ヘ短調作品34

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頌歌 -- ジョン・キーツ

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「今日の詩」はキーツの “Ode” 「頌歌」である。今日の「頌歌」がキーツの短い人生の夏の時代に猛烈に書いた「頌歌シリーズ」での位置づけについて、私は不明である。キーツの詩はロマン派特有の長編詩が多い。それに以前「聖アグネスの夜」の一箇所で挫折した苦い体験がある。選者が送ってきたキーツの「頌歌シリーズ」がまだ残っている。今日開けてみたらこの詩は意外と短い。これなら途中で挫折しても時間的ロスは少ないと思い挑戦した。

キーツは以前紹介したが、長らくイギリスで放置されてきたホメロスの英訳の虜になり、ギリシャの文明に関心を抱いた。今日出てくる「吟遊詩人」はホメロスを指すのかもしれない。また死後の世界もギリシャ人の「エーリュシオン」である。

絵はフランスの画家オーギュスト・ルロアAuguste Leloir (1809-1892)の吟遊詩人ホメロスである。


Ode

Bards of Passion and of Mirth,
Ye have left your souls on earth!
Have ye souls in heaven too,
Double lived in regions new?
Yes, and those of heaven commune
With the spheres of sun and moon;
With the noise of fountains wound'rous,
And the parle of voices thund'rous;
With the whisper of heaven's trees
And one another, in soft ease

Seated on Elysian lawns
Brows'd by none but Dian's fawns;
Underneath large blue-bells tented,
Where the daisies are rose-scented,
And the rose herself has got
Perfume which on earth is not;
Where the nightingale doth sing
Not a senseless, tranced thing,
But divine melodious truth;
Philosophic numbers smooth;
Tales and golden histories
Of heaven and its mysteries.

Thus ye live on high, and then
On the earth ye live again;
And the souls ye left behind you
Teach us, here, the way to find you,
Where your other souls are joying,
Never slumber'd, never cloying.
Here, your earth-born souls still speak
To mortals, of their little week;
Of their sorrows and delights;
Of their passions and their spites;
Of their glory and their shame;
What doth strengthen and what maim.
Thus ye teach us, every day,
Wisdom, though fled far away.

Bards of Passion and of Mirth,
Ye have left your souls on earth!
Ye have souls in heaven too,
Double-lived in regions new!

John Keats.


頌歌

情熱と歓喜の吟遊詩人たち
汝らは地上に魂を残し
天上にも魂を置き
天と地のいずれにも住むか?
そうだ、天上の詩人たちは
天体の太陽と月とともに。
神秘の泉の音とともに
雷鳴のごとき声の会話。
天上の樹々の囁きとともに
互いにくつろぎながら

エーリュシオンの芝に座し
草食むはダイアナの子鹿のみ。
青き大空の帳の下で
ヒナギクがバラの香を放ち
バラも自ら香水を得るが
地上の物とは異なれる。
ナイチンゲールも歌うが
無我の恍惚たる歌にあらず
神性の旋律にのる真実を歌う。
知を愛する心地よき曲なり。
天上とその不思議な物語と
黄金の歴史。

されば汝らは高き所に住み
再び地上にて住む。
汝らが残したる魂で、我らは
汝の仲間が楽しみ
飽きずに無為に過ごさぬ所に
汝らを見出す術を知る。
汝らの地上に誕生せる魂も
人間に語る、さやかなる日々を。
喜びと悲しみを
情けと恨みを
鍛えるものと毀すものを。
汝ら日々我らに伝える
遠くに去りし知恵を。

愛と喜びの吟遊詩人たちよ
汝らは地上に魂を残し
天上にも魂を置き
天と地のいずれにも住む!

ジョン・キーツ

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今日のエミール・ネリガンは誘惑の多い危険な青春時代をむかえて母親から肖像画が見えるロケット(locket)をもらったらしい。いつも母親から監視されているから悪い恋はできない。出征兵士なら弾が飛んできて、そのロケットの母親が身代わりになり、一命を取りとめることもあるだろうが。余談はさておき、いつもの調子でエミールは感傷的なソネットを綺麗に纏め上げている。

あいにくこの詩に相応しいロケットが見つからなかった。ただ時代的にこんなものではなったという、ヴィクトリア朝のロケットを解説的に表示する。おそらく母親が息子や旦那さんの無事を願って肌身離さずに持っていたものであろう。二人の男性の代わりに優しい母親を想像していただきたい。ネリガンのお母さんだから綺麗な女性だったろう。


Le talisman

Pour la lutte qui s'ouvre au seuil des mauvais jours,
Ma mère m'a fait don d'un petit portrait d'elle,
Un gage auquel je suis resté depuis fidèle
Et qu'à mon cou suspend un cordon de velours.

" Sur l'autel de ton coeur, puisque la Mort m'appelle,
Enfant, m'a-t-elle dit, je veillerai toujours.
Que ceci chasse au loin les funestes amours,
Comme un lampion d'or, gardien d'une chapelle. "

Ah ! sois tranquille en les ténèbres du cercueil !
Ce talisman sacré de ma jeunesse en deuil
Préservera ton fils des bras de la Luxure,

Tant j'aurais peur de voir un jour sur ton portrait
Couler de tes yeux doux les pleurs d'une blessure,
Mère !... et dont je mourrais, plein d'éternel regret.

Emile NELLIGAN (1879-1941)


お守り

悪しき日々の始まりを守るため
お母さんは小さな肖像に署名し
以来僕はずっとお守りを信じて
首にビロードの紐で吊り下げた。

「死が呼びにきたら心の祭壇にね
私はいつでも見守って上げるよ。
これは悪の恋を追い払うからね
金の灯火か教会の番人みたいに」

暗い棺の中でも僕は心静かです!
悪しき青春時代の神聖なお守り
お母さんの息子を邪淫から守り

いつもお母さんの肖像を眺めて
優しい眼から涙が溢れる日には
お母さん!...死ぬほど後悔するよ。

エミール・ネリガン


Photo by Teresa Stanton "T" @flickr

高い樅の樹 -- リルケ

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今日のリルケもクリスマス用の二詩節から構成される綺麗な韻文である。韻の構造はいずれも [a, b, a, a, b]である。10行の詩を4種類の韻で纏め上げている。大人も子供も楽しめる詩である。ドイツ語の韻律についてはまだ勉強し始めた所である。

Die hohen Tannen atmen

Die hohen Tannen atmen heiser
im Winterschnee, und bauschiger
schmiegt sich sein Glanz um alle Reiser.
Die weißen Wege werden leiser,
die trauten Stuben lauschiger.

Da singt die Uhr, die Kinder zittern:
im grünen Ofen kracht ein Scheit
und stürzt in lichten Lohgewittern, -
und draußen wächst im Flockenflittern
der weiße Tag zu Ewigkeit.

Rainer Maria Rilke, 1875 - 1926


高い樅の樹

高い樅の樹は冬の雪で
しわがれた咳きをして
歩行者に視線を落とす。
白い道路は優しくなり
気楽な家は暖かくなる。

時計鳴り、震える子供。
かまどの焚はパチンと
家の外では粉雪が舞い
白雪の日はいつまでも。

リルケ


Photo by paul+photos=moody @flickr

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204.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ

[ベルリン、1887年5月16日]

 親愛なる友へ

ついにあなたの居場所を知りました。哀れなハインリッヒの要請で直ちに書いております。彼は今日で6週間あまり重病でした。わたしは不安な時を過ごしました。もう大丈夫とは到底言えませんが、危険な状態は過ぎたと思います。

わたしたちは17日間のイースター休暇を利用して、ぜひ会いたいという年老いた母の願いでフィレンツェに向けてあわただしい旅に出ました。一日半の旅でしたが、この強要された旅に耐えておりました。あいにく冷たい気候で、不快な石床とすきま風の通る入り込んだ路地で風邪をひきやすかったのです。ハインツは滞在の終わり頃に突然、リューマチの発作の生け贄になり、非常に苦しい状態で帰ることを余儀なくされました。ここでさらにもう一度危険な状態になり、まもなく右足を床に着けなくなりました。激しい痛みで寝たきりでした。悪いことに、医師たち(すぐに呼びました)はあわてるばかりで、重症の程度も今後の予知も判断できない状態でした。症候は不可解のようでした。最終的には 仙骨(os sacrum )の炎症と診断されましたが、氷枕を当てると理論に反して苦痛が増したのです。ライプツィッヒから知り合いの医師が来てくれましたが、専門家とは思えないあわてぶりで無名骨の炎症と言いました。それでは絶望的です。今では筋肉リューマチということになっています。

治療が不確かでなければ、悲劇というより喜劇になるところでした。おかげでモルヒネの注射で痛みも和らぎましたが、歩行が快復しません。最後の10日間松葉杖でよろよろ歩けるようになりましたが、一度に数歩で、大変困難な状態でした。彼は陽気で、この18年間というもの病気したことがないので、苦しみと退屈で二重に耐え難いようです。忍耐できないようです。昨日初めて、わたしたちは彼を励ますことができました。二人の仲間とあなたのトリオを演奏し、あなたのトリオを、あなたの見事なトリオを、とりわけ大好きな曲を演奏し、気分的には非常に回復しました。貴重な贈り物と急いでくれた配慮(1)に彼は千の感謝をしております。

彼は出発前に送ってくださった興味深い写真の入った小包にも非常に感謝しています。あの愛らしいヴァン・ダイクは見たことがありません。フロイライン・シュピースはあなたが彼女に非常に親切で、意見してくれてよかったと言っておりました。彼女は素直にわたしの言うことを受け入れ、その趣旨のことを素敵な手紙に書いてきました。でもわたしは主人の病気で拘束されていましたので、約束通りに会えませんでした。

待ち望んでいた合唱曲(2)の包みは探しましたが、ありませんでした。ハインツは重病で気晴らしが必要ですので、彼に送っていただけませんか。わたしたちは長くて良い手紙を書き、あなたの賛美を歌い、あなたのご好意を讃えます。ぜひ、ぜひ何か送ってください。明日、わたしはあなたのソナタ(3)をハインリッヒ貪欲公のご命令により弾く予定です。つぎがチェロ・ソナタの順番です。その後でもう一度します。

ハインリッヒはアストール(4)を通じて新作の合唱曲(5)を二曲送ります。あなたから優しい言葉をいただきたいのです。あなたはまたスイスで、遠く離れていますから、今回は悲しいけど会えないかもしれません。

わたしたちは絶対安静である限りここにいます。ハインリッヒが汽車で座れるようになれば、ナウハイム(フランクフルトとギーセンの中間)に行って、強壮効果のある治療がリューマチに効果があるのか試しに行きます。その後回復して静かなリスレイで休養したいと思います。わたしは非常に調子がよく、わたしの看護婦としての能力が緊急の時に備えていた体力を呼び覚ましてくれたのです。

さようなら。わたしの哀れな肢体不自由者に何か送ってください。

夏の間の幸せと繁栄を――その反映が忠実なる者に。

ヘルツォーゲンベルク夫妻より







(1)ブラームスは三重奏曲を一部送っている。

(2)「秋に、作品104第5曲」

(3)イ長調ソナタ。

(4)「合唱と管弦楽のための頌歌、歌の星(Der Stern des Lieds)、作品55」と「コントラアルト、合唱、管弦楽のための夜の厳粛(Die Weihe der Nacht)、作品56」。

(5)リーター・ビーダーマン社の。

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