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「今日の詩」もテニスンの「愛しき君の埋葬」である。ロマン派の完成者であるテニスンが当時流行の中世趣味に合わせた詩であろう。すでによく似た詩としては「姫君の騎士の亡骸が戻ってきた」がある。それとも「アーサー王の死」あたりに収録されているエピソードであろうか。 韻文であるが構造がそれほど幾何学的には見えなかった。目立つ同韻としては30行中 [unfed, shed, head, dead, sped, deathbed, dead] の7語である。あとは一対の例外を除いて、綺麗に対が取れている。エミリー・ディキンソンなら合格だが、桂冠詩人としてはどうかと思われる [joy, apathy] である。 The Burial of Love His eyes in eclipse, Pale-cold his lips, The light of his hopes unfed, Mute his tongue, His bow unstrung With the tears he hath shed, Backward drooping his graceful head, Love is dead: His last arrow is sped; He hath not another dart; Go-carry him to his dark deathbed; Bury him in the cold, cold heart- Love is dead. O truest love! art thou forlorn, And unrevenged? thy pleasant wiles Forgotten, and thine innocent joy? Shall hollow-hearted apathy, The cruellest form of perfect scorn, With languor of most hateful smiles, For ever write, In the withered light Of the tearless eye, And epitaph that all may spy? No! sooner she herself shall die. For her the showers shall not fall, Nor the round sun shine that shineth to all; Her light shall into darkness change; For her the green grass shall not spring, Nor the rivers flow, nor the sweet birds sing, Till Love have his full revenge. Alfred, Lord Tennyson 愛しき君の埋葬 衰えたる目 青く冷たき唇 射し込む希望の光なく 動き止めたる舌 涙に零れ 緩みし弓 気高き頭は後ろに垂れ 愛しき君は死せり。 最後の矢は放たる。 もはや矢は尽きし。 暗き死の床に運べ。 冷たき墓所に埋めよ ― 愛しき君は死せり。 ああ真の恋人!仇討する者とてなく 汝は見捨てられんか? 愉快な悪戯も 無邪気な騒ぎも忘れられんか? 残酷極まりなき蔑み 不誠実にも感動なく 鬱陶しくも憎むべき笑い 一滴の涙なき 灯光の下で 万人の目に触れるべき墓碑銘を 永久に書く残すべきか? 否!姫の命ははやかれ失せる。 姫に豊饒の雨降ることなく 姫には万人を照らす太陽も照らず。 姫の灯火は変じて闇となる。 緑草は芽吹くことなく 川流れず、鳥歌うことなし 愛しき君が復讐を遂げる日まで。 テニスン 絵はイギリス生まれの画家 Charles Farrer の” Gone! Gone! ”という感傷的な絵である。美術評論家ジョン・ラスキンの影響を受けたとされるが、アメリカに帰化したのか判然としない。
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2007年10月06日
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今日のドイツ語の詩もホフマンシュタールの ”Lied der Welt” 「浮世の歌」と訳した。自分の容色が光り輝かなると、時がこんなに怖くなるのか。リヒアルト・シュトラウスの歌劇「バラの騎士」の脚本を書いたホフマンシュタール。元帥夫人の気持ちを代弁したような詩である。 Lied der Welt Flieg hin, Zeit, du bist meine Magd, Schmück mich, wenn es nächtet, schmück mich, wenn es tagt, Flicht mir mein Haar, spiel mir um den Schuh, Ich bin die Frau, die Magd bist du. Heia! Doch einmal trittst du zornig herein, Die Sterne schießen schiefen Schein, Der Wind durchfährt den hohen Saal, Die Sonn geht aus, das Licht wird fahl, Der Boden gibt einen toten Schein, Da wirst du meine Herrin sein! O weh! Und ich deine Magd, schwach und verzagt, Gott seis geklagt! Flieg hin, Zeit! die Zeit ist noch weit! Heia! Hofmannsthal 浮世の歌 時よ、退れ、汝我が下女 昼も夜も私を飾ればよい 髪を編み靴を直せばよい 我が女主人、汝我が下女 お分り? でも汝が怒り侵入すると 星の光が斜めに射し込み 風が二階の広間に侵入し 太陽は退散し薄暗い灯り 床の輝きは失せてしまう 汝が女主人に成り上がる! 情けない! 我は哀れにも卑屈な下女 神様、我を哀れみ下さい! 時よ、去れ!時は彼方に! お分り? ホフマンシュタール 絵は18世紀フランスの肖像画家ナティエ(Nattier)の描いた貴婦人。
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152.ブラームスからエリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクへ [ウィーン、1885年1月12日] 親愛なる奥様へ 了解しました。あなたはかってブルックナーの交響曲の咆哮を最後までじっとしておられた。そして皆さんがそれを話題にしている現在、あなたの印象の記憶が信頼できるかどうか心配してみえる。 はい、あなたは信頼して結構です。あなたの嬉しいお手紙(1)は言いうるすべて――人が心の中で思い、言ってみたかったことすべてを――明晰に表現しています。ハンスリックがあなたと同意見であると伝えても、敬虔な喜びの心で読むと言っても、気にしないでください。ブルックナーの交響曲と五重奏曲が出版(2)されました。あなたの精神と判断力を鍛えるために、入手されてご覧になることをお薦めします。あなたには私を必要としないでしょう。
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最高の不快感と深い尊敬と心からの配慮で。(2) ワーグナーに献呈された交響曲第4番ハ短調とへ長調五重奏曲。 エリーザベトが罵倒したブルックナーの交響曲第4番の出だしである。演奏はカイルベルト指揮のウィーンフィル。 |

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桜と日本人ですね。なぜか、三島由紀夫を思...



