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「今日の詩」はイェーツの「難しい芸当に興奮する」である。イェーツはカンカンに怒っている。もともと演劇に無知な私は、彼が若い頃脚本を書いていたとは知らなかった。演劇は大変なのだろう。 上の絵はロマン派の画家ドラクロアの「デスデモーナの死」である。イェーツが「オセロ」に関係したかどうかは知らない。 The Fascination Of What's Difficult The fascination of what's difficult Has dried the sap out of my veins, and rent Spontaneous joy and natural content Out of my heart. There's something ails our colt That must, as if it had not holy blood Nor on Olympus leaped from cloud to cloud, Shiver under the lash, strain, sweat and jolt As though it dragged road-metal. My curse on plays That have to be set up in fifty ways, On the day's war with every knave and dolt, Theatre business, management of men. I swear before the dawn comes round again I'll find the stable and pull out the bolt. William Butler Yeats 難しい芸当に興奮する もう難しい芸当に興奮する血なんぞ 私の血管から干上がって、心臓から 無理に借りて、率直、自然に喜ぶ始末。 われらの若馬はどうも病気のようだ。 神聖な血を受けていないかのように オリンポスの雲から雲へ跳ねるでなく 鞭、緊張、汗、衝撃の下で振るえながら 道路を足引きずって行く。芝居なんか 大嫌いだ、演出は50通りもあるのだ。 悪漢や馬鹿との闘争に日々が明け暮れ それに劇場商売や人間の管理とくる。 夜が明けるまでには、必ずやこの私は 厩を見つけ出して、閂を外してみせるぞ。 イェーツ
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2007年10月26日
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今日のトム・トムスンは “Moonlight” である。風景画家に夜の絵は多くない。夜の長いカナダで夜を描かなかったら、制作が制約されてしまう。カナダの荘厳な夜の風景を表現した絵として貴重である。それと今日の詩人の心境とも通ずるものがあるので採用した。 Eudore EVANTUREL(ユードル・エヴァンチュレル)については、フランス・ウィキペディアでは書きかけの記事がある。彼はケベックの詩人で、ケベックの文芸運動に参加しようと、若干26歳で ”Premières poesies” を発表した。だがケベックの保守派の人々の反発を招き、以後個別に発表したとある。この一作では分からないが、闘うべきケベック人としては軟弱なのだろうか。作品はフランスの詩人ミュッセの影響とヴェルレーヌ風の訛りが感じられるとのことである。 Soulagement Quand je n'ai pas le coeur prêt à faire autre chose, Je sors et je m'en vais, l'âme triste et morose, Avec le pas distrait et lent que vous savez, Le front timidement penché vers les pavés, Promener ma douleur et mon mal solitaire Dans un endroit quelconque, au bord d'une rivière, Où je puisse enfin voir un beau soleil couchant. O les rêves alors que je fais en marchant, Dans la tranquillité de cette solitude, Quand le calme revient avec la lassitude ! Je me sens mieux. Je vais où me mène mon coeur. Et quelquefois aussi, je m'assieds tout rêveur, Longtemps, sans le savoir, et seul, dans la nuit brune, Je me surprends parfois à voir monter la lune.
Eudore EVANTUREL (1854-1919)
慰めなにもする気がおきないと 僕は外にでる、悲しく、憂鬱になり ご存知のように、ぼんやり、のろのろ歩き おどおどして道を見詰め 痛みや孤独な苦しみを抱えながら どこか川岸にでも行き 美しい夕日を眺めている。 歩いているときの僕の夢 ひとり静かにして 疲れて気分が落ちつくとき! 僕は気分がいい。 僕は気の向くままに歩く。 ずっと夢見る気分で腰を下ろし 時のたつのも忘れ、ただ一人闇夜で 月が上るのを驚きながら眺めている。 ユードル・エヴァンチュレル
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今日のドイツ語の詩はデーメルの “Erwartung” である。文字通り「期待」と訳した。夜の訪問者である話者が彼女の受け入れを待つ夜の池。池に反射する月と話者が外したオパールの輝きと道具立ては揃っている。デーメルの色彩感覚は世紀末のものであり、シェーンベルクがこの詩に付曲したのもうなづける。 Erwartung Aus dem meergrünen Teiche neben der roten Villa unter der toten Eiche scheint der Mond. Wo ihr dunkles Abbild durch das Wasser greift, steht ein Mann und streift einen Ring von seiner Hand. Drei Opale blinken; durch die bleichen Steine schwimmen rot und grüne Funken und versinken. Und er küßt sie, und seine Augen leuchten wie der meergrüne Grund: ein Fenster tut sich auf. Aus der roten Villa neben der toten Eiche winkt ihm eine bleiche Frauenhand... Richard Dehmel 期待 枯れた樫の下 赤き別荘の畔 海緑色の池に 光り輝く月影。 樫の鈍い映像 水面より届き 一人の男立ち 手の指輪外す。 白きオパール 煌めく石三つ 赤に緑に揺れ 光りかつ消え。 石に接吻して 男の眼は輝く 池の底の如く。 窓が一つ開く。 枯れた樫の下 赤き別荘より 揺れ動く白き 女の手が覗く。 デーメル Photo by Monkey Hunter @flickr
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171.ブラームスからエリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクへ [ウィーン、1885年10月10日] 親愛なるともへ あなたは今、感謝というものがまだ地球上から消えてはいなかったと言われることと思います。少なくとも、この編曲(1)を送る以上に良い証明方法を知りません。あなたは好きなように風景を――煙で曇ったガラスから――眺めることができます。あなたの批判をかなり修正する機会があるはずです。 スケルツォはティンパニーが3つとトライアングルとピッコロでかなり騒がしいです。 あなたがフィナーレまで(2)我慢して座っていられるかどうかをお訊きしたいのです。 私はもう一部同封しましたが、一台のピアノにお二人が座り、演奏されることを意図しています。 明日マイニンゲンに行きます。ブロドスキーが私の協奏曲も演奏することもありえます。 そちらに手紙を早く下さい。――懇願します。 この後あなた方以外の人たちを煩わすかどうかは疑問です。ビューローはきっと11月3日にフランクフルトで直ちにこの曲で始めたいようです。ここでも危険を承知で(3)演奏を告知しました。 そして再度あなたの大変親切な手紙を感謝の意を表明します。これは私には必須のものです。私は自分作品に関してはあなたが想像するよりはるかに謙虚です(4)。 もっと書きたい――ほかの話題で――ですが、時間がありません。それに、紙の上ではなく快適なおしゃべりがずっと好きです。私はきっとこの冬にベルリンでお会いします。――ご主人にはよろしく。 あなたのJ.Br.より (1) ブラームスは交響曲を2台のピアノのために編曲した。 (2) この楽章は、8小節の主題の30通りの変奏という、厳格なパッサカリアの形式に従っている。ブラームスはもとより、この楽章を見せられた人は最終楽章としては単調すぎるのではと思った。 (3) リヒター博士はウィーン・フィルハーモニーが新作として演奏することを予告した。 (4) 私的なリハーサルの後に、この新しい近づき難い交響曲が親友たちから受けた生ぬるい評価に、ブラームスの気分は沈みこみ、マイニンゲンでのリハーサルが評価されなかった場合には、延期する覚悟であった。
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桜と日本人ですね。なぜか、三島由紀夫を思...



