ヘ短調作品34

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「今日の詩」は「鏡の国のアリス」のエピローグとなっている、数学者チャールズ・ラトウィッジ・ドジソン(ペンネームはルイス・キャロル)の3行7詩節の詩である。「今日の詩」の選者は「鏡の国のアリス」のエピローグと題して送ってきた。Webで調べてみると、この詩は物語と独立して人気があるようである。

苦手のものに夢中になる性分で、ルイス・キャロルの数学の話は啓蒙書で読んだことはある。残念ながら、肝心のアリスの物語を全く知らない。確か映画館で、ディズニーの「不思議の国のアリス」の予告編を見た記憶はあるが。

早速勉強してみたけれども、なかなか頭に入らない。このエピローグはアリスの物語の成り立ちを反映しているようである。ルイス・キャロルと友人はクライスト・チャーチ・カレッジの学生監ヘンリー・リドルの娘のアリスと二人の姉妹をボートに乗せて川下りをしたことがあるようだ。

Epilogue to Through the Looking Glass

A boat, beneath a sunny sky
Lingering onward dreamily
In an evening of July --

Children three that nestle near,
Eager eye and willing ear
Pleased a simple tale to hear --

Long has paled that sunny sky:
Echoes fade and memories die:
Autumn frosts have slain July.

Still she haunts me, phantomwise
Alice moving under skies
Never seen by waking eyes.

Children yet, the tale to hear,
Eager eye and willing ear,
Lovingly shall nestle near.

In a Wonderland they lie,
Dreaming as the days go by,
Dreaming as the summers die:

Ever drifting down the stream --
Lingering in the golden gleam --
Life what is it but a dream?

Lewis Carroll



鏡の国のアリスのエピローグ

すみきった空の下、ボートは
夢みるようにのんびりとすすむ
七月の夕ぐれどき ―

よりそう三人の子供たち
目をかがやかせ、もっとお話をと
むじゃきにねだる。

あわい夏の空、かすかなコダマ
夏の思い出もとおくなり
秋のシモが七月にとってかわる。

アリスはいまでも私の思い出
アリスがうごきまわるのは
もう夢でしかみれない。

よりそう三人の子供たち
目をかがやかせ、もう一回お話をと
むじゃきにねだるがいい。

この子たちは不思議の国で
一日がおわると夢をみてねむる。
一夏がおわると夢をみてねむる。

流れにまかせながら―
金色の夕べをすすむ―
人生ははかない夢なのかな?

ルイス・キャロル


ルイス・キャロルは、成人した女性に興味がなく、幼女にのみ関心のある男性の代名詞になっている。それは偏見であるという主張を読んだことがある。彼は牧師夫妻の長男であり、大勢の弟や妹がいた。その結果、子供たちにお話をして寝かすのが彼の役目であり、お話しが上手になったと言うのである。
いくら詮索しても、キャロルとアリスの関係が明らかになるわけではない。私もこの説に同調するわけではないが、これで充分である。幼女に興味さえあればアリスが書けるものではない。彼の才能の産物である。

ルイス・キャロルは写真を撮っていた。アリス(Alice Pleasance Liddell)がルイス・キャロルが好んで撮影した被写体であることは間違いないみたいである。上の写真もアリスである。

少し勉強した。各行の最初の文字を太文字に修正した。 A L I C E P L E A S A N C E L I D D E L L 

すなわちアリスのモデルは

Alice Pleasance Liddell であるという説を支持している。

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12.ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ

ライプツィヒ、1877年4月27日

親愛なる心優しき友人へ

なんという幸運でありましょう。私たちは手紙を書く暇もなく、一日中コンサートの仕事で外出し、げっそり疲れて今し方帰ってきました。あなたのまことに自然な友愛のしるしには深く感謝するものであります。このおかげで久しぶりに幸せな気分になれました。まずは私たちのことを心にかけてくださったこと、つぎに私たちが喜ぶことを知っておられたこと(でなければ、小包は目的地に直接送られたでしょう)、 最後に歌はどれもこれも美しかったからです。私たちはこの訪問の夢のようにはかない性質に不満を述べるつもりはありません。とにかく私たちのところに来たのですからそれで充分です。私たちの意識に消えることのない印象を残しましたので、もう一度見ることができなくても、目に見える形で回顧する事ができなくても、その印象は鮮やかに残っておりますし、昨日から数えて20曲分だけあなたが好きになりました。助けて、ザミエルかジムロック(1)。試験だけは勘弁してくださいよ。

私たちはユリウス・レントゲンを連れてきて、数時間ピアノに向かいました。最初は彼が、つぎに彼女が歌いました。それから彼女が、つぎに彼が演奏しました。 一方私は、一枚の紙の上に私たちの印象を曲目と熱意を散文的にメモしました。こうすることで、小包を郵便局に持っていった後でも、適切な意見がいえるから です。発送作業は今朝自分ですませましたから、フラウ・シューマンは受け取られ、喜ばれることでしょう。


われわれはあらん限りの情熱で、何度も歌いましたが、あなたはまだご存じない指揮者の目がたまたまテンポ記号にふれました。われわれは黙り込み、気まずい視線を交わしました。私は今でも記憶しておりますが、テンポ記号についてあなたに話をしたとき、生意気にも、まっとうな音楽家が健全な作品のテンポで間違いをおかすはずがないと主張しましました。それにしても夢中になっていて、気づくのがなんと遅かったのでしょう。「きわめて活々とひそやかに(Sehr lebhaft und heimlich )」と書いてあります。私たちは左手の掛留で感情をむだにしてきたのです。右手の下に切分されたニ音のある二つの分散和音の上をさまよっていたのです。みんな間違いだったのです。私は遠くであなたの皮肉な笑いを聞いたような気がしました。あなたは正しいでしょう。もちろん正しいはずです。そしてわれわれは、まさに「楽しげに」かつ「ひそやかな」感謝の念でこれを歌うことになるでしょう。でもやはり、この発見で私たちは悩み ました。われわれは、レーダー(3)の間違をあなたが校正のときに見落としたが、公刊のときには、ゆっくりとひそやかに(Langsam und heimlich )(4)となっているだろうという考えを抱いております。

「天の鳴き声」については何も言うことはありません。私はただ、右手が11度と13度に届かないのではないかと懸念します。

言葉は不充分なものですが、私の言葉は他の人の言葉よりも無益であるに違いありません。とりわけあなたには、私はぎごちなくて芳しからぬ手紙を書くはめになるように思われます。これまでの手紙の中で私の性格が表れているのに気づかれたなら、私はしくじってきたのです。

例のバッハの編曲は素晴らしいのですが、しょせんこの世の凡人には、デュエットで演奏するのが関の山です。それさえ簡単ではありません。これは印刷の予定でしょうか、それと、何部か注文しておきましようか。ああ、海賊行為は禁断の悦びの一つであります。一つの歌を急いで写譜して、傷ついた女心を癒す香しき薬にしたいのですが。その歌は遺憾ながら、宝の箱におさまり、入り口には見るも恐ろしいベルリンの竜が日向ぼっこをしています。

ウィー ンでお会いできればよいのですが。でもウィーンにおられたとしても、面会はほとんど不可能です。ウィーンに行く予定はまったく立ちません。私たちは、ボヘミアの私の妹に五月をすべて振り向けるつもりです。彼女は主人を亡くしたばかりです。その後で、山で静かな時間を過ごしたいと思っています。九月の終わりまで、アルト・アウスゼーに滞在して仕事に励む予定です。あなたが、ほんのわずかの期間でもお立ち寄りくださればと考えたりしております。あなたとゴルド マルクが一緒に山登りをされるのを拝見したいものです。

ところでフラウ・シューマンは結局デュッセルドルフに行かれますが、あなたの代りに赴任されるのですか(5)。私は週間音楽新聞(Wochenblatt )ではありませんから、他言はいたしません。

もう一度、神の祝福があなたにありますように。

これは第一回目です。第二回目はすぐに、明日はかならず続きます。明日は妻には時間があります(6)。

もっとも誠実なるあなたのヘルツォーゲンベルクより



(1) 二人ともブラームスの出版者。

(2) 実際の題は:作品69、70、71, 72 の「恋人の誓い(Des Liebsten Schwu)」、「ひばりの歌(Lerchengesang)」、「月に寄せて(An den Mond)」、「秘密(Geheimnis)」、「古き恋(Alte Liebe)」、「夏の蜘蛛の糸(Sommerf??den )」である。ヘルツォーゲンベルクは20の歌曲といっているが、ジムロックが1887年に出版した4部には23曲が含まれているので、ブラームスは3曲を追加したに違いない。彼は「古き恋」、「夏の蜘蛛の糸」、「セレナーデ(Serenade)」 作品70、「克服できぬもの( Un??berwindlich )」 作品71 にことのほか愛着があり、完成の月を注意深く記している。

(3) ライプツィッヒの楽譜銅版家。

(4) 次の書簡を見よ。ブラームスはテンポ記号を Belebt und Heimlich に変えている。

(5) ブラームスはシューマンが占めていたデュッセルドルフの音楽監督のポストの申し出を受けたが、長い交渉は結局実らなかった。

(6) 手紙は5月5日まで書かれなかった(書簡14)。


訳注:


ここで話題になったブラームスの歌曲合計23曲が収録されたCDがあるようである。歌手もピアニストもわからないが、
アマゾン の試聴で 結構という方にお薦めである。

ライプツィッヒで好評だった6曲とマックス・カルベックが注記したブラームスの自信作2曲である。

4. Neun Gesange op. 69: Des Liebsten Schwur
11. Vier Gesange op. 70: Lerchengesang
15. Funf Gesange op. 71: An den Mond
16. Funf Gesange op. 71: Geheimnis
19. Funf Gesange op. 72: Alte Liebe
20. Funf Gesange op. 72: Sommerfaden

12. Vier Gesange op. 70: Serenade
23. Funf Gesange op. 72: Unuberwindlich

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