ヘ短調作品34

ルブランの回想録の link 先はゲストブックを御覧ください。

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「今日の詩」の選者は詩の送付は300回に達したと通知してきた。最近同じ詩がメイルされて来るのが目立つようになった。今日も過去に送付された詩の一覧からから、バイロン卿の「センナケリブの破滅」を取り上げることにした。

英語版ウィキペディアはこれを項目として取り上げているので私は簡単な解説を参照してみた。The Destruction of Sennacheribは旧約聖書の列王伝下の18−19章にある物語を素材にしている。私も今その箇所を読んだところである。聖書の主張は神が死の天使を遣わして敵を滅ぼしたのであり、エルサレムの民の努力ではないとのことである。

ウィキペディアによれば、馬の蹄の響きを想わせる韻律と欽定聖書の文体を尊重しているそうである。私の国語力では到底叶わぬ目標である。その分析と訳の修正は他日に譲ることにしてひとまず投稿することにした。


The Destruction of Sennacherib

I

The Assyrian came down like the wolf on the fold,
And his cohorts were gleaming in purple and gold;
And the sheen of their spears was like stars on the sea,
When the blue wave rolls nightly on deep Galilee.
Like the leaves of the forest when Summer is green,
That host with their banners at sunset were seen:
Like the leaves of the forest when Autumn hath blown,
That host on the morrow lay withered and strown.

II

For the Angel of Death spread his wings on the blast,
And breathed in the face of the foe as he pass'd,
And the eyes of the sleepers wax'd deadly and chill,
And their hearts but once heaved, and for ever grew still!
And there lay the steed with his nostril all wide,
But through it there roll'd not the breath of his pride;
And the foam of his gasping lay white on the turf,
And cold as the spray of the rock-beating surf.

III

And there lay the rider distorted and pale,
With the dew on his brow, and the rust on his mail:
And the tents were all silent, the banners alone,
The lances unlifted, the trumpets unblown.
And the widows of Ashur are loud in their wail,
And the idols are broke in the temple of Baal;
And the might of the Gentile, unsmote by the sword,
Hath melted like snow in the glance of the Lord!

Lord Byron


センナケリブの滅亡

I

アッシリア人の突撃は柵を襲う狼のごとく
軍勢は真紅と金で身を飾り光り輝きたり。
槍のきらめきは海の上を照らす星のごとく
青波は夜の深きガリラヤ湖に寄せたたり。
森林の木の葉が夏来たりて緑になるごとく
軍勢は旗印を掲げ夕日とともに現れたり。
森林の木の葉が秋来たりて吹き飛ぶごとく
軍勢は朝日とともに衰え散り行きたり。

II

死の天使は翼を広げ一陣の風を起こし
敵陣に息を吐き掛けては通り抜けたり。
眠れる眼は蝋のごとく死の蒼白となり
波打ちし敵の心臓も永久に止まりたり!
馬は倒れ伏して鼻孔を大きく広げるも
もはや誇り高き息の呼吸は止まりたり。
騎馬が喘ぎ吐きたる白き泡は草に落ちて
冷たきこと岩に打ち砕ける波のごとし。

III

彼処に倒れる騎士は青ざめて身を捩り
顔面は露で濡れて帷子は錆び付きたり。
陣幕は静まり返り残るは旗印のみにて
槍は上向かずラッパ吹かれることなし。
夫を失いしアッシリアの女は泣き叫び
バール神殿に祭る偶像は破壊されたり。
剣にて打ちは砕かれざる異邦人の力も
主の一瞥にて消滅すること雪のごとし。

バイロン卿


なお以前に同じ列王伝のテーマでロシア語の歌詞があり、ムソルグスキーが付曲していることを歌曲に造詣の深いother_wind さんのブログで知った。わたしは聴いたことがないが、other_wind さんはその英訳版を和訳してみえる。


絵はピーテル・パウル・ルーベンス Peter Paul Rubens(1577-1640)の作品。聖書を題材にしているが、バイロンがこの絵を見たという証言は知らない。

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今日のドイツの詩は若い頃伝説のドン・ファンをめざしたブレヒトの詩。はかなく消えた美しい恋の詩「マリー・Aの想い出」である。何も言うことなし。


ERINNERUNG AN DIE MARIE A.

1 An jenem Tag im blauen Mond September
Still unter einem jungen Pflaumenbaum
Da hielt ich sie, die stille bleiche Liebe
In meinem Arm wie einen holden Traum.
Und über uns im schönen Sommerhimmel
War eine Wolke, die ich lange sah
Sie war sehr weiß und ungeheuer oben
Und als ich aufsah, war sie nimmer da.

2 Seit jenem Tag sind viele, viele Monde
Geschwommen still hinunter und vorbei
Die Pflaumenbäume sind wohl abgehauen
Und fragst du mich, was mit der Liebe sei?
So sag ich dir: ich kann mich nicht erinnern.
Und doch, gewiß, ich weiß schon, was du meinst
Doch ihr Gesicht, das weiß ich wirklich nimmer
Ich weiß nur mehr: Ich küßte es dereinst.

3 Und auch den Kuß, ich hätt ihn längst vergessen
Wenn nicht die Wolke da gewesen wär
Die weiß ich noch und werd ich immer wissen
Sie war sehr weiß und kam von oben her.
Die Pflaumenbäume blühn vielleicht noch immer
Und jene Frau hat jetzt vielleicht das siebte Kind
Doch jene Wolke blühte nur Minuten
Und als ich aufsah, schwand sie schon im Wind.

Brecht


マリー・Aの想い出

1.
青き月九月のあの日
じっと若いプラムの樹の下で
僕が腕の中に抱きしめていた
静かで白い恋人、夢のようだった。
二人の上の美しい夏空に
雲がぽかりと浮いていた。
雲は純白で遥か上空に
僕がもう一度見上げると、もう無かった。

2.
あの日以来ずいぶん長い年月が
静かに流れ過ぎて行き
多分プラムの樹々も切り倒されて
君は僕に聞く、恋人はどうした?
僕は言う、もう想いだせない。
でも君の問いは良く分かるけど
彼女の顔をはっきり想い出せない
ただ想い出せるのは、僕がキスしたこと。

3.
僕は長いこと忘れていたあのキス
雲がもう無くなっていたあの時
雲は勿論覚えているし、忘れないだろう
雲は真っ白で頭上にやって来た。
プラムの樹々は多分もう咲かないだろうし
あの女も多分今頃は七番目の子がいるだろう
だけどあの雲が浮いていたのはほんの数分
僕が見上げたときにはもう風で消えていた。

ブレヒト

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148.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ

[ライプツィヒ] ツァイツェル・シュトラーセ 24

1884年12月29日

 親愛なるクリスマス小父さんへ

  わたしたちがあなたの突然の来訪でこんなに喜ぶとは思わなかったでしょう。わたしたちは口数が少なくて、感情を美しい言葉で示すことができないのですが、 わたしたちの心からの温かい歓迎がちゃんとわかってくださったと思います。この時もそうですが、何か良いことが欲しいときには、あなたの訪問こそが起こってほしい最大のことなのです。家中が混乱し、予備の部屋はクリスマスの品々でつまって、ブラームスさんが入る余地がなく、あなたは最初の夜、寝心地の悪いソファで過ごさねばなりませんでした。この時の天使のような忍耐に特別の感謝の言葉をつけくわえさせていただきます。良い行いとともに、あなたが何と素敵な人であり、どんなにわたしたちに好感を持っていてくれるか。すべてを証明して下さいました。クリスマスの美しき日々もあなたとともに去りました。いつもの仕事が始まりました。うんざりするようなロシアの夕べがありました。流血こそありませんでしたが、関心がないときにはいつもそうですが、不愉快な後味だけが残りました。わたしは昨日、ブロドスキー夫妻を訪問して、あなたがここに滞在していたことを話しますと、「じゃあ本当でしたか」と彼らは叫びました。ノヴァチェク(1)がツァイツェル・シュトラーセで「彼を」見たが、あいにく反対側の歩道にいたものだからと嘆いていました。そこでブロドスキーは飛んでいって、ノヴァチェクの代わりにそこにおればと思ったそうです。「馬鹿ほどついている」と言っていました。あなたの献身的な崇拝者の落胆を見て、あなたに会わせる機会をあげられなくて、つくづく申し訳ないと思いました。ここで結論です。次回は多くの友人に会わずにこんなに急いで出て行くことを許しません。この冬にはラインを上り下りしてコンサートに出かけるはずですから、もう一度わたしたちを喜ばせてください。わたしは前回よりも楽しい時間をお約束しますし、あなたのマルサラ(2)をあんなお粗末なグラスで飲ませたりはしません。それにブラームス・ワインもいっぱい残っています。

 わたしたちは今週ついにアルトとビオラのための歌曲をやってみました。この音楽の都に演奏者は恥ずかしいほどが少ないのです。

 先日忘れていたことがあります。グラーツのビショッフ教授(3)が 長年、あなたの自筆原稿を、切れ端で良いからとせがんでいました。わたしは秘蔵の標本を出し渋りますので、彼にあげることはありません。どうかこの気の毒 な方を気にとめてください。彼は真正の音楽愛好家で怪しげなディレッタントのタイプではありません。おそらく、わたしのずうずうしい要求のクリスマス・プ レゼント(歌曲?) と一緒に、何か送ってくださいますわね。あなたはわたしたちの慈善家なのですから、多少のことはどうということはないはずです。わたしたちはもう謙譲を捨てました。いつまでもあなたの債務者でありつづけますので、よろしくお願いします。

債務者より

 ブルックナー(4)の絶賛された交響曲が明日演奏されます。この驚くべき人物についてどう思われますか。



(1) オットカール・ノヴァチェク(Ottokar Novacek, 1866−)、バイオリニストで作曲家。

(2) 彼はシシリー島の想い出のあるこのワインを非常に好んだ。

(3) フェルディナント・ビショッフ(Ferdinad Bischof)。ヘルツォーゲンベルクは「四つの歌、作品40」を彼に捧げている。

(4)  アントン・ブルックナー(Anton Bruckner, 1827−1896)、オーストリアで非常に尊敬された作曲家。彼の作品は論争を呼び起こした。ニキシュはオペラ・ハウスの「特別」コンサートで、ブルックナーの第七交響曲とリストの「前奏曲」とワーグナーの「神々の黄昏」の抜粋を指揮した。


ブラームスが愛飲したマルサラとはシシリー島のワインである。

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