぬ。こことあそこが間違っている」
と明確な意思表示されるでしょう − 彼女がちゃんとした
教育を受けているか、教養のない話を
皆とはしなく、謝るとかすればですが
− その時にでも謙るべきです、私は
謙ることはしません。たしかに彼女は私と会えば
笑いました。誰でも彼でも同じように
笑いかけ、次第にひどくなりました。私は命じましたら
全く笑わなくなりました。そこに立っている彼女は
生前のままです。さて行きませんか?それでは
階下の仲間にお会いしましょう。繰り返しますが
あなたのご主人の伯爵は気前のよさで
有名ですが、私の正当な持参金の要求が
認められるための充分な保証です。確かに
最初に誓いましたように、私が望んでいるのは
伯爵の美しい令嬢の人柄です。さて一緒に
下に参りましょう。ネプチューンが海馬を
手なずけているもので、珍品とされています。
インスブルックのクラウスが青銅で鋳造したものです。

ブラウニング

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今日のドイツの詩もトラークルの「夢見るセバスティアン」の第6部「エリス」である。第5部にも登場したエリスを歌った詩である。トラークルにはだいぶ慣れてきたような気がするが、少し訳文を変えてみた。相変わらず「青」、「黒」、「金」等の色で彩られ、「静寂」を強調する音が微かに響く詩である。

Elis

1
Vollkommen ist die Stille dieses goldenen Tags.
Unter alten Eichen
Erscheinst du, Elis, ein Ruhender mit runden Augen.

Ihre Bläue spiegelt den Schlummer der Liebenden.
An deinem Mund
Verstummten ihre rosigen Seufzer.

Am Abend zog der Fischer die schweren Netze ein.
Ein guter Hirt
Führt seine Herde am Waldsaum hin.

O! wie gerecht sind, Elis, alle deine Tage.
Leise sinkt
An kahlen Mauern des Ölbaums blaue Stille,

Erstirbt eines Greisen dunkler Gesang.
Ein goldener Kahn
Schaukelt, Elis, dein Herz am einsamen Himmel.

2
Ein sanftes Glockenspiel tönt in Elis’ Brust
Am Abend,
Da sein Haupt ins schwarze Kissen sinkt.

Ein blaues Wild
Blutet leise im Dornengestrüpp.
Ein brauner Baum steht abgeschieden da;

Seine blauen Früchte fielen von ihm.
Zeichen und Sterne
Versinken leise im Abendweiher.

Hinter dem Hügel ist es Winter geworden.
Blaue Tauben
Trinken nachts den eisigen Schweiß,

Der von Elis’ kristallener Stirne rinnt.
Immer tönt
An schwarzen Mauern Gottes einsamer Wind.

Trakl


エリス

1

完璧なるこの黄金の日の静寂。
樫の古木の下に
現れるエリス、汝、丸き目の憩う娘よ。

樫の青は恋人たちのまどろみを写す。
汝の口に
籠る薔薇色の嘆息。

漁師は夜重き網を引き上げ
羊飼いは巧みに
群れを森の縁へ移動させる。

ああエリスよ、汝の日々の何と純なる。
青き静寂が
オリーブのむき出しの石垣に静かに沈む。

白髪の暗き歌声は消え去る。
金色のカヌーは
孤独な彼岸で、エリス、汝の心を揺り動かす。


2
静かな鐘がエリスの胸に
響く時
夜の頭は黒き枕に沈む。

青き野獣が
秘かに棘の叢で血を流し
青き樹が寂し気に立つ。

その木の青き果実は落ちた。
星と兆しは
夜の沼に静かに沈んだ。

丘の向こうはすでに冬。
青き鳩が
夜飲む氷の汗は

エリスの水晶の額から滲みでた。
神の黒き石垣に
絶えず響く孤独な風。

トラークル

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80.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ

[ライプツィッヒ、1881年1月]

 あなたが行ってしまわれたら早速、「いつになれば平穏になれることやら(Wann hort der Himmel auf zu strafen )」(1)の調べであなたを悩ますのがわたしの宿命みたいです。フロイライン・チンマーマン(2)がわたしを介して、ミス・マケンジーに差し上げたいので、あなたの自筆原稿をくださいといっていました。ミス・マケンジーはあなたの英語を訳した方です。彼女はあなたが原稿をおいて行かれたかと聞きにきました。わたしはあなたにお伝えしたのですが、念は押しませんでした。片手落ちでした。わたしの責任ですので、罰として、わたしがあなたを悩ませる役を演じます。忘れないでください。ミス・マケンジーはぜひ欲しがっていますし、フロイライン・チンマーマンは、 ミス・マケンジーから教わってあなたの曲が好きになりましたので、ぜひとも感謝の意味で彼女の希望をかなえてあげたいのです。

  親愛なるブラームス様、ヘルツォーゲンベルク家はいたって静かです。楽しい時間を持てたのは多少とも慰めにはなりますが、またお会いしたいです。また来て ください。あなたは音楽と友情でわたしたちの心を照らしてくださいました。この種の喜びは長続きしますし、繰り返しは音楽家だけではなく凡人にも必要です から、この旧式の記号を下さいますよう。

{記号}

 ルビンシュタインと彼の交響曲は失敗でした。でも、「なじかは知らねど、心侘びし」(3)からず。

 … もう一つお伝えすることがあります。二人の女の子はあなたが発たれてから興奮してやってきまして、喘ぎながら、ブラームス氏にたいするあらゆる感情の入り交じった、訳のわからぬ感謝を言い、ぜひこの訳の分からぬ感謝を分かるように言ってくれとせがみました。被告ヨハネス・ブラームス、お前は、チャイナやサティン(4)に 何千グルデンも使う音楽家に数えられたくないであろうが。であれば、二度と起こしてはならぬことを起こしたがゆえに、お前の有罪は明らかである。真面目なところ、わたしは腹を立てました。彼女たちはこう打ち明けて、わたしたちの友情につけ込んで小言を言いたかったのです。

 ではさようなら。クリサンダー氏の新年の願いは、あなたが「それなくして真の満足はない、作曲の継続性」を体験されることでした。わたしの願いは、それなくして誠実なる夫婦にもはや真の幸福がない友情の継続性を体験することです。

ハインリッヒとL.ヘルツォーゲンベルクより



(1) ブラームスはウーラントの歌詞にカノンを書いて、ナウマンの「挿絵入り音楽史」に提供している。
Wann h??rt der Himmel auf zu strafen
Mit Album und mit Autographen
「いつになればアルバムや自筆原稿から解放されて
平穏になれることやら」

(2) アグネス・チンマーマン(Agnes Zimmermann, 1845−)、ピアニストで作曲家。

(3) ハイネの「ローレライ」の最初の二行。

(4) ワーグナーのサティン道楽をほのめかしている。

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