ヘ短調作品34

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今回のエミリーの詩は「全集」のlove に分類されたものである。現在膨大な詩の中からどれが重要作品かわからない状態である。それで作曲家が注目した詩を重点的に訳すことにした。

まずたまたま目についたのが女流作曲家Gloria Coatesである。彼女が付曲した「 エミリー・ディキンソンの15の歌」はCDにもなっている。今日の詩はその中の一曲の原詩である。

エミリーは子供向けの詩を上手に書いた詩人であるという主張をウェッブで読んだことがある。バラード形式の音律から逆説的な主張がなされたのであろうか。

眉唾であるが、彼女が子供好きであったという「伝説」もある。子供向けあるいは内容はともかく子供っぽい感じの英詩を書いたという主張の裏付けになりそうな詩ではある。


I held a jewel in my fingers

I held a jewel in my fingers
And went to sleep.
The day was warm, and winds were prosy;
I said: "'T will keep."

I woke and chid my honest fingers, -
The gem was gone;
And now an amethyst remembrance
Is all I own.

Emily Dickinson


私は宝石を握って

私は宝石を握って
寝室に行った。
その日は暖かく 風は単調だった。
「無くならないでしょう」と私は言った。

目が覚めて正直者の指を叱った ―
宝石は無くなっていた。
今では紫色の思い出だけが
私に残された。

エミリー・ディキンソン


形式的には、第1行の[held , jewel]が内部韻 ”el”音であり、崇拝者から見ればきれいかもしれない。

また第3行の[was, warm, winds were]の頭韻が顕著であるといえようか。

全体に彼女にしては珍しく偶数行が完全な男性韻で終わっていること。かつその行がすべて短く4音節できれいに収まっていることである。この点が音楽家に気に入られたのであろうか。


オハイオ大学の朗読では

http://www.wiredforbooks.org/poetry/laura_lee_parrotti.htm

を訪問し、画面をプル・ダウンし

Series II Love XV. The Lost Jewel

をクリックして頂きたい。


後記:最終詩節の3行目

今ではアメジスト色の思い出だけが→今では紫色の思い出だけが

に修正した。原文の And now an amethyst remembrance
で [And an amethyst] の頭韻からamethystが選ばれているが、あくまで英語の都合である。彼女自身amethystという単語を詩集で3回しか使っていない。特別の象徴的な思い入れがあるわけではない。

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