ヘ短調作品34

ルブランの回想録の link 先はゲストブックを御覧ください。

過去の投稿日別表示

[ リスト | 詳細 ]

全1ページ

[1]

ジャイロ -- イェーツ

イメージ 1

「今日の詩」はイェーツの「ジャイロ」である。イェーツは女に夢中になっただけではなく、心霊術にも夢中になった。コナン・ドイルもこれに凝っているから特に変なことではないらしい。イェーツの言う「ジャイロ」はまだ充分に理解できていない。物理的に実在するものか、神秘哲学的な観念なのかどうか。ウィキペディアに記事があるので近いうちに紹介しよう。

たしかに人間の人生はコマのように回っている。同じ事を繰り返していずれ倒れる運命である。だがイェーツの「ジャイロ」はもう少し奥深いのか、馬鹿げているのか今一分からない。頭の良い人ほど馬鹿な事に夢中になるが、ノーベル賞受賞者イェーツがコマみたいなものを見詰めて真理を発見したのかどうか?今日は夢中になっているイェーツの様子をまず覗くことにしよう。


The Gyres

The gyres! the gyres! Old Rocky Face, look forth;
Things thought too long can be no longer thought,
For beauty dies of beauty, worth of worth,
And ancient lineaments are blotted out.
Irrational streams of blood are staining earth;
Empedocles has thrown all things about;
Hector is dead and there's a light in Troy;
We that look on but laugh in tragic joy.

What matter though numb nightmare ride on top,
And blood and mire the sensitive body stain?
What matter? Heave no sigh, let no tear drop,
A-greater, a more gracious time has gone;
For painted forms or boxes of make-up
In ancient tombs I sighed, but not again;
What matter? Out of cavern comes a voice,
And all it knows is that one word 'Rejoice!'

Conduct and work grow coarse, and coarse the soul,
What matter? Those that Rocky Face holds dear,
Lovers of horses and of women, shall,
From marble of a broken sepulchre,
Or dark betwixt the polecat and the owl,
Or any rich, dark nothing disinter
The workman, noble and saint, and all things run
On that unfashionable gyre again.

William Butler Yeats


ジャイロ

ジャイロ!頑固爺、前方を見ろ。
物事考え過ぎると思考は停止し
美は美に衰え、価値は価値に失う
古来の容貌は失われてしまった。
理に適わぬ流血が地球を汚した。
エンペドクレスは全財産を捨て
ヘクトール死してトロイに栄光。
我らただ悲劇を楽しみ笑うのみ。

悪夢の馬が上に乗ろうと構わぬ
血と泥が肉体を汚そうと構わぬ!
嘆息も涙も洩らさぬとも構わぬ!
偉大で高貴な時代は過ぎ去った。
古代の墓で色を塗り、飾った箱で
嘆息を洩らした私はもうしない。
洞窟から聞こえる声が知るのが
一言「喜べ!」としても構わぬ!

振る舞いが粗野になると魂も
構わぬ!頑固爺が評価する人
馬が好きでも、女が好きでも
壊された大理石の棺からでも
淫売と遊び人の間の暗闇でも
闇しか掘り当てぬ金持ちでも
労働者、貴族、聖人、誰しもが
この古臭いジャイロ上を走る。

イェーツ


Photo by inez indigo @flickr

イメージ 1

唐突ではあるが、しばらくトム・トムスンの絵は休ませていただく。今日は詩人の紹介が主で、写真はおまけである。フランス語圏の詩人のデータ・ネースを見ていてエミール・ネリガン(Émile Nelligan)を発見した。ケッベクの詩人であるが、彼をケベックの詩人で括るのは問題がある。ケベックに住みながら、心はパリで象徴派の詩人と語り合っていた。ウィキペディアによれば、ランボーみたいに早熟な詩人だそうである

名はフランス風であるが、姓はアイルランド風である。父親がアイルランド人で、母親がフランス系カナダ人である。移民国家ならではの縁組は確かにカナダでは良く見かけた。言葉も出身国も違うが、宗派は同じという夫婦がいた。両親はカナダでは少数派のカトリック教国の出身である。

写真はケベックのノートル・ダム聖堂である。

Automne

Comme la lande est riche aux heures empourprées,
Quand les cadrans du ciel ont sonné les vesprées !

Quels longs effeuillements d'angélus par les chênes !
Quels suaves appels des chapelles prochaines!

Là-bas, groupes meuglants de grands boeufs aux yeux glauques
Vont menés par des gars aux bruyants soliloques.

La poussière déferle en avalanches grises
Pleines du chaud relent des vignes et des brises.

Un silence a plu dans les solitudes proches :
Des Sylphes ont cueilli le parfum mort des cloches.

Quelle mélancolie ! Octobre, octobre en voie !
Watteau ! que je vous aime, Autran, ô Millevoye !

Emile NELLIGAN (1879-1941)




沼が豊かになるは頬を染める時
天の文字盤が晩祷の鐘鳴らす時!

樫の落葉が捲る長いお告げの祈!
近くの教会の祈りのなんと優しい!

モーと鳴く青緑の目の雄牛の群
大声で呟く若者が通り過ぎて行く。

砂埃が氾濫する灰色の水に散乱し
葡萄の樹と風の熱い悪臭が満ちる。

沈黙は近寄る孤独の中に降り続く。
風の精が摘むのは鐘の死の臭気。

なんたる憂鬱!十月、十月の途中!
ワトー!君を愛す、オトラン、ミユヴォワイエ!

エミール・ネリガン

イメージ 1

今日のドイツ語の詩はシュタットラーの “Sonnwendabend” 「夏至の夜」と訳した。よく「聖ヨハネの夜」と呼ばれるが、詩はまったくキリスト教的ではない。あえてそれを避けた。Sonnwend は文字通り、太陽が方向変換することである。具体的には夏至のことである。夏至で頂点に達した太陽が、この日を境に小さくなって行く。太陽に感謝するとともに、太陽を応援する異教の祭りである。ようするに「ボンファイア」で夜を照らし、歌って踊り酒を飲む日である。夜をも焦がさんとする炎は光の詩人シュタットラー向きの題材である。

絵はノルウェイの画家 Nikolai Astrup の「聖ヨハネの祭り」である。


Sonnwendabend

Die Sträucher ducken fiebernd sich zusammen
im Rieseln brauner Schleier und im Schwanken
nachtbleicher Falter um erglühte Ranken.
Nun schüren wir das falbe Laub zu Flammen

und feiern wiegend in verlornen Tänzen
und Liedern• die im lauen Duft verfluten•
den flüchtigen Rausch der sommerlichen Gluten•
und Mädchen weich das Haar genetzt mit Kränzen

und strahlend bleich im schwebenden Gefunkel
streun brennend dunklen Mohn und blasse Nelken.
Und bebend fühlen wir den Abend welken.
Und wilder glühn die Feuer in das Dunkel.

Ernst Stadler


夏至の夜


夜の暗い帳の滴と照り輝く
蔦に群がる白蛾は熱しられ
潅木はそろって身を縮める。
我ら炎の灰色の葉を突付き

身を揺らし無我の舞で祝い
さらに暖かき香を満たして
ざわめく儚き夏の輝きの歌。
乙女静かに髪に花輪を載き

揺れる火花を輝かせんとし
黒きケシと白き撫子を撒く。
震え、我ら夜褪せるを知る。
火炎は激しく闇に光り輝く。

シュタットラー

イメージ 1

176.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ

[ベルリン W、1885年10月30日]

 親愛なる友へ

交響曲は指示通りわたしたちを残して去っていきました。別れの涙を流しながら、ピアノ・スコアを早速送っていただいたことに心から感謝いたします。それは煙で汚れたガラスから眺めることを意味することはもちろんです。でもおかげさまで、わたしたちはブラームスを充分知りましたし、想像しながら弾くことができます。しばしば気付いたことですが、第一楽章の外観が明らかにされたので、残りの楽章もどんな様子か良くわかってきました。

 あなたの新たなる力量の示威でわたしたちは非常に幸せなのですよ。わたしたちが説得的に説明する技巧を持ち合わせたらと思った次第です。それができる特権的な人は数多くいるに違いありません。

 アンダンテには、あなただけが授けうる新鮮で明瞭な性格があります。でもあなたでさえも、あなたの神髄をこっそり隠す鍵付きの部屋を初めて使いました。それでいて、何と自由で流麗なのでしょう。これを堅いクルミのような難物だと思うかもしれません。

{楽譜挿入}(1)

でもわたしには楽しく元気の良い修道会の厳しさです。一方、終止近くの楽節は不快です。

{楽譜挿入}(2)

嬰ニ音とそれより低いニ音の結合自体は問題ありません。低音部の休止が目立つなかで、三つの上部の進行がなんとも耳障りです。そうあるべきですか。でも戻ります。これは――ホ短調主旋律の別れの楽句――何と美妙で旋律的なのでしょう。

{楽譜挿入}(3)

第二主題がそれ自体の縮約版で案内されてきます。昨日演奏して上げたのですが、ハウスマン(4)からチェリスト全員が長く引き延ばされた夏を暗示させる歌に浮かれていました。これこそがミュルツツシュラーク(5)で熟すのを拒んだチェリーです。終止部もハ音への転調で繊細です。これでフリージア調(6)の 色合とともに、開始小節に楽しく戻ることができます。最後のカデンスの下げられた上主音もとくに納得のいくものです。静かな幸福な充足感でこの饗宴を後に し、スケルツォの荒々しい性格に自分自身を調整するために間が欲しいような気がします。でも間もなくわたしたちは移り気で陽気な刺激に心も魂も捧げるので す。

 実際に演奏したときの効果はもちろん、必要悪と呼ばれるピアノで演奏した効果とで、大きな相違があります。へ音での十六部音符の和音は、

{楽譜挿入}(6)

遊び好きで軽薄と言ってもいいくらいですが、さらにシンコペイトされた低音(7)と一緒になると四分音符のように愛らしいものです。――あなたの間違いのない技量で古いものが新しくなりました。この piano の小節がなんと巧みに

{楽譜挿入}(8)

第二主題につながるのでしょう。この主題は明らかに民謡の趣があり、まるで優しい若者が屋外でフルートを演奏しているみたいです。ニ短調3度の音階(明らかに木管のための)もひょうきんです。二拍子の3度の音階(10)は下手な伴奏連弾者を絶望させます。このピアニッシモの別離の楽句は蠱惑的です。

{楽譜挿入}(11)

そしてその直後の展開部が効果的になります。柔らかい嬰ハ短調の楽節の最後(12)はなんと美しいのでしょう。そのとき陽気な徒弟たちが仕事から家路につき、夜の平安が来ます。一方、この歓楽の思い出は変ニ音で叙情的になります。そしてもっとも美しいのは「ポコ・メノ・プレスト(poco meno presto)」でホルンとトロンボーン(13)の柔らかな登場です。
  ところで、この楽章でのわたしの嘆きは、そんなにも美しく、そんなにも優しく、急いで――むちゃくちゃ急いで――ハ長調に戻ることです。本当ですよ。まる で、わたしたちにピアノで素晴らしい曲を弾いてくださってから、感情をすべて振り払い、生来の粗野を見せつけるために、ひげに息をもらし「だめだ、だめで しょうが」というみたいです。これは転調ではなく、操作です。――少なくともそうわたしは感じます。神様お許しください。

 コーダ全体は美妙です。わたしはこのペダル音(14)をクリスマスのように待ちわびます。なんと弾みがあるのでしょう。――まるで息もつかずに、大きく深呼吸してから書き上げたみたいです。聴いているうちに気分がおおらかになり、たくましくなります。
  最終楽章に関して、わたしが一番のお気に入りであると宣言しても――すくなくとも初めて――気にされませんか。わたしは主題自体に魅せられました。そして わたしが多様な楽句を通ってそれに従って行くにつれてますます魅せられていきました。まず低音部、それから冒頭部か巧妙に隠されていた中間部、そして―― もっとも印象的、とくに感じやすい聴き手にとって――黄金の調、ホ長調のトロンボーン(15)の 成果です。わたしが帰ってきてハインツがまず言いました「君が多少とも僕と似ているならば、それを聴いてわめくはずだ。」わめかない人がいるはずもありま せん。これは良き人物のみが有する霊感です。なんと素晴らしく響くことでしょう。マイニンゲンではみなさんは驚喜し、あなたをもみくちゃにし、あなたの新 しい成果の成功を祝福し合ったのではないですか。でもわたしたちは家に閉じこもり、あなたのことを考えていました。わたしたちは美徳の模範ですから、物見 遊山には出かけませんでした。実際ハインリッヒは出られませんでしたし、わたしたちはライプツィッヒの家――借り手がいないのです――が負担で、哀れな一 文無しです。
  あなたはいつぞや最後まで座っている忍耐力があるかどうか訊かれました。わたしは三倍の長さでも全然かまわないと断言します。たとえパッサカリア形式を理 解しなくても、ついていけなくても、ここは確実に聴衆に受け入れられます。込み入った糸織りがなく、印象的で圧倒的な効果があるはずの活気に充ちた組み合わせが続くからです。ありがたいことに、音楽家でなくてもこの魔法にかかります。

 なぜって、心の琴線にふれる楽節――たとえば、あのハ長調――があるでしょう。

{楽譜挿入}(16)

それに情報に旋回する

{楽譜挿入}(17)

これはだれでもついていけます。だれがこの巧妙な労作を貫く力強い感情に抵抗できますか。ずっと座っておれるかと訊くのは、媚を売っているとしか言えません。

  では肝心なこと。わたしたちはいつ聴けますか。ヨアヒムは演奏したくてたまらないのです。すぐにも演奏させる気はありませんか。彼は昨日と前に一度聴きに 来て、わたしたちと喜びを分かち合いました。最近へ長調の五重奏曲を聴きましたが、彼の解釈能力にはあらためて深い印象を受けました。緩やかな楽章の終止 部がフィナーレと連関しており、これは新しい発見でした。その意味が初めて把握できました。ニ短調が夢のような海のまっただ中にかすむ島(18)の ように見えてきたのです。ハインリッヒとわたしは他の人と同様に釘付けになりました。でも今日は大丈夫です。わたしはペンを走らせたいのです。老父がわが 家に泊まっています。彼は秘書として娘としての役目をわたしに要求しています。わたしにはこの余裕がないのですが、親愛なる交響曲にはさらにありません。 これをわたしは暗譜できませんでしたから、今日の発送は辛い犠牲でした。

 さようなら、親愛なる友。交響曲を遠からず聴けることを期待していいのでしょうか。お知らせください。もう一度感謝します。わたしたちの傾倒を受けてください。
あなたのヘルツォーゲンベルク夫妻より



(1) 総譜32ページ第5小節。

(2)  43ページ第1小節。

(3) ロベルト・ハウスマン(Robert Hausmann, 1852―)、教授、独奏家。ヨアヒム四重奏団のメンバー。

(4) 書簡164。

(5)  43ページ第7小節。

(6)  44ページ第6小節。

(7)  46ページ第7小節。

(8)  49ページ第1小節。

(9)  49ページ第9小節。

(10)  50ページ第2小節。

(11)  51ページ第11小節。

(12)  59ページ第3小節。

(13)  59ページ第8小節。

(14) フラウ・フォン・ヘルツォーゲンベルクのホルンに関する推測は正しい。しかし、ブラームスはハーモニーを強めるためにバスーンで苦労している。最初から第三楽章までトロンボーンが出てこない。フィナーレに取っておき、パッサカリアの主題を強烈な効果で持ち込むためである。

(15)  70ページ第4小節。

(16)  総譜90ページ第6小節。

(17)  総譜102ページ第7小節。

(18)  総譜103ページ第3小節。

(19) 作品88、34ページ大22小節。

全1ページ

[1]


.
fminorop34
fminorop34
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

過去の記事一覧

検索 検索

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト≪さとふる≫
実質2000円で好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!
数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事