ヘ短調作品34

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「今日の詩」はイェーツの詩である。タイトルが非常に長い。タイトルは「無題」したのでは、後世の人が困る。エミリー・ディキンソンのように、無題であるが、最初の一行が短い場合はまあ良いとしよう。今日のイェーツはタイトルが二行分ぐらいあって、それ自体詩の一部をなしているのも珍しい。タイトルは本文を要約していないのである。

「彼」は「私」に褒めさせたい人がいるらしい。イェーツは、模倣者は「ノミ」であり、それを「褒める」としても本気ではないといっている。どうにもならない「ノミ」をあきらめて、軽く褒めておくだけさと言いたいのであろう。では「ノミ」は誰なのだろう。イェーツの褒められないようにしよう。

A Poet, Who Would Have Me Praise Certain Bad Poets, Imitators Of His And Mine

You say, as I have often given tongue
In praise of what another's said or sung,
'Twere politic to do the like by these;
But was there ever dog that praised his fleas?

Yeats


君は僕達を模倣する三流詩人を僕に褒めさせたいのだろうが

君は私が他人の評論や詩を
褒める癖があるというけど
それはたんなるお世辞さ
蚤を賛美する犬があるかい?

イェーツ

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今日のリルケの詩は “Archaischer Torso Apollos” 「古代のアポロンのトルソ」である。リルケはアポロンのトルソに見入り、頭部は欠落しているものの、その視線を感じている。視線を感じればこそ、この破損した石像は光り輝くと言いたいのだと、解釈してみたが、難解でよく分からなかった。いつもながら釈然としないまま、投稿することになる。

写真のアポロのトルソはミュンヘンのバイエルン王家のコレクションにある。リルケが鑑賞した可能性のあるトルソである。

Archaischer Torso Apollos

Wir kannten nicht sein unerhörtes Haupt,
darin die Augenäpfel reiften. Aber
sein Torso glüht noch wie ein Kandelaber,
in dem sein Schauen, nur zurückgeschraubt,

sich hält und glänzt. Sonst könnte nicht der Bug
der Brust dich blenden, und im leisen Drehen
der Lenden könnte nicht ein Lächeln gehen
zu jener Mitte, die die Zeugung trug.

Sonst stünde dieser Stein entstellt und kurz
unter der Schultern durchsichtigem Sturz
und flimmerte nicht so wie Raubtierfelle;

und bräche nicht aus allen seinen Rändern
aus wie ein Stern: denn da ist keine Stelle,
die dich nicht sieht. Du mußt dein Leben ändern.


Rainer Maria Rilke


古代のアポロンのトルソ

我らは眼が輝いていた頭部は
欠落するが故に分からないが。
トルソは今も燭台の如く光り
視線の向きは絞られ、固定し

輝く。でなければ、胸の筋に
魅了されず、腰ひねる仕草で
生殖器をつけた胴体の中央に
観客は笑いを浮かべぬはずだ。

でなければ、石像は変形して
肩の直下での転倒は明らかで
獲物の皮の煌めくこともなく

星のようにすべての角度から
光らず。君を見詰めぬ場所は
無いはず。君の人生は変わる。

リルケ

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233.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ

ニース、1888年10月30日


 親愛なる友へ
10月30日はわたしの記憶にいつまでも鮮やかに残ることでしょう。今朝貴重な分厚い巻物(1)が 届いたときのわたしの気持ちは表現しようがありません。わたしたちは朝食を取っておりましたが、殻から種を慎重に抜き取るとき、わたしの心臓の鼓動が早く なりました。ハインリッヒは原稿をわたしからもぎ取ろうとしましたが、わたしは握って放さず、アマンダの部屋に駆け上がりました。そこで多少は髪が乱れて(mal coiffees )いましたけれど、嬉しい期待に胸を膨らませ、演奏するために座り込みました。

わ たしたちは、あなたの呪文を感じつつ、曲の精神をすぐにくみ取りました。目はバーからバーへと飛び、熱狂と喜びは頁ごとに高まり、指は難しい部分に挑戦してたちまち成功を収めた、われを忘れてしまいました。わたしたちはつぎつぎに美しい部分を把握し、第一楽章が不断に生み出す、新曲の驚くべき感覚にもかかわらず、すぐにくつろいで気分になれました。

展開部の冒頭(2)では、わたしたちは息をのみました。妙なるペダル音がすべてを吸収しています。イ音が逃げだすけはいを見せず、それに織り込まれた見事な繊維を通してしっかり 自分を維持して行くにつれ、わたしたちの驚愕と喜びは高まっていきました。わたしの親指は曲の圧力で浮かれ喜びました。プロテウスのイ音(3)に嬰へ短調、テーマの抑制された再帰――モルト・レガート ――まで、徐々に潮が引くように弱まります。おお、ここは本当にあなたの見せ場ですよ。すべてあなたの手柄だというのではありません。 あの潮‘ das flutend stromt gesteigerte Gestalten’ (4) に手柄はあなたのものだという確信を与えたからです。この曲のおかげで、なんと、なんとわたしは嬉しいことでしょう。先日感じたことを隠す必要がなくてとってもよかった。この曲はわたしの現在の喜びを表現する自由をさらに与えてくれました。

すべて書くには新しすぎますが、一、二点強調しなければなりません。コーダ(5)の繊細なトランキロ(tranquillo )と最後のすこし短いペダル音(6)が、ソナタ形式の構造を強調し、イ音とニ音のペダル音を結合し黄金の指輪にしているのです。心は最後の頁にどう向けられるでしょうか。バイオリンのサステイン記号がピアノの左手の二分音符と美しい反対方向の運動で結びついています。感情とともに揺れうごき、リテヌートで 強められ、ペダル音が終わり、バイオリンが半音階になるところで、クライマックスに達します。この点に到達したとき、わたしたち三人は納得した表情を交わし、その表情はあなたが聞きたいことをすべて物語っていました。あなたがここに居てくださればとつくづく思ったことです。そして、この偉大な贈り物への感 謝の念であなたの手を握り、ピアノに座ってもらい、演奏を聴けたら、この制作の楽しい付随事件になるのだけど。このソナタで嬉しいのはその素晴らしい一体 性です。4楽章がまぎれもなく一家族の構成員です。一つの目的が全員を支配し、一つの色彩設計が全員を抱擁しながらも、それぞれの生命力は独自の方法で表現されています。

ア ダージオが中間部で邪魔されていないので嬉しいと思います。時々言っておりますように、中間部がいかに素晴らしくても、熱中できません。対照があまりに人 為的である気がします。わたしにとってアダージオが素晴らしいのはその連続性です。この理由で、この簡潔な楽章は引き締まった形式にも表現力があり、わた しはとくに好きです。このせめぎ合う和音が広々とした旋律の流れにいかに素晴らしい対照を形成していることか。なんと美しく響くことでしょうか。またプレ ストはなんと滑稽なので(良い意味で、楽しくて笑ってしまう)しょう。その息もつかせぬ急ぎにおいて驚くほど独創的で、すべてのメロディーがなんと陽気で、なんとユーモラスで、豊かなのでしょう。ピアノ・パーツは魅力的に書かれていて、最初から最後まで楽しく、弾きやすく、その色彩効果で最初の読み合わせで操作が可能です。わたしたちは文字通り楽しくて笑いました。しかも他との釣り合いがなんと完璧にとれているのでしょう。気分を損なうことなく、非常な 真面目さに緊張していた精神の自然なくつろぎです。フィナーレのプレストは最初把握が困難でしたが、すぐにそれがいかによくなっていき、全体にいかに合った王冠であるかをすぐに感じ取ります。しかもフィナーレに必須の質を――抑えることのできない衝動――最高度に保持しています。あの見事な絵画(7)にあるオーロラの馬のように突進し、穏やかな第二主題が厳粛に登場するまで休息を与えません。知り合ってから間がないのですが、最初(8)から、バイオリンが第三小節に入るところの美しいニ音の経過音と愛らしいpp 楽 節と展開部のクレシェンドにも気付いていました。最後のところを除いて、何と愉快に遊ぶのでしょう。ここは無慈悲です。わたしは大喜びで顔が赤くなるまで 弾き続けて、一休みし、さらに最初から演奏するのは控えました。アマンダのせいでこれはできずに、今晩に取っておくことにしました。その間が楽しみです。 今日のお祭りをお知らせするために、数語を書きたかったのですが、これは少なくとも電報よりはましです。

感謝いたします。ソナタを送るという善行に、この最上の曲を書かれ、お与えくださったことに感謝します。マクベス夫人の野心も充たされました。

あなたは先日のことで怒ってはいませんね。あれが誠実な尊敬以外の何ものでもないことを理解していただけましたね。こうするより他はなかったのです。今日の感じがいっそう嬉しくなりました。

感謝し、傾倒するあなたのリーズル・ヘルツォーゲンベルクより

このプレチッシモのなぐり書きの失礼を許してくださいますね。わたしは言うべきことをよく考える時間がなかったのです。結果は見落としとシミばかりになりました。



(1)バイオリン・ソナタニ短調、作品108の写本。

(2)6ページ第13小節。

(3)7ページ台19小節。

(4)ゲーテ。

(5)12ページ第19小節。

(6)12ページ第19小節他。

(7)ローマのロスピリオージ宮殿(Palazzo Rospigliosi)のグイド・レニ(Guido Reni)によるフレスコ画。ブラームスはラファエル・モルクヘン(Rafael Morghen)の銅版画をウィーンの彼の音楽室に飾っていた。

(8) 作品108、24ページ第30小節。

パールマンとバレンボイムのバイオリン・ソナタ第3番


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