ヘ短調作品34

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「今日の詩」は選者お気に入りのエメリー・ディキンソンの詩である。久しぶりに「恐怖」、「危機」、「幽霊」、「絶望」といった彼女らしい言葉が登場する。それでいて8音節と6音節を繰り返す典型的なバラッド形式を守り、彼女には珍しく、偶数行の韻は完全である。

絵は史上最大規模の騎兵隊の突撃とされるエイローの「突撃」である。


I Lived On Dread; To Those Who Know

I lived on dread; to those who know
The stimulus there is
In danger, other impetus
Is numb and vital-less.

As't were a spur upon the soul,
A fear will urge it where
To go without the spectre's aid
Were challenging despair.

Emily Dickinson


恐怖は私の糧

恐怖は私の糧。一度危機に
刺激を感じた人は
他の物ではもはや
効き目がない。

まるで魂を打つ拍車
魂を駆り立て
幽霊の支援なしに進む
挑発的な絶望へ。

エメリー・ディキンソン

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今日のエミール・ネリガンは “La cloche dans la brume” 邦題を「霧に鳴る鐘」にした。まだ少ししか読んでいなので早計な判断は出来ないが、カトリック教会に関連する詩が続く。おそらくイエズス会の経営する学校に通い、カトリック教会の鐘の音を聞いて送る少年ネリガンの毎日。ケベックの大聖堂を訪れるとその雰囲気は分かるような気がする。

教会を追われた女性が鐘の音を聞いて涙ぐんでいる。詩人はそんな光景を話者に語らしている。


La cloche dans la brume

Écoutez, écoutez, ô ma pauvre âme ! Il pleure
Tout au loin dans la brume ! Une cloche ! Des sons
Gémissent sous le noir des nocturnes frissons,
Pendant qu'une tristesse immense nous effleure.

À quoi songiez-vous donc ? à quoi pensiez-vous tant ?...
Vous qui ne priez plus, ah ! serait-ce, pauvresse,
Que vous compariez soudain votre détresse
À la cloche qui rêve aux angélus d'antan ?...

Comme elle vous geignez, funèbre et monotone,
Comme elle vous tintez dans les brouillards d'automne,
Plainte de quelque église exilée en la nuit,

Et qui regrette avec de sonores souffrances
Les fidèles quittant son enceinte qui luit,
Comme vous regrettez l'exil des Espérances.

Emile NELLIGAN (1879-1941)


霧に鳴る鐘

ほら聞いてよ!可哀相に!泣いている
夜霧の中遠くから!鐘だよ!嘆息の音
黒い夜に震えながら、響いてくるだろう
限りなく悲しい心が僕たちにも伝わる。

貴女は何を振り返り、何を考えている? ...
貴女はお祈りしない!気の毒におそらく
ずっと以前のお告げを夢見ている鐘が
突然貴女の絶望に似ていると思ったね?

鐘が貴女に暗く単調に歎きかけるから
鐘が貴女に秋の霧の中響くものだから
あの夜破門した教会に貴女が不満を言い

鐘は同情して苦悩の音を響かせている
灯ともる教会を後にした信徒の貴女が
希望を奪われ、絶望の淵にいるものね。

エミール・ネリガン


Photo by Mandolito @flickr

大広間 -- リルケ

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今日のリルケは大広間の紳士、淑女を描写し、この社交の場に招かれたリルケらしき人物の困惑を物語っている。

絵はJames Tissot の「お静かに」である。


Im Saal

Wie sind sie alle um uns, diese Herrn
in Kammerherrentrachten und Jabots,
wie eine Nacht um ihren Ordensstern
sich immer mehr verdunkelnd, rücksichtslos,
und diese Damen, zart, fragile, doch groß
von ihren Kleidern, eine Hand im Schoß,
klein wie ein Halsband für den Bologneser;
wie sind sie da um jeden: um den Leser,
um den Betrachter dieser Bibelots,
darunter manches ihnen noch gehört.
Sie lassen voller Takt, uns ungestört
das Leben leben wie wir es begreifen
und wie sie's nicht verstehn. Sie wollten blühn,
und blühn ist schön sein; doch wir wollen reifen,
und das heißt dunkel sein und sich bemühn.

Rainer Maria Rilke


大広間

皆さんを何に喩えよう、侍従の
服装や飾り付きシャツ着た紳士
まるで勲章の星を取り巻いた夜
ますます暗くなり、迷惑ですな。
淑女は優雅で華奢ですが衣装で
大きくなり、片手はスカートに
ボローニャの首飾り同様小さい。
各々の様子はどうか。朗読する方
ほとんど持っているのに熱心に
他人の装飾品を鑑賞している方。
一般の人には配慮しても、我らに
構わない。我らの人生は理解不能か
我らが把握していると思っている。
皆は目立ちたい、美しくなること。
だが我らは向上し、暗く悩みたい。

リルケ

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194.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ

[ベルリン、クアフルステン・シュトラーセ 87

[1886年12月28日]

 親愛なる友へ

  クリスマス・イヴにあなたの手紙が届くなんて、わざとでしょうか、それともまぐれでしょうか。初めてのことで縁起がいいですわ。あなたのお手紙にまたわた しの名前が載るなんて感動します。心に留めてくださっていたら、ペンを取られたはずです。以前はまめな方でしたので残念です。たしかにあなたは長文の手紙 をたくさん書きましたが、すてきだと誉めてくださいました。しかしこの手紙の内容に満足しています。時々「文なしで」新曲を送ってくださるかわりに、わた しが「すてきな返事」をするという提案には依存はありません。どうかこの契約を忘れずに、すぐに実行に移してください。

  わたしたちはフロイライン・シュピースのことでも意見は一致すると思います。時期を選んで印象に残ることを言っておくべきだと思います。それは音楽家が言 うべきで、あなたが唯一の人です。オールを漕ぐのを止めないように警告する価値のある才能の持ち主です。一般の意見は変化しますから、彼女はもっと真面目 になるべきです。彼女はあなたの二曲をまるで朗読するように歌いました。彼女の軽い最高音域は美しいし、蠱惑的だと思います。低音は濁り、高音は虚ろで粗 雑です。彼女に言ってやりたいのですが、叱るわけにいけません。あなたにはそれが可能ですし、そうすべきです。

 明日の夜ヨアヒムがあなたの変ロ調の六重奏曲(1)を演奏するので、わたしたちは聴く予定です。わたしはこの曲を新鮮に聴くためにピアノでそれを弾いています。わたしたちにはあなたを聴く機会が多いでしょう。それに良い人に演奏されています。先日、渋々我慢していた長いコンサートの最後に、「愛の歌」(2)が歌われました。その時、ハウスマンが背景から顔を出し、わたしたちは彼に気付き、彼も気付きました。これは愛する曲が喚起した活力です。

 昨年わたしはあなたの音楽のおかげで知人を得ました。ホ短調の演奏の時です。フラウ・ハルトマン(3)と息子さんが大変熱心に聴いていましたので、知り合いになるべきだと思い、自己紹介しました。話しかける前から、彼女の思慮深い顔と熱心な聴き方で彼女に大変好感を持ちました。わたしは「共同体」という言葉の美しい意味を悟り、ゲーテの魅力的な詩が浮かびました。
「何が尊いかって?多くの心で結ばれたものさ。
イグサで編んだ花冠のように軽かろうとも」
‘Was ist heilig? Das ist’s, was viele Seelen zusammenbindet
War’s auch nur so leicht, wie die Binse den Kranz.’ (4)

さようなら、イグサさん。――では失礼します。
親愛にして傾倒するあなたのヘルツォーゲンベルク夫妻より

 ラ・マラ(5)宛のあなたの手紙は愉快でした。彼女の本への反映が分かってはいなかったのです。ところで、あなたの手紙からは現在の所在がつかめません。



(1) 作品18。

(2) 作品52。

(3) フラウ・ベルタ・ハルトマン。詩人モリツ・ハルトマンの未亡人で、ビルロートの友人。

(4) ゲーテの「四季」から秋、作品69。

(5) 書簡149注記。

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