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「今日の詩」はエミリー・ディキンソンの ”The Day Came Slow, Till Five O' Clock” 邦題を「太陽は五時にゆっくりご来訪」としてみた。久しぶりにエミリーの才気に感心した。象徴を駆使し、簡潔である。正解とも誤解とも言い切れないエミリーの詩である。最終的には読者の判断に委ねられるが、私なりの解釈を披露しておく。 閉じこもりのエミリーが迎えた爽やかな朝。今日は珍しくご機嫌である。太陽が空を紅に染め、やがて地上を黄色に染め、太陽が東の丘から登場する。太陽は到着した「貴婦人」に喩えられる。やがて風と鳥が迎える。風は「貴公子」で鳥は「召使」である。最後に果樹園はおそらく「宝石店」であろう。ニコニコ顔のユダヤ商人が貴婦人をお迎えする。太陽のお蔭で明るくなるといわずに、こんな素敵なところで過ごせる太陽を祝福するという形式がにくい。 彼女お得意のバラッド形式を厳格に守りながら、朝の神秘的な一時をパープル、トパーズという高貴で高価な色や宝石で飾り、貴公子のお出迎えを受け、最後に果樹園とユダヤ人(ユダヤ商人と訳した)を結びつけることで貴婦人のご機嫌な雰囲気を描写した。彼女の快心作であろう。 訳は多少辞書に訳例のない日本語に置き換えた。day は「太陽」にした。The purple を「深紅の兵」にした。「深紅」で兵隊を象徴させた。その前にマスケット銃が出てくるのでそれとの関係から丘を守ろうとする兵隊とした。 The day came slow, till five o'clock The day came slow, till five o'clock Then sprang before the hills Like hindered rubies, or the light A sudden musket spills The purple could not keep the east, The sunrise shook from fold, Like breadths of topaz, packed a night, The lady just unrolled. The happy winds their timbrels took; The birds, in docile rows, Arranged themselves around their prince (The wind is prince of those). The orchard sparkled like a Jew, -- How mighty 't was, to stay A guest in this stupendous place, The parlor of the day! Emily Dickinson. 太陽は五時にゆっくりご来訪 太陽は五時にゆっくりご来訪 丘の前方で飛び上がり まるで隠れていたルビー 突然マスケットから出た銃光 深紅の兵は東方を守りきれず 朝日は柵からすり抜け 夜をトパーズですっぽり封じ 貴婦人ただ今ご登場。 風は楽しげに二輪車に乗り 鳥は大人しく横並びし 貴公子のそばに整列している (鳥は風の召使)。 果樹は愛想良く迎えるユダヤ商人― なんてすごいこと こんなすごい所で客になる 太陽の大広間! エミリー・ディキンソン 以下アクセントのある音節とない音節を表示した。四詩節ともに完全なバラッド形式であり、8音節と6音節の調子を維持している。一部を除いて弱強格が守られている。なお彼女の偶数行は珍しく正式の韻が踏まれている。 The day came slow, till five o'clock Then sprang before the hills Like hindered rubies, or the light A sudden musket spills The purple could not keep the east, The sunrise shook from fold, Like breadths of topaz, packed a night, The lady just unrolled. The happy winds their timbrels took; The birds, in docile rows, Arranged themselves around their prince (The wind is prince of those). The orchard sparkled like a Jew, -- How mighty 't was, to stay A guest in this stupendous place, The parlor of the day! Photo by tragicendingtoabeaut ifulstory @flickr
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2007年10月18日
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今日のトム・トムスンは ”Woodland Waterfall” である。カナダのカエデは有名だが、カエデの見頃はもう過ぎたかもしれない。カナダには人口を上回る水たまりがあるとされる。トムはカナダの特定の湖を好んで描いたが、ナイヤガラは勿論のこと滝を描いていない。珍しいのと秋も深まりつつあるのでこの絵を取り上げた。 詩人はボールガールであるが、この絵とは関係なく、巨大な川の話である。フランス名はサン・ローラン川、英語名はセント・ローレンス川である。フランス系カナダのケベック州にまず駆けつけたのは、フランスのカトリック宣教師団であり、その後の文化を形成した。カトリックの聖人の名前にちなんだ地名や町名が非常に多い。アメリカとの自然の国境になっているこの川の名前も殉教したキリスト教の聖人にちなんでいる。 La brume Le Saint-Laurent, mordu par les souffles d'automne, S'exaspère. Partout sur le fleuve dément L'âme des bois brûlés flotte languissamment. Affolé, mon canot plonge dans l'eau gloutonne. Pas d'oiseaux. Aucun coup de fusil ne résonne. Le vaste et lourd brouillard, gris uniformément, De son opacité cache tout mouvement Et dams une caverne étrange m'emprisonne. Verdâtres, turbulents, accourus du chaos, Avec des bruits de haine autour de moi les flots Se dressent. On dirait la fureur d'une armée. Seul et domptant la voile où souffle un vent du nord Je me crois égaré dans quelque monde mort Sous l'irrémédiable ennui de la fumée. Alphonse BEAUREGARD (1881-1924) 霧 サン・ローランは秋風に襲われ いら立つ。狂った河流の至る所 燃えた木の霊が気だるく揺れる。 僕の子舟は貪欲な水に突っ込む。 鳥はいない。猟銃の音もしない。 重苦しい霧が垂れ、一面の灰色 暗くて動きがまったく見えなく 未知の洞窟に閉じ込められた。 激しく走り寄る緑色の混沌が 怒号を発して僕を囲み、流れは 僕の通行を禁止する乱暴な軍隊。 北の風が吹けばひとり帆をなだめ むせ返る空気、回復不可能な疲労 数ヶ月も死の放浪をした気がする。 アルフォンス・ボールガール
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今日のドイツの詩は久しぶりにボルトの表現主義の詩「秋の公園」である。出来る限り感傷的、牧歌的な表現を避け、落ち葉は活発な街娼に喩える。老醜をさらす秋を描く都会の公園。でもなぜか愛嬌がある。 この14行の前衛詩はなんとペトラルカのソネット形式に従っているではないか? すなわち[a, b, b, a][ c, d, d, c][ e, f, e, f] である。 Herbstpark Die gelbe Krankheit herrscht. Wie Säufern fällt Das Laub Ahornen aus den roten Schädeln, Und Birken glühn gleich flinken Gassenmädeln Im Arm der Winde auf dem schwarzen Feld. Und wie die Hände einer Frau, die sinnt Ihrem Gemahl nach und der starken Lust, Ward weiße Sonne kühl! Du aber mußt Der Nächte denken, die im Juni sind. In diesen sternenbunten, sagt man, fror es. Der Park ist so verstört. Aus beiden Teichen Zittert die Stimme des gefleckten Rohres, Wenn Wellen so vom seichten Sande schleichen. Und Regen droht. In Kutten, stummen Chores, Gehn Wolken um die großen, grünen Eichen. Boldt 秋の公園 蔓延する黄色い疫病。楓の葉は 酔いつぶれて赤い頭から転落し 燃える白樺の葉は敏捷な街娼 風に抱かれて暗闇に消え去った。 恋人やとても嬉しいことを 考えていた女の手みたいに 冷たい蒼白の太陽。でも君は 六月の宵を想えばいいのだよ。 星がこんな色の時は寒いという。 荒れ果てた公園。二つの池の 薄汚れた葦の声は震えている。 波が浅い砂に忍び寄るときは 雨がふる。衣を纏った合唱隊 雲が黙って大きな緑の樫を囲む。 ボルト 絵のモデルはイギリスで活躍した風俗画家 James Tissot の愛人である。
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164.ブラームスからエリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクへ [ミュルツツシュラーク、1885年8月29日] 親愛なる友へ 私は次々にお宅を訪問する機会を逃しているようです。道連れが一人もいない列車が何となく気乗りがしないせいか、近隣の訪問する義理のある知り合いが多いせいでしょうか。まだそちらにいますか。今は二人だけですか。私の一曲中のほんの一曲(1)を思い切って送ってよいでしょうか。それを見る時間がありますか。感想を述べて頂けますか。問題はこの曲は私にはよくできていて、さらに直す所がないのです。しかし、この部分では、チェリーは決して食べ頃ではありません(2)。味が悪ければぜひおっしゃってください。急いで悪いNo.4を書きたくはありません。 それで思い出したが、いつ「一番」が見られますか。コンサートの指揮者みたいに、弁解を待たなければならないのですか。 アストール(3)はまだですか。私は長い間まさにこの「一番」を詳しく見るのを楽しみにしてきたのに。――では失礼します。 あなたのJ.Br.より (1) 交響曲第四番の第一楽章。 (2) ブラームスは彼の新作の交響曲の苦味をビューローに警告する必要があると考えていた。このことについて書いている。「私は今回作曲していて、君と一緒にくつろいでリハーサルできることを夢見ていた。――この夢はいまだに持ち続けているけれど、他にはだれも聴衆がいないのではないかとも思うよ。この気候に影響されたのではないだろうか。ここではチェリーが熟することはないのでね。うっかり食べてはいけません」 (3) ヘルツォーゲンベルクの出版者。
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桜と日本人ですね。なぜか、三島由紀夫を思...



