ヘ短調作品34

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「今日の詩」はジョン・ダンの “The Indifferent” 邦題を「女なら誰でも」にした。いわゆる講話の形式に従った彼の「形而上詩」である。話者は女性に話しかける形式で、話者は浮気な女であれば、どんな女でも良い。問題は女に貞操観念があるかどうかである。貞操観念があれば、(性)愛は成立しない。心配することは無い。愛の女神ヴィーナスが「愛の宗教」の異端者は数人だったと調査報告をしている。警句でも知られたダンらしい講話詩は、道徳を正面から説くわけではない。不道徳が蔓延する社会に対して警鐘を鳴らすのが意図と思いたいが、17世紀にはどう受け取られたのだろうか。

脚韻は確認できたが、韻律に関してダンは独特の巧妙な技法を駆使しているとのことである。それを見破るだけの語学力は私には無い。

絵はフランソワ・ワトー(Antoine Watteau 1684-1721)の有名な「シテール島への船出」である。ギリシャの伝説の愛の島が今日のダンの講話に合っているのかどうか。


The Indifferent

I can love both fair and brown;
Her whom abundance melts, and her whom want betrays;
Her who loves loneness best, and her who masks and plays;
Her whom the country form'd, and whom the town;
Her who believes, and her who tries;
Her who still weeps with spongy eyes,
And her who is dry cork, and never cries.
I can love her, and her, and you, and you;
I can love any, so she be not true.

Will no other vice content you?
Will it not serve your turn to do as did your mothers?
Or have you all old vices spent and now would find out others?
Or doth a fear that men are true torment you?
O we are not, be not you so;
Let me--and do you--twenty know;
Rob me, but bind me not, and let me go.
Must I, who came to travel thorough you,
Grow your fix'd subject, because you are true?

Venus heard me sigh this song;
And by love's sweetest part, variety, she swore,
She heard not this till now, and that it should be so no more.
She went, examin'd, and return'd ere long,
And said, "Alas! some two or three
Poor heretics in love there be,
Which think to stablish dangerous constancy.
But I told them, 'Since you will be true,
You shall be true to them who'are false to you'."

John Donne.


女なら誰でも

私は金髪も好きだし、黒髪も好きだ。
私は裕福を誇示しない女も好きだし、つい貧困を露呈する女も好きだ。
私は田舎で育った女も好きだし、都会で育った女も好きだ。
信じ込む女も、疑い深い女も。
泣いて目を腫らしている女も
乾いたコルクのように涙を一滴も流さない女も。
あの女も、この女も、貴女も、そして貴女も私は好きだ。
誰でも好きだ、女が貞淑でさえなければね。

不貞以上の悪徳がありましょうか?
貴女方の母親に代わり、この悪徳が貴女方にお仕えする番ではないかな?
それとも、あらゆる悪徳を犯し他の悪徳をお探しかな?
それとも、男が誠実だとしたらとお悩みかな?
我々は誠実ではない。それは貴女方も同じ。
色々知っていたら教えてください。
私から誠実を奪ってもいい。だが私を自由にして、縛らないで頂きたい。
私は貴女方とお付き合いしてきた。
貴女方が貞淑だとして、この私が貴女方の忠実な家来になれますか?

ヴィーナスが私の不安のため息を聞き付け
愛の甘美な役割、浮気にかけて誓いました。
今まで聞いたことがないし、今後もないだろうと。
彼女は出かけ、調べて、間もなく戻ってきて
言うには「ああ二、三人ばかり
哀れな邪教徒がいて
貞操を守ろうなどと危険な考えを持っている。
私は連中に言った。『貞淑にだって
お前達に不実な者に貞淑になることよ』」

ジョン・ダン

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今日のエミール・ネリガンは “Charles Baudelaire” 「シャルル・ボードレール」である。ボードレールは1867年に死んでいる。彼はカナダで12年後に生まれている。早熟なネリガンはヴェルレーヌ、マラルメが相次いで世を去った19世紀末期には、詩を書いていたはずである。

ボードレール賛美なのか、俺が後を継ぐから心配するな、言わんばかりの詩。なんとも生意気なガキだが、脚韻を見る限り実に綺麗である。

写真は有名な肖像写真家エティエンヌ・カルジャ(Etienne Carjat)のボードレール像。

Charles Baudelaire

Maître, il est beau ton Vers ; ciseleur sans pareil,
Tu nous charmes toujours par ta grâce nouvelle,
Parnassien enchanteur du pays du soleil,
Notre langue frémit sous ta lyre si belle.

Les Classiques sont morts ; le voici le réveil ;
Grand Régénérateur, sous ta pure et vaste aile
Toute une ère est groupée. En ton vers de vermeil
Nous buvons ce poison doux qui nous ensorcelle.

Verlaine, Mallarmé sur ta trace ont suivi.
O Maître tu n'es plus mais tu vas vivre encore,
Tu vivras dans un jour pleinement assouvi.

Du Passé, maintenant, ton siècle ouvre un chemin
Où renaîtront les fleurs, perles de ton déclin.
Voilà la Nuit finie à l'éveil de l'Aurore.

Emile NELLIGAN (1879-1941)


シャルル・ボードレール

師よ、汝の詩は美しい。稀な匠
新しき美で我らを絶えず魅了し
太陽の国パルナシアの魔術師よ
汝奏でる竪琴に我ら舌を震わす。

古典は死せり、甦らす者此処なり。
偉大なる蘇生者、純粋な広き翼は
新時代を画した。汝の深紅の詩で
我らは魔法の甘き毒薬を飲みぬ。

ヴェルレーヌ、マラルメ後を追い
師よ、汝逝けるも、なお生き続け
汝は堪能せる一日に生き続けん。

すでに汝の世紀は道切り開かれ
汝の晩年の花や真珠は再生せん。
此処に曙は目覚めて夜は終わる。

エミール・ネリガン

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今日のシュタットラーの詩も出だしは夕闇である。だが夜になると彼の極彩色の世界が始まる。話者は夜の庭を歩いて光の饗宴に招かれる。私は彼がフランス語の達人であったことから、ドイツの表現主義というよりもフランスの象徴派の系列におくと分かりやすいと考えていた。彼はたしかに前衛ではあるが、後期ロマン派と呼ぶのが相応しいと思うようになった。音楽でいえばリヒアルト・シュトラウスの極彩色の曲である。

今回困ったのは題名がラテン語である。祝福された人物ではあるが、男か女か。Beatanの語尾からベアトリーチェのように祝福された女なのかもしれない。私の語学力では定かではない。今回はカタカナ表記しておき、後日報告する。


Beata Beatrix

D??mmerl??uten sch??ttet in den veilchenblauen Abend
wei??e Bl??tenflocken. Kleine Flocken
blank wie Muschelperlen rieseln• tanzen•
schw??rmen weich wie d??nne blasse Daunen
wirbelnd• w??lkend. Schwere Bl??tenb??ume
streuen goldne Garben. Wilde G??rten
tragen mich in blaue Wundern??chte
gro??e wilde G??rten. Tiefe Beete
schwanken brennend auf• wie Traumgew??sser
still und spiegelnd. Silberk??hne heben
mich von braunen Uferwiesen
in das Leuchten. ??ber Scharlachfluten
dunklen Mohns der rot in Flammens??ulen
z??ngelt• treibt der Nachen. Bleiche Lilien
tropfen schillernd dr??berhin wie Wellen.
D??fte aus kristallnen N??chten tauchend
schlingen wirr und h??ngen sich ins Haar•
und sie locken . . leise• leise . .
und die gr??nen klaren Tiefen flimmern . .
Purpurstrahlen schie??en . . leise sink ich . .
s???? umf??ngt mich m??der Laut von Geigen . .
schwingt• sinkt• gleitende Pal??ste
funkeln fern. Licht st??rzt
??ber mich. Weit• gr??n
schwebt ein Gl??nzen . .

Ernst Stadler


ベアタ・エアトリクス

夕べの音は菫色の黄昏に
白い花弁を注ぐ。真珠貝のような
小さな花弁は滴り、踊り
か弱く揺らめく薄い羽毛が
雲になって舞うよう。花咲く樹が
黄金の花束を撒く。青く素晴しい夜には
自然の庭は偉大な自然の庭になる。
深い菜園は揺れ動き、静かに反射する
夢の水のよう。銀の小船が僕を
褐色の岸から乗船させ光の中へ。列柱に灯り
赤い舌を出すケシの真紅の洪水の上
帆船は漂う。青ざめた百合は
波のように輝きながら滴を落とす。
水晶の夜の香は潜り込み
無我夢中で飲み込み、髪に滲み込み
誘惑し...優しく、優しく..
明るい緑の深みはきらめき..
深紅の光は飛び散り...僕は静かに沈む..
やるせないフィドルの音が甘美に僕を包み..
滑り行く宮殿は揺れて沈み
火花を遠くに撒く。光は僕に
落ちる。輝きははるかに
緑色に揺れ動く。

シュタットラー


Photo by Ellis Gang @flickr

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182.ブラームスからエリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクへ

[ウィーン、1886年1月1日]

 今私はあなたとあなたが亡くされた(1)最愛の方のことを思っております。私たちの出会いは近年は短くまた稀でありましたが、お別れにするとき、より長くまた頻繁な再会を願っておりました。

 では失礼いたします。

あなたのJ.ブラームス.より



(1) 彼女の父が12月29日に突然死去した。この悔やみの手紙は葉書である。ブラームスが慣行に無頓着であったことの証である。

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