ヘ短調作品34

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「今日の詩」はすでに読んだような気がする。エミリーは短い詩を数多く書いているので気を付けなければならない。題名は “For Each Ecstatic Instant” 「恍惚の瞬間のために」である。2詩節から構成され、いつものバラッド形式である。2詩節が内容的に対称性と類似性を持たせている。これ以上絞ると単なる格言になる。英語の面白さがなくなる。それにしても随分変わった単語を登場させる詩人である。究極の言葉遊びだろうか。

写真は原文に出てくる貨幣のファーシング “farthings” である。


For Each Ecstatic Instant

For each ecstatic instant
We must an anguish pay
In keen and quivering ratio
To the ecstasy.

For each beloved hour
Sharp pittances of years,
Bitter contested farthings
And coffers heaped with tears.

Emily Dickinson


恍惚の瞬間のために

恍惚の瞬間のために
支払う苦悩
急峻で震えるような
恍惚との比率。

待望の時間のために
艱難辛苦の薄給
辛い一銭の遣り繰りで
涙を貯える箱。

エミリー・ディキンソン

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今日のリルケはフルネの聖ニコラス教会の塔に登る。今なら電灯がついていない暗い塔を昇るのは逆に転落したようで薄気味悪い。光を求めて外を眺めると活気があふれる風景がある。

写真は聖ニコラス塔である。


Der Turm

Tour St.-Nicolas, Furnes

Erd-Inneres. Als wäre dort, wohin
du blindlings steigst, erst Erdenoberfläche,
zu der du steigst im schrägen Bett der Bäche,
die langsam aus dem suchenden Gerinn

der Dunkelheit entsprungen sind, durch die
sich dein Gesicht, wie auferstehend, drängt
und die du plötzlich siehst, als fiele sie
aus diesem Abgrund, der dich überhängt

und den du, wie es riesig über dir
sich umstürzt in dem dämmernden Gestühle,
erkennst, erschreckt und fürchtend, im Gefühle:
o wenn er steigt, behangen wie ein Stier -:

Da aber nimmt dich aus der engen Endung
windiges Licht. Fast fliegend siehst du hier
die Himmel wieder, Blendung über Blendung,
und dort die Tiefen, wach und voll Verwendung,

und kleine Tage wie bei Patenier,
gleichzeitige, mit Stunde neben Stunde,
durch die Brücken springen wie die Hunde,
dem hellen Wege immer auf der Spur,

den unbeholfne Häuser manchmal nur
verbergen, bis er ganz im Hintergrunde
beruhigt geht durch Buschwerk und Natur.

Rainer Maria Rilke




聖ニコラス塔、フルネ

土の内装。君が暗闇の中を
登った所に最初の土の平面
君が着く所は川底の斜面で
ゆっくりと暗闇の泥濘から

躍り出るよう、生き返った
気分になり、顔を向けると
突如として暗闇が奈落の淵
から落下し、君の上を覆い

薄暗い椅子では君の周囲が
大きく逆転したように見え
仰天し怖くなる気分になる。
闇が深まると吊るされた牛。

しかし狭い突き当たりには
風が通る光がある。ここで
飛び出す気分、再び眺める
空は眩暈がしそう、地上は
目覚めて、活気にあふれて

パテニエール描く日常生活
それと同時に、時々刻々と
犬のように橋を走り抜けて
跡を残して行く明るい道路

隠れていたむさ苦しい家の
数々。さらには藪や自然で
休んでいた背景に至るまで。

リルケ

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231.ブラームスからエリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクへ

[ウィーン、1888年10月21日]

 フラウ・フランツはエリーザベト・シュトラーセ No.8に 住んでいます。私は軽い「普段着」を送りたくなりました。でもいいですか、それを荷造りして送り返す必要なないのです。今回はたしかに、その手間に値しない物です。フラウ・レントゲンはあなたと同居しているのですね。彼女にどうぞよろしく。バイオリン・パートを彼女に同封しても役に立たないでしょうね(1)。 運命の女神はこの気の毒な夫婦に優しくはできなかったものでしょうか。この二人はフラウ・シューマンのように、長い人生を打撃にひるむことなく前進できません。この冬アムステルダムで彼はもううまくやってはいけない気がします。ビルロートはミュンヘンであなた方を探しました。足と腕の様子を診たかったのです。

 許してください。あなたの友からの挨拶を受けてください。

あなたのJ.Br.より



(1)ブラームスはバイオリン・ソナタ第3番、作品108のバイオリン・パートとピアノのスコアの両方を送った。1886年にトゥーンで完成しているが、ブラームスは発表を見送っている。1889年に発表し、ビューローに献呈した。

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