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「今日の詩」はブレイクの ” The Grey Monk ” 「白髪の修道僧」と訳した。私の知識では修道僧の服装の色で特定の修道会に所属することを示すことがある。灰色の修道服はあるかもしれないが、ここでは高齢で髪が白くなった修道僧と解釈した。 修道僧が飢える子供を抱えた女に、自分の哲学を語る物語詩と解釈した。この選者が送ってきたブレイクは私には面白くなかったが、始めて骨のある詩に出会った気がする。 絵はブレイク自身画家、挿絵画家であるが、この詩に相応しい絵を見付けられなかった。そこでヂューラーの黙示録の硬く冷たい銅版画にした。適切とは思ってはいないので、ブレイクの良い絵があれば差し替えるつもりである。 The Grey Monk "I die, I die!" the Mother said, "My children die for lack of bread. What more has the merciless Tyrant said?" The Monk sat down on the stony bed. The blood red ran from the Grey Monk's side, His hands and feet were wounded wide, His body bent, his arms and knees Like to the roots of ancient trees. His eye was dry; no tear could flow: A hollow groan first spoke his woe. He trembled and shudder'd upon the bed; At length with a feeble cry he said: "When God commanded this hand to write In the studious hours of deep midnight, He told me the writing I wrote should prove The bane of all that on Earth I lov'd. My Brother starv'd between two walls, His Children's cry my soul appalls; I mock'd at the rack and griding chain, My bent body mocks their torturing pain. Thy father drew his sword in the North, With his thousands strong he marched forth; Thy Brother has arm'd himself in steel To avenge the wrongs thy Children feel. But vain the Sword and vain the Bow, They never can work War's overthrow. The Hermit's prayer and the Widow's tear Alone can free the World from fear. For a Tear is an intellectual thing, And a Sigh is the sword of an Angel King, And the bitter groan of the Martyr's woe Is an arrow from the Almighty's bow. The hand of Vengeance found the bed To which the Purple Tyrant fled; The iron hand crush'd the Tyrant's head And became a Tyrant in his stead." William Blake. 白髪の修道僧 「駄目、もう駄目!」と母親は言った。 「パンも食べずに子供たちは死ぬわ。 無慈悲な暴君が何て言ったと思う?」 修道僧は石より硬い寝床に腰掛けた。 白髪の僧の脇腹からは赤い血が流れ 両手と両足には傷口が大きく広がり 修道僧の体は折れ曲がり、肘と膝は 両方ともさながら古木の根元のよう。 僧の両眼は乾き切って、涙も流れず 虚ろなうめき声で悲しい話を始めた。 僧は寝床の上で激しく身を震わせた。 ようやくか細い泣き声で語り始めた。 勉学に励むべき時間になった深夜に 神はこの手に書くように命じられた。 神が私に命じたのは、神が愛された 地上の悲惨を証する文書を書くこと。 弟は拷問部屋に入れられて餓え死に 子供たちの泣き声で私の魂は震える。 私は拷問台も炮烙の鎖も怖くはない 私の曲がった体に拷問は何でもない。 汝の父親は北の地方で刀剣を抜いて 数千人の兵隊を引き連れて進撃した。 汝の弟は鋼鉄の甲冑に身を包めるは 汝の子供が舐めた不正に報いるため。 だが、刀剣は益なく、弓矢も益なし いずれも戦闘を覆すに利する所なし。 隠遁僧の祈りと夫失いし女の涙のも 世界から恐怖を救う唯一の方法なり。 一粒の涙は知より出ずるものにして 一息の歎きは天使の王の刀剣にして 殉教する者の悲嘆のつらき呻き声は 万能の主の弓より放たれたる矢なり。 深紅の衣纏う暴君が逃げ伸びたる 寝床を復讐する者の手は見出して 鉄の手はかの暴君の頭を打ち砕き 暴君に代わり、新たに暴君となりし。 ブレイク
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2007年10月29日
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今日のトム・トムスンの絵は “Algonquian Lake” アルゴンキアン湖の絵を紹介しよう。トムが好んで出かけた湖であり、今日の詩に登場するポトワトミ族もこのあたりの部族であった。哀調を帯びているのもこの絵を選んだ理由である。 今日のケベックの詩はオクターブ・クレマジーの「ポトワトミ族の男」である。ポトワトミ族はミシガン湖周辺のインディアンであるが、フランスの植民地政策の影響を受けた部族である。スペイン同様、フランスも宣教師と軍隊で植民地を確保することを目的としていた。この詩でも「十字架」と「白き旗」(フランス王国の国旗)が登場する。話者がフランスの最終的な敗北には触れない。いかにもケベック的であるが、文明国フランスの「大義」に抗しきれなかった蛮族ポトワトミ族の悲哀を記述している。 Le Potowatomis Il est là sombre et fier ; sur la forêt immense, Où ses pères ont vu resplendir leur puissance, Son oeil noir et perçant lance un regard amer. La terre vers le ciel jette ses voix sublimes, Et les pins verdoyants courbent leurs hautes cimes Ondoyantes comme la mer. Mais le vent souffle en vain dans la forêt sonore ; En vain le rossignol, en saluant l'aurore, Fait vibrer dans les airs les notes de son chant ; Car l'enfant des forêts, toujours pensif et sombre, Regarde sur le sable ondoyer la grande ombre De l'étendard de l'homme blanc. Aux bords des lacs géants, sur les hautes montagnes, De la croix, de l'épée invincibles compagnes, Les pioniers français ont porté les rayons. L'enfant de la forêt, reculant devant elle, En frémissant a vu ces deux reines nouvelles Tracer leurs immortels sillons. Son coeur ne connaît plus qu'un seul mot : la vengeance. Et quand son oeil noir voit l'étendard de la France, On lit dans son regard tout un drame sanglant ; Et quand il va dormir au bord des larges grèves, Il voit toujours passer au milieu de ses rêves Une croix près d'un drapeau blanc. Octave CRÉMAZIE (1827-1879) ポトワトミ族の男 彼は色黒く誇り高い。彼の先祖が 勢力を振るってきた大きな森に 彼の黒く鋭い眼は鋭い視線を投げかける。 大地は誇り高き声を天まで飛ばす。 緑の松は高い頭を下げて 海のように波打つ。 風が森に吹くも、空しく返る音のみ。 ナイチンゲールが曙に歌うも 空しく震える大気のみ。 森の子は陰鬱なる思いに沈み 白人の旗の大きな影が砂に 揺れるのを見たれば。 巨大なる湖の畔に、高き山の上に 十字架と常勝の刃を伴い フランスの開拓者が光を持ち来たった。 森の子は仰天し 慄きながら、二人の女王が新たに 不滅の跡を残すのを見た。 彼らの心に抱く言葉は唯一つ、復讐。 彼の黒い眼がフランスの軍旗を見れば 目前に広がる血なまぐさい劇。 彼が広い堤の畔で眠れば 夢の最中にいつも見る 白き旗とともに進む十字架。 オクターブ・クレマジー
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今日のドイツの詩はヘッセの「私が自ら選んだ人生」である。今日のテーマはフロストの「少年の意志」にある「誕生による試練」と同じテーマである。生まれてくるのは親の選択でなく、自身の選択であるという。だが私はこの種の神学的な議論は苦手である。フロストの訳で大いに戸惑ったのであるが、今回神学校に通ったことのあるヘッセの詩を読んでキリスト教の文化圏ではおなじみのテーマなのかなと思ったものである。 Das Leben, das ich selbst gewählt Ehe ich in dieses Erdenleben kam Ward mir gezeigt, wie ich es leben würde. Da war die Kümmernis, da war der Gram, Da war das Elend und die Leidensbürde. Da war das Laster, das mich packen sollte, Da war der Irrtum, der gefangen nahm. Da war der schnelle Zorn, in dem ich grollte, Da waren Haß und Hochmut, Stolz und Scham. Doch da waren auch die Freuden jener Tage, Die voller Licht und schöner Träume sind, Wo Klage nicht mehr ist und nicht mehr Plage, Und überall der Quell der Gaben rinnt. Wo Liebe dem, der noch im Erdenkleid gebunden, Die Seligkeit des Losgelösten schenkt, Wo sich der Mensch der Menschenpein entwunden als Auserwählter hoher Geister denkt. Mir ward gezeigt das Schlechte und das Gute, Mir ward gezeigt die Fülle meiner Mängel. Mir ward gezeigt die Wunde draus ich blute, Mir ward gezeigt die Helfertat der Engel. Und als ich so mein künftig Leben schaute, Da hört ein Wesen ich die Frage tun, Ob ich dies zu leben mich getraute, Denn der Entscheidung Stunde schlüge nun. Und ich ermaß noch einmal alles Schlimme — »Dies ist das Leben, das ich leben will!« — Gab ich zur Antwort mit entschloßner Stimme. So wars als ich ins neue Leben trat Und nahm auf mich mein neues Schicksal still. So ward ich geboren in diese Welt. Ich klage nicht, wenns oft mir nicht gefällt, Denn ungeboren hab ich es bejaht. Hermann Hesse 私が自ら選んだ人生 私が地上での生活に入る前から 人生とは如何なるか説明を受けた。 地には苦悩、地には悲哀があり 地には悲惨と苦痛の重圧があった。 地には私を拘束する悪徳があり 地には私を誘惑する虚偽があった。 地には私が呻吟する憤怒があり 憎悪と傲慢、自慢と恥辱があった。 地ではしかし日々の喜びもあり 満ち溢れる光と美しい夢もあった。 地では憂愁もなく疫病とてなく 至るところ才能の泉が流れていた。 地では愛は世俗の衣装を纏うが 解放されたる者に祝福を賜与した。 地では選良がより高き霊を思い 人間は人間的な苦悩を逃れられた。 私に示されたのは悪と善であり 私に示されたのは欠点を補うこと。 私に示されたのは血の傷であり 私に示されたのは天使の看護方法。 私が未来の人生を垣間見たとき 私に聞こえたのは何ものかの声 決断の時刻を打ったのは只今だ 私が確信してこの人生を送るかと。 私はもう一度全ての悪を計った ー 「これこそ私が生きたい人生だ!」 ー 私ははっきりした声でそう答えた。 そして私は新し人生に踏み出し 私の新しい運命を静かに受容した。 こうして私はこの世に生を受けた。 運が悪くても私は嘆きはしない 私は生まれる前に決意したことだ。 ヘッセ 今日の絵はフロストの「誕生による試練」の時と同じ写真を使わせて頂く。
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174.ブラームスからエリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクへ [マイニンゲン、1885年10月22日] 親愛なるともへ 私はもっとお手紙をいただけたらと思います。リハーサルに来ていただけたらもっと素晴らしいのですが。あなたは最高に澄んだ第一楽章を聴くことができると確信します。 でも私はほかの場所で演奏するのは嫌です。非公式の特別のリハーサルができなくて、強行軍で連中を急がせなければならず、オーケストラが作品を理解する間もありません。 当地では、11月1日にもう一度反復演奏があるはずです。フランクフルトでは3日にあります。フラウ・シューマンには遅くとも一日までに楽譜を送って上げてください。 ヨアヒムについてのあなたの意見は私には新しいことではありません。私はそれを心から支持しますし、彼はそれを知っています… でも私はリハーサルがあるので、もう時間がありません。 残念ですが、フラウ・フォン・ヘルトブルクはここにはいません。彼女は重病の後、シュロッス・アルテンブルク(1)で公爵の看護婦に介護されています。ですが、殿下は近々ご臨席の予定で、聴きに来られるはずです。――では失礼いたします。 あなたのJ.Br.より
(1)アルテンシュタイン(Altenstein)の誤り。 |

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桜と日本人ですね。なぜか、三島由紀夫を思...



