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選者お勧めの「今日の詩」はジョン・ダンの詩であった。神に祈りを捧げる詩であろうか。間違いなく現代英語訳であるが、意外に難しく気が乗らなかった。もう少しディキンソンに馴れておこうと思った。もうあと20詩も訳せば、これまでにおかしたであろう初歩的なミスを修正できるかもしれない。
偶々ウェッブで出会った詩が ” A bird came down the walk” である。この詩においてエミリー・ディキンソンは鳥の観察者である。観察者はしばしば観察記録で自分の性格を告白してしまうものである。この鳥は彼女自身の自画像かもしれない。人が見ていないとミミズを食いちぎる鳥であるが、根は臆病で甲虫に道を譲り、女にパンを与えられると巣に逃げ去る。
母親が病気がちでディキンソン家の主婦の役割 を果たしてきたと想像される彼女である。人が見ていないと調理室でつまみ食いをしていたかもしれない。でもいったん人に出会うと、つまらない人物にまでも気を遣い、声をかけられると家に逃げ帰ってしまう。彼女の性格にかんする想像をたくましゅうした「俗説」を強化する詩ではある。
詩の形式は一見バラード風であるが、音節数は必ずしも安定していない。6音節から8音節まで幅がある。偶数行では最後の音は類似性があるものの完全な韻を踏んでいるわけではない。最後の詩節は彼女にしてはリリカルである。でも理解に苦しむ言葉の配列がある。リズムを保たせるためであろうか。分からない。まだまだ彼女を理解するにはほど遠い。
A bird came down the walk
A bird came down the walk:
He did not know I saw;
He bit an angle-worm in halves
And ate the fellow, raw.
And then he drank a dew
From a convenient grass,
And then hopped sidewise to the wall
To let a beetle pass.
He glanced with rapid eyes
That hurried all abroad,--
They looked like frightened beads, I thought;
He stirred his velvet head
Like one in danger; cautious,
I offered him a crumb,
And he unrolled his feathers
And rowed him softer home
Than oars divide the ocean,
Too silver for a seam,
Or butterflies, off banks of noon,
Leap, splashless, as they swim.
Emily Dickinson
鳥が一羽歩道をやってきた
鳥が一羽歩道をやってきた。
鳥は私の視線に気付いていなかった。
鳥はミミズを半分食いちぎり
生のまま食べた。
そして鳥は近くの草から
露を一口飲んだ。
そして壁際により
甲虫に道を譲った。
鳥は素早く
辺りをキョロキョロ見わたし ―
目はおびえたビーズのように思えた
ビロードの頭をふった様子は
危険を感じているようだ。
気をつけて私は鳥にパンくずをやったら
鳥は羽根を広げ
家路へと向かった。
跡も残さず銀白の海に分け入る
小舟よりもゆっくりと
飛沫も立てず泳ぐように堤を離れる
蝶よりもゆっくりと。
エミリー・ディキンソン
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