ヘ短調作品34

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「今日の詩」は先日私が訳を試みたアンバー船が滑り行くはディベイトを重視するアメリカの学生になったつもりで答案を書いた。少数意見であれば教師の注目を引くからである。

もう一つの訳を紹介しておきたい。一つにはエミリー・ディキンソンの原稿が読みづらいせいもあるが、最初に出版された詩集とタイトルが一致しないことがある。前回にタイトルを “A sloop of amber slips away” としたが、グーテンベルクの版では “SUNSET” というタイトルが付いていた。この理由は良く分からない。仮に題を「日没」として解釈してみる。そうすれば、太陽が大空を琥珀色に染めながら、没していくときに深紅の色に変わる光景を描写したと解釈できる。これが多数意見であろう。


SUNSET

A sloop of amber slips away
Upon an ether sea,
And wrecks in peace a purple tar,
The son of ecstasy.

Emily Dickinson


日没

琥珀色の小船滑行する
宇宙の海
静かに沈む深紅の水夫
恍惚の子

エミリー・ディキンソン

ただ訳しただけでは面白くない。彼女を真似て

一行目はカ行の音を並べ
琥珀色、小船、滑行

二行目はウ音の言葉
宇宙、海

三行目はサ行の音を並べ
静かに、沈む、深紅、水夫

四行目はカ行の音を並べ

恍惚と子
とした。まさに言葉の遊びである。


前回記事の一部を以下に追加する。

1.詩の形式

音節数が8音節6音節の繰り返しの4行詩である。彼女お得意のバラッド形式であり、単語の音節数が複数の場合は ”-“ で区切ってみた。

A Sloop of Am-ber slips a-way
Up-on an E-ther Sea,
And wrecks in Peace a Pur-ple Tar,
The Son of Ec-sta-sy ─

2.脚韻

脚韻は偶数行だけで彼女独特の弱い韻である。
Sea と Ecstasy
Sea にはアクセントがあり、Ecstasy の最終音節sy にはアクセントがない。

3.韻律

韻律は完全な弱強格は一箇所で成立していない。3音節の語 “Ecstasy” がそれである。だが弱強格の詩であると言って良いだろう。この弱強格は英語では成立しやすいそうであるが、エミリーが意識したことは確かであろう。話者の陶酔感を現わすには向いている。

A Sloop of Amber slips away
Upon an Ether Sea,
And wrecks in Peace a Purple Tar,
The Son of Ecstasy ─

4.外韻(alliteration)。

V1.Sloop, slipsの “s’ で始まる外韻のみならず、音の類似性。A, Amber, away の “a’ で始まる外韻。
V3.Peace, Pur, ple の “p’ の外韻。
V4.Son, sta, sy の “s’ の外韻。

5.内韻(inner rhyme)

V2.Ether, Sea の内韻。

絵はフリードリヒCaspar David Friedrich (1774 –1840)の船上の男女が日没を眺める光景としたいが、彼はしばしば月の出を待つ光景を描く画家である。

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今日もケベックの詩人エミール・ネリガンの “Béatrice” 「ベアトリス」とした。初恋の女性の代名詞となったダンテの恋人ベアトリーチェのフランス読みのつもりである。今まで読んできたケベックの詩人は、フランス語やカトリック教会にアイデンティティを求める意識が強かった。題材としてはケベックの自然を詠んでいる詩が多かった。ネリガンは今のところ、ケベックという都会あるいは想像上のパリの一市民である。

絵はアメリカの画家ホイッスラーの「白い服着た少女」だが、この詩のベアトリスよりちょっとお姉さんだろうか。


Béatrice

D'abord j'ai contemplé dans le berceau de chêne
Un bébé tapageur qui ne pouvait dormir ;
Puis vint la grande fille aux yeux couleur d'ébène,
Une brune enfant pâle insensible au plaisir.

Son beau front est rêveur; et, quelque peu hautaine
Dans son costume blanc qui lui sied à ravir,
Elle est bonne et charmante, et sa douce âme est pleine
D'innocente candeur que rien ne peut tarir.

Chère enfant, laisse ainsi couler ton existence,
Espère, prie et crois, console la souffrance.
Que ces courts refrains soient tes plus belles chansons !

J'élève mon regard vers la voûte azurée
Où nagent les astres dans la nuit éthérée,
Plus pure te trouvant que leurs plus purs rayons.

Emile NELLIGAN (1879-1941)


ベアトリス

僕がまず目にしたのは樫の揺籃
中にむずかり寝そうもない坊や。
つぎに黒い瞳のお姉さんが登場
髪は黒く、色白で、すましている。

ウットリする顔だが小生意気
とても似合う白いドレス着て
彼女は魅力的で元気な美少女
明るく、汚れなく、無邪気な娘。

ねえ君、成り行くままに任せて
望み、祈り、信じ、苦を慰めたら。
短いルフランでもっと良い歌になる!

僕は紺碧の空に視線を向けると
エーテルの夜空を星が進み行く
清い光よりもさらに清い君を見る。

エミール・ネリガン

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今日のシュタットラーの詩は “Ballhaus” 「舞踏会場」である。1912年に書かれた詩である。舞踏会場の目の回るような動きのためか、ドイツ語の文章固有のものなのか。息つく暇もなく、連続する描写に閉口した。舞踏会が終わりに近付き、朝を迎える頃にようやく詩のテンポが遅くなる。最後に朝を向かえて華やかな舞踏会は終了するが、労働者の歌声で一日の始まる所で詩を閉じている。一行が随分長いが、全部で19行の詩であり、対を取っている。この形式の分析は後日試みることとして、ひとまず投稿することにした。

絵は James Tissot (1836 – 1902)の「舞踏会」である。


Ballhaus

Farbe prallt in Farbe wie die Strahlen von Fontänen, die ihr Feuer ineinanderschießen,
Im Geflitter hochgeraffter Röcke und dem Bausch der bunten Sommerblusen. Rings von allen Wänden, hundertfältig
Ausgeteilt, strömt Licht. Die Flammen, die sich zuckend in den Wirbel gießen,
Stehen, höher, eingesammelt, in den goldgefaßten Spiegeln, fremd und hinterhältig,
Wie erstarrt und Regung doch in grenzenlose Tiefen weiterleitend, Leben, abgelöst und fern und wieder eins und einig mit den Paaren,
Die im Bann der immer gleichen Melodien, engverschmiegt, mit losgelassnen Gliedern schreitend,
Durcheinanderquirlen: Frauen, die geschminkten Wangen rot behaucht, mit halb gelösten Haaren,
Taumelnd, nur die Augen ganz im Grund ein wenig matt, die in das Dunkel leerer Stunden laden,
Während ihre Körper sich im Takt unkeuscher Gesten ineinanderneigen,
Ernsthaft und voll Andacht: und sie tanzen, gläubig blickend, die Balladen
Müd gebrannter Herzen, lüstern und verspielt, und vom Geplärr der Geigen
Wie von einer zähen lauen Flut umschwemmt. Zuweilen kreischt ein Schrei. Ein Lachen gellt. Die Schwebe,
In der die Paare, unsichtbar gehalten, schaukeln, schwankt. Doch immer, wie in traumhaft irrem Schwung
Schnurrt der Rhythmus weiter durch den überhitzten Saal . . . Daß nur kein Windzug jetzt die roten Samtportieren hebe,
Hinter denen schon der Morgen wartet, grau, hager, fahl . . . bereit, in kaltem Sprung,
Die Brüstung übergreifend, ins Parkett zu gleiten, daß die heißgetanzten Reihen jählings stocken, Traum und Tanz zerbricht,
Und während noch die Walzerweise sinnlos leiernd weitertönt,
Tag einströmt und die dicke Luft von Schweiß, Parfum und umgegossnem Wein zerreißt, und durch das harte Licht,
Fernher rollend, ehern, stark und klar, das Arbeitslied der großen Stadt durch plötzlich aufgerissene Fenster dröhnt.

Ernst Stadler


舞踏会場

火花散らして撃ち合うきらめく噴水、色と色とが衝突する
派手なスカート、襞深く、膨らみは艶やかな夏の花のよう。
壁の周りには幾重にも散りばめた光が溢れる。渦を巻きながら
流れ出るきらめく炎は密かに集まり、取り澄ました金縁鏡に収まる。
動きは果てしなく伝わり、みな解れては、再びペアを組み直し
同じ旋律は続かず、自由に手足を伸ばして進み、ペアは動く。
女は化粧した赤い頬を弾ませ、髪は半ば乱れ、前後に動くが
休憩時間に闇を見詰め、眼だけは少しも疲れていない。
体はリズムにのり、しどけないポーズで互いに
心からの感謝の挨拶する。皆は踊りながら、淫らでふざけたバラードを
熱心に見詰める。フィドルの音は粘っこく、生温かい洪水のように
燃えて疲れた心を流す。時に悲鳴が上がる。笑いが起こる。
ペアを見失い、揺れて、躓き、中断。でも夢で間違えた動作のように
リズムが再び響き、過熱した会場...でも赤服のドア係は風を入れず
背後に待つ暗く痩せて黄なびた朝...冷やかに跳躍して
欄干を掴み、寄木の床に滑り込むと、突如夢中で踊る列もたじろぎ
夢と踊りは終わるが、依然としてワルツ風の曲は無感動に鳴り
陽が流れ込み、汗と香水と残したワインの濃い空気が散り、強い日差し
遠くに断固たる明瞭で力強い大都市の労働歌が高級な窓を通して響く。

シャタットラー

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180.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ

ベルリン、1885年12月2日

 親愛なる友

 フラウ・プリュウヴァー(1)があなたのお宅を訪問すると思いますが、快く迎えてあげてください。この侵入の責任はわたしたちにあります。ことの次第をお話しします。あなたは多分ユリウス・プリュウベル少年のことを聞いていらっしゃると思います。彼はウィーンのシュミット教授(2)から習っています。彼は時々ベーゼンドルファー(3)などで演奏しています。ご両親は――父親は下級役人みたいです――貧しいので、学校に行かせないで家で音楽を勉強させていますが、このため彼らは借金をつく りました。お金を稼ぐため、この坊やの演奏旅行を計画しましたが、試みは失敗でした。母親に話しを持ちかけた業者が詐欺師であることが判り、最初のステー ジで支払いを拒みました。それがベルリンでした。

 フラウ・プリュウベルはバルト(4)に手紙を書き、彼はルドルフ(5)と 一緒に少年の演奏を聴きました。二人は彼の才能に驚嘆しましたが、同時に彼の教わっている野蛮な方法にぞっとしました。与えた印象が強烈で、ルドルフの温 かい心を感動させ、彼はあること――少年をその環境と先生から切り離す――を思いつきました。彼の考えは、ここの人たちの関心を集め、この子を良いもの(音楽的に)と 美しいものを教える準備が整うまできちんと面倒を看ようというものです。彼がその計画を持ってわたしたちを訪問し、この子の演奏を聴いてくれと言いました が、わたしたちは彼の若々しい情熱に恥じいりました。反対意見を並べ立て彼の熱意に水を注してしまったのです。ウィーンには頼りになる先生がいないことを 前提にして、とくにわたしたちが主張したのは、子供を環境から切り離し、効果のある指導を受けるまで待つのは大いに危険であるということです。また一般教 育も音楽教育より重要であり、その他の原理もそうです。つぎの日、この坊やが来て――おぞましい――演奏しました。非凡な才能があることは明らかです。彼 は嬰ハ長調のフーガ(6)をト調、またどの調にでも指示通りに移調してみせました。それにわたしが彼と二人だけのときに、信じられないくらい見事に転調をやってのけました。わたしが間違って指示したときには、阻害終止の意味を直ちに理解しました。ようするに、本物であることは明らかです。

  ハインリッヒとわたしは、音楽的才能は必ずしも芸術的天分を前提としないし、そのような目立つ才能は結局ものにならないと信じていますので、やはり懐疑的 です。したがって、この子をほかの土壌に移植し、両親に大いなる期待を抱かせ、この子の野心を煽る危険を冒す価値があるのか、わたしたちは疑問に思いまし た。この子は良心的な人の手に委ねられるのがもっとも望ましいと考えています。これまでのところ、指導を受けたとはとても言えません。試演程度です。この 哀れな子は鋭く強調したい鍵には指を三本、場合によってはこぶしを使います。彼の手首は堅く、タッチも位置も間違っています。彼の区切りにはどんな犠牲を 払っても効果をねらう野蛮な手法の痕跡があります。結局、この小さな演奏者の子供らしい人格にもかかわらず、しおれた老人の演奏を聴いているみたいで、哀 れです。人間であり音楽家であるからには、彼の演奏を聴いて、真に才能のある子により健全な生活が与えられることを願わずにはいられません。わたしたちの 忠告はなによりもまず、学校に復学させ、音楽を第二の自由科目にすることです。一つには健康のため、一つには先生の影響を制限して今後変更が不可能になら ないようにするためです。その後で、少年にはどんな代償を払っても、もっと良い、できる限り最善の先生につくべきです。ここであなたの登場です。あなたが 子供に弱いことは誰も知っています。

  あなたは誰が彼の面倒をみるのに適しているか判っておられます。あなたはわたしたちより豊富な体験がありますから、判断できるとおもいます。現時点でシュ ミットに任せておくのが危険かどうか、レッスンを短縮することで師弟の絆が弛められないか、等々、この言い訳はすぐ見つかると思います。あなたはこの子の 素質のもっとも信頼できる鑑定家であり、それによって指導もできます。あなただけがウィーンの施設を認識できる方です。エプシュタインは現在活動していま すか。そちらの音楽的雰囲気は少年をウィーンから後ほど遠ざけて、ここへ連れてくるのが望ましいというようなものでしょうか。母親はそれを非常に敏感に感じているみたいですから、誰かが真面目に反対のことをいって説得したら、すぐに納得すると思います。わたしたち――ハインツとわたし――はこの子はユダヤ 系のようだと思っています。きっとポーランド人です。彼がドイツ人であれば、彼への圧力が純粋ですからいいと思うのですが。わたしたちは先日、ルビンシュ タインのロシアの清算音楽会で、この事実を確認してほっとしました。多少ともニヒリズムのダイナマイトが振りかけてありますが、その裏には何もなく、すべてサロン音楽でした。

  この手紙に我慢してくださいませ。ほとんどの「偉大な人物」は自分のことばかり考え、他人事で悩まされることを拒否します。人は自分本位で子供を愛します。でも音楽的才能のこととなると、多少面倒でも考える義務があります。真面目な目標や高い理想はきわめて乏しい昨今です。若くて柔軟な人にこれらを示し、その目的に向けて教育することには多少の満足が得られるものです。

 ところで、わたしたちの交響曲はいかがですか。あなたの放浪先にはベルリンは含まれていますか。それに、征服の最中でも、あなたに大変忠実な友人のことを考えていますか。



(1) ユリウス・プリューヴァー(Julius Pr??ver)はテオドール・ヘルム(Theodor Helm)の Kalender f??r die musikalische Welt では、「神童」、「ピアニスト」、1894年には「コンサート・ピアニスト」と順に記述されている。彼は現在ブレスラウ・オペラの指揮者である。

(2) ハンス・シュミト(Hans Schmitt, 1835―)、ピアニスト、作曲家、ウィーン音楽院の教授で教授法の著書多数。

(3) ピアノ製造業者ルードウィッヒ・ベーゼンドルファー(Ludwig B??sendorfer)の音楽会場。

(4) ハインリッヒ・バルト(Heinrich Barth, 1847―)、ビューロー、ブロンスアルト、タウジッヒの弟子。ベルリン音楽院の教授。

(5) エルンスト・ルドルフ(Ernst Rudorff, 1840―)、作曲家、シュテルン合唱団の指揮者。

(6) 平均律クラヴィア曲集から。

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