ヘ短調作品34

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「今日の詩」はスティーヴンソンの「僕の齢を数えると」である。若くして結核にかかり、残された短い人生を延命の療養生活に捧げるのではなく、何度も吐血しながら、恋と冒険に生きてきたスティーヴンソン。彼の44年の人生の終焉の地サモアで書いた遺言状であろう。サモアの王様は唯一信頼できる白人である彼を島で一番見晴らしの良い場所に埋葬した。


Now When The Number Of My Years.

Now when the number of my years
Is all fulfilled, and I
From sedentary life
Shall rouse me up to die,
Bury me low and let me lie
Under the wide and starry sky.
Joying to live, I joyed to die,
Bury me low and let me lie.

Clear was my soul, my deeds were free,
Honour was called my name,
I fell not back from fear
Nor followed after fame.
Bury me low and let me lie
Under the wide and starry sky.
Joying to live, I joyed to die,
Bury me low and let me lie.

Bury me low in valleys green
And where the milder breeze
Blows fresh along the stream,
Sings roundly in the trees -
Bury me low and let me lie
Under the wide and starry sky.
Joying to live, I joyed to die,
Bury me low and let me lie.

Robert Louis Stevenson


僕の齢を数えると

僕の齢を数える今
すべて満足だ。
僕は座っていないで
立ち上がり死のう
僕を深く埋め、休ませてくれ
広々とした星空の下が良い。
生きながら死ぬ思いもした
僕を深く埋め、休ませてくれ。

心は澄み、自由だった日々
僕にも名誉が与えられ
恐怖でたじろぐことも
名声がさらに上がるとも思えない。
僕を深く埋め、休ませてくれ
広々とした星空の下が良い。
生も死も堪能した今
僕を深く埋め、休ませてくれ。

緑の谷に深く埋めてくれ
穏やかな微風がさわやかに
流れに沿って吹き
樹々の中歌が聞こえるところ −
僕を深く埋め、休ませてくれ
広々とした星空の下が良い。
生も死も堪能した今
僕を深く埋め、休ませてくれ。

スティーヴンソン

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今日のエミール・ネリガンは詩の最初の一行がタイトルになっている。 “Je sais là-bas une vierge rose” 邦題を「バラ色の乙女があそこにいる」とした。8行の詩であり、四行ごとにピリオドがあるので、2詩節の詩なのかもしれない。各4行の脚韻が [a, b, a, b]となっている。


Je sais là-bas une vierge rose

Je sais là-bas une vierge rose
Fleur du Danube aux grands yeux doux
O si belle qu'un bouton de rose
Dans la contrée en est jaloux.
Elle a fleuri par quelque soir pur,
En une magique harmonie
Avec son grand ciel de pâle azur :
C'est l'orgueil de la Roumanie.

Emile NELLIGAN (1879-1941)


バラ色の乙女があそこにいる

バラ色の乙女があそこにいる
ドナウの花、可愛く大きな瞳
バラのツボミのように美しく
この地では誰もが羨ましがる。
ここ数日、澄んだ黄昏に開花し
淡い青色の大空となぜか妙に
調和していて、とても不思議。
ルーマニア人が自慢するわけ。

エミール・ネリガン


Photo by DiyGuy @flickr

教区参事会 -- リルケ

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今日のドイツの詩はリルケの “Das Kapitäl” 邦題を「教区参事会」と訳した。一瞬リルケがまさか「資本論」と思ったが、“Das Kapital” ではない。いずれも中性名詞であるが、中身は大違いである。参事会が聖堂の装飾をどうするかでもめている話である。

絵は私が好きという理由でモネの「ルーアンの大聖堂」


Das Kapitäl

Wie sich aus eines Traumes Ausgeburten
aufsteigend aus verwirrendem Gequäl
der nächste Tag erhebt: so gehen die Gurten
der Wölbung aus dem wirren Kapitäl

und lassen drin, gedrängt und rätselhaft
verschlungen, flügelschlagende Geschöpfe:
ihr Zögern und das Plötzliche der Köpfe
und jene starken Blätter, deren Saft

wie Jähzorn steigt, sich schließlich überschlagend
in einer schnellen Geste, die sich ballt
und sich heraushält-: alles aufwärtsjagend,

was immer wieder mit dem Dunkel kalt
herunterfällt, wie Regen Sorge tragend
für dieses alten Wachstums Unterhalt.

Rainer Maria Rilke


教区参事会

夢に見た怪物が契機になり
翌日は心乱れた苦悩を経て
始まる。曲がった大聖堂の
胴蛇腹も参事会の紛糾の末


密集して、謎めく絡み合う
大空に羽ばたく芸術作品だ。
会議の躊躇、首脳陣の着想
そして癇癪が起きたように

聖書の箇所でひっくり返り
急速に固まり、議論の余地は
無くなる―。頂上に昇るが

毎度のこと、冷たい闇が迫り
落下する雨のよう、この過程の
成長を阻害しないよう気遣う。

リルケ

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193.ブラームスからエリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクへ

[ブダペスト、1886年12月22日]

 親愛なる友へ

  私がずっとあなたに書いてきましたように、私はあなたからお手紙を頂くとどれほど楽しかったでしょうか。この間文通がないのがどれほど不本意だったことで しょう。私は情けないほど仕事に追われていますし、私の作品を見たいように言われるので、協定を結びませんか。私は時々何も書かずに作品だけ送ります。そ の見返りにあなたはすてきなお手紙を――とくに生意気な意見を下さい。

 近々何かを送りたいと思っています。あなたが多少自由な時間がある時に届けば、生意気な意見を付け足して送り返えしていただけます。あなたの親切な長い手紙は、残念ながら三部作分、ろくでなし(1)によって邪魔されましたが、私はそれほど不快に思ってはいません。

 残念ですが、今お手紙を手許に持っておりません。持っておれば、適切な返事が書けるのですが。つまり、あなたの意見に同意できる(2)ことがあります。たとえばフロイライン・シュピースのこととか、フラウ・ヨアヒムが最前列に位置していることは否定できません。他の女性はいろんな理由で追 いつけません。でも彼女は室内よりも演奏会場向きの素質があるでしょう。ウィーンでは水準の高い歌唱を聴くことはめったにないですから、彼女の成功は自然 でもあるし、いいことです。私はヘル・ハイニの新曲、とりわけ交響曲を期待しています。私は2曲の三重奏曲と3曲の四重奏曲(3)が最高水準ですから、それを軽く越えることを期待します。

 もし送るとすれば、気が乗らないのですが、バイオリンのパート(4)を送ります。人と一緒に原稿を初見するのは通常は満足のいくものではありません。楽しいものであれば、一人でくつろいで演奏した方がいいでしょう。

 リハーサル(5)に行かなければいけません。それから良いクリスマスを祈ります。あなたの宛先はあったかな。

 それでは、ライン川で言うように「もうすぐまで」――では失礼します。

誠実なるあなたのJ.Br.より



(1) 文通の中断に責任のある人物。

(2) ブラームスが「わがまどろみ」の6-4和音の反対に同意したかどうか疑わしい。歌の熱狂的興奮に相応しいとして、彼が意識的に書いていることは明らかである。ハンスリックは(ヘルマン・リンクの)歌詞を薦めたが、内容も形式もブラームスにはしっくりしなかった。”singt im Wald”と”Willst du mich”の 後の歌の切断は認めがたいが、これは最後の眠りにつく前に聴き取ってもらおうとする病める乙女の最後の努力とみなすことが出来る。理想的に解釈されて歌わ れるならば、彼女の生命を犠牲にしてしまうという印象をあたえるであろう。なぜならば、彼女の呼び声に応ずるのは彼女の恋人ではなく、死だからである。ビ ルロートは8月18日にトゥーンのブラームスから受け取り、返事を出した。「君の付曲したH.リンクの死の淵にいる乙女の詩が一番感動的だ。感動的な女の子らしい声で率直に歌われることを想像し、恥も外聞もなく終わったときには泣いていた。」この歌曲の成功はビルロートの選択を正当化している。この6-4の和音の連鎖は永遠に残るであろう。

(3) ヘルツォーゲンベルクの作品27と42。

(4) イ長調のバイオリン・ソナタ。

(5) 第四交響曲。

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