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「今日の詩」の選者が送ってきたのはスティーヴンソンの「旅に出る」である。彼はいつも船旅をしていた。また船旅をしようという、という今日の詩も彼の終焉の地で制作されたのかもしれない。詩は日記ではない。各詩節の偶数行は同韻である。各行最大で4音節ときわめて簡潔である。4 写真は彼がサモアで購入し、住み着いた農園である。 The Far-Farers The broad sun, The bright day: White sails On the blue bay: The far-farers Draw away. Light the fires And close the door. To the old homes, To the loved shore, The far-farers Return no more. Robert Stevenson. (1850–1894) 旅に出る 太陽は燦々 この良き日 白い帆船が 青い入江に。 旅立つ人は 去り行く人。 火を燃やし 扉を閉めよ。 懐かしき家 愛する岸辺 旅立つ人は 再び戻らず。 スティーヴンソン
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2007年10月24日
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今日のトム・トムスンは “Blue Clouds, Wooded Hills, and Marshes” である。今日の詩に合う絵を意識するといけない。激しい筆遣いはゴッホを想わせる。ゴッホがそろそろ注目されてきた時代の制作。トロントといえども、カナダではゴッホの真作を見る機会はほとんどなかったはずであるが、トムは雑誌の装丁などでバイトをしていた。ヨーロッパの影響を受けていたと指摘する人もいる。 詩人はネレー・ボーシュマン。西に沈む太陽と穀物の収穫を祝う典型的な季節の詩である。なお「メシドル」は収穫の女神で表現されることが多い。フランス革命後の「共和国暦」では「メシドル」が月の名前に採用されたが、イエズス会の影響大なるケベックで「共和国暦」は考えにくい。ここは「メシドル」としておいた。 Crépuscule rustique La profondeur du ciel occidental s'est teinte D'un jaune paille mûre et feuillage rouillé, Et, tant que la lueur claire n'est pas éteinte, Le regard qui se lève est tout émerveillé. Les nuances d'or clair semblent toutes nouvelles. Le champ céleste ondule et se creuse en sillons, Comme un chaume, où reluit le safran des javelles Qu'une brise éparpille, et roule en gerbillons. Chargé des meules d'ambre, où luit, par intervalle, Le reflet des rayons amortis du soleil, Le nuage, d'espace en espace, dévale, Traîne, s'enfonce, plonge à l'horizon vermeil. Mais l'ombre, lentement, traverse la campagne, Et glisse, à vol léger, au fond des plaines d'or. Septembre, glorieux, derrière la montagne, A roulé, pour la nuit, le char de Messidor. Nérée BEAUCHEMIN (1850-1931) 田園の黄昏 はるか西方の大空を彩る 刈入待つ麦や枯葉の黄色。 清々しき輝きは隠れずに 広がる光景は目を驚かす。 黄金の色はつねに変わり うねる天の野は畦を残し 茅葺に輝くサフランの束 風に散らされ転がるよう。 時々光る琥珀の麦を担い 太陽で光の反射は弱まり 雲は間隔を置いては滑り 裾は地平の朱に沈み行く。 影もゆっくり野を横切り 黄金の底に軽やかに飛び 九月は荘厳に山の背後に メシドルの車で夜に進む。 ネレー・ボーシュマン
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ヘッセの小品がまだ僅かに残っていた。青くはなかったが先日蝶が一人ひらひら飛んでいるのを見た。束の間のこううんというべきであろうか。 Blauer Schmetterling Flügelt ein kleiner blauer Falter vom Wind geweht, Ein perlmutterner Schauer, Glitzert, flimmert, vergeht. So mit Augenblicksblinken, So im Vorüberwehn Sah ich das Glück mir winken, Glitzern, flimmern, vergehn. Hermann Hesse 青い蝶 青い小さな蝶が 風に靡いて飛ぶ 真珠の如き戦慄 震え、輝き、去る。 一瞬点滅しては 通り過ぎて行き 点滅する幸運が 震え、輝き、去る。 ヘッセ Photo by alte_kuh_sjn @flickr
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[同封] ケーニヒゼー、1885年9月8日 親愛なる友へ わたしたちはヴォルデレックに行って来ました。あなたの交響曲の第一楽章を親愛なる女性に弾いてきました。寄せ集めのオーケストラのお粗末な最初の読み合わせみたいでしたが、あなたの意図は理解していると言っていました。これで助かり、感謝しました。わたしたちの外出は一日がかりでした。今日は一日荷造り に追われていましたがさらに客がありました。もっともスコアは時々盗み見ていましたけど。曲は次第に明瞭になり、現実味を帯びてきました。わたしは新しい 発見をしました。でもわたしはいつもより――帰る途中でハインツに言ったのですが――形式化しようとするとたちまち、わたしたちの意見には繊細さや花がなくなるという残酷な結末を感じてはいました。ちょうど蝶々が、移ろいやすいものに手をかけ自由の表象を閉じこめようとする捕集者を非難して、羽根からうぶ 毛を払おうとするようなものです。あなたの作品はわたしを不思議に感動させました。入り込もうとするとまたその奥があります。最初は星を隠した黎明の光で すが、さらに多くの星がくっきりと見え始めるのです。予想通りの、あるいは予想外の明確な喜びの源泉がさらに多くなります。この複雑な作品に統一性を与える偉大な中心的な駆動力をより明瞭にたどることができます。すべてのターン、リズム、ハーモニー、色彩等の不思議な照明的効果を、目と耳を凝らして把握しようとして厭きることはなく、またあなたの堅実で繊細な鑿のふるい方を賛美して厭きることもありません。あなたの創造的才能の証拠に接するたびに、発見者 や博物学者の喜びを体験する可能性は無尽蔵です。 しかしここが漠然とした疑問が忍び寄るまさにそのところでもあります。これが存在する「まさにそのところ」を、わたしは自分で納得するまで明らかにすることはできませんし、わかりやすい言葉で翻訳するのはさらに困難です。わたしは、あなたの頭脳の作品は顕微鏡で検査しながら創られたという感じがします。 ――素朴な音楽愛好者にとっての美は存在しないかのようです。賢者と伝授を授けられた人のための小さな世界のようで、そこには「暗闇を歩く」普通人はほん の少しの割合しかいないのです。わたしは多くの楽節を目で発見しました。そして言わせていただきますが、もしそれがなければ、感覚の自然な経路を通ってで はなく、わたしの理解力を媒体にして聴くほかはありません。たとえあなたがこれを、わたしの作品に関する知識の観念的性質のせいにされたにしても、――作 品は当然すべての力が表現されたものを聴くべきです――わたしの意見はある程度真実です。そうならずに、わたしの誤謬が証明されるならばそれは嬉しいことです。 でも依然としてわたしには思えるのですが、実際の魅力が単純で直接的であったとすれば、その効果は巧みに織り込まれた細部の絡み合った副産物を犠牲にする ことによってのみ得られるものであり、それは果実を味わっていると見逃してしまうものです。これは、この主題、あの主題の断片を常に追跡することを意味し ます。わたしたちは神経質になり、何もないところまで跡を嗅ぎ回りました。わたしたちは、腕を組んで目を閉じ、作曲者は容赦なくわたしたちを遠くに駆り立 てますが、一度心を空にして彼に寄りかかって休みたいと思いました。わたしたちはずっとあなたのもとで成長してきました。ほかの誰にもこんな鋭い視覚は持ち合わせません。またわたしたちの知性を高度に働かせることができます。わたしたちは、こうではない場合に、道程が楽しくても険しくても、あなたに従いま す。わたしたちがさらに旅を続けることを望むのは夢見た道程があるからです。 それが仕上がりを最高に魅力的にする理由だとは思われませんか。そこで、絡み合った重い副産物を見ても、元気な表情で(revenants)暗闇を見通し、小さな流れが別れては再び合流するのを追いかける気になります。しかし、一楽章の初めや終わりが過度に凝ったもので飾られていたら、効き目は なくなります。わたしが言いたい例の一つとして、三頁を見てください。ここではフィドルには主題の断片が与えられています。 {楽譜挿入}(16) これは主音が非主音に付随しています。第一主題が木管とビオラで導入される新しい音形に付随しています。 {楽譜挿入} わたしたちが変化した形でも認識できるようになり、その効果を完全に理解するまで第一主題にはなじめませんでした。展開部の終止にも似たような場合があり ます。木管の四分音符の三連音に気が散って、フィドルの切分されたピッチカートにある第一主題が認識できませんでした。 {楽譜挿入}(17) ここで休みたくなります。――そして忘却。(18)
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(16) 総譜5ページ第11小節。 (17) 18ページ第10小節。 (18) ここで手紙は切れている。
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桜と日本人ですね。なぜか、三島由紀夫を思...


