ヘ短調作品34

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「今日の詩」はプロストの「夜を知っている」である。ある男が夜散歩して、町の光から遠ざかり、空を見上げる。空に光る星は夜歩きを咎める様子もない。静寂な夜の光景である。1923年に出版された"New Hampshire"に収録されている。以前、同じ詩集に収録された「雪深い夜の森で立ち止まる」を訳したが、それとよく似た心象風景である。


Acquainted With the Night
.
I have been one acquainted with the night.
I have walked out in rain - and back in rain.
I have outwalked the furthest city light.

I have looked down the saddest city lane.
I have passed by the watchman on his beat
And dropped my eyes, unwilling to explain.

I have stood still and stopped the sound of feet
When far away an interrupted cry
Came over houses from another street,

But not to call me back or say good-bye;
And further still at an unearthly height,
One luminary clock against the sky

Proclaimed the time was neither wrong nor right.
I have been one acquainted with the night

Robert Frost



夜を知っている

僕は夜を知っているのだ。
僕は雨の中出かけ、雨の中戻って来た。
僕は町の光が届かない所まで歩いた。

僕はわびしい町の道を見下ろした。
僕は訳を話すのも面倒なので、目を伏せて
当番の夜警をやり過ごした。

一本筋向こうの住処から
突然叫び声が聞こえたので
僕は立ち止まり、足音をたてないようにした。

呼び戻すとか、別れを告げるわけではない。
さらに途方もなく高い所から静かに
空に光る時計が一つ

時間を間違えているとも言わなかった。
僕は夜を知っているのだ。

フロスト


形式の美しさはすごい。10音節(五歩格)弱強格で、英語では難しいとされる terza rima (三韻句法)である。[a, b, a] [b, c, b] [c, d., c] [d, e, d] [e, e]の構図になっている。シェリーのOde to the West Windはこの構図で5詩節続けたからもっとすごいけれども。

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25.ブラームスからヘルツォーゲンベルクへ

[ハンブルク、1878年1月 18日]

 親愛なる友へ

 この手紙は意図と目的において、外形はともかく葉書にすぎません。短い急ぎの走り書きであり、お宅で過ごした楽しい日々をいささかもほのめかすものではありません。

 さて、毎日思うことですが、ここであなた方をお迎えする予定がないのはまことに結構なことです。ハンブルクだけですが、年間360日じつにいやな天気(残りの5日に当たるのは困難の極み)です。外に出ようとか窓から外を眺めたいという気持ちになるのは一日のうち一時間とありません。

 でもハ短調の指揮は楽しいとおもわれます。オーケストラは非常に熱心で今晩を楽しみにしています。明日はブレーメン(カール・ラインターレル(1))に、水曜日にはユトレヒト(T.W.エンゲルマン)に行きます。2月4日にはアムステルダムでニ長調を指揮する約束をしました。ユトレヒトの宛先で手紙も届きます。

 手紙の意図がばれましたね。例の交響曲のパーツをアムステルダムの宛先は、J.A.ジレム、ヘーレングラハト、478です。

 ジムロックの代理業者をご存じだと思いますが、例の荷物を彼に渡してさえいただければ結構です。もう一つの荷物はまじめな話、デュエットと呼んで頂いて結構ですが、ユトレヒトに送るために彼に手渡してください。

 到着した最初の日にビュルナー(2)に手紙を書きましたが、プログラムには、ニ長調交響曲、ベートーベンの合唱幻想曲、そして「魔の炎」(3)が入っていると知ったときの可哀想なわれらの友人の拷問の苦痛(4)を想像してみてください。私はもちろん手紙を出して彼女に来るように説得しますが、すべてが滑稽で、真剣に考える気もしません。彼女が引き受ける気になるとは考えられません。

 安心してお休みください。あなた方がどれだけお手紙を下さろうとも、どれほど親切であろうとも、私には借りです。利子をつけてお返しします。あなたの兄弟姉妹の皆様に、それからベルンシュトルフ(5)にもよろしくお伝えください。

              いつまでもあなたのJ.Br.より





(1) カール・ラインターレル(Karl Reinthaler, 1822-1896)、ブレーメンの作曲家で指揮者。ブラームスの熱狂的崇拝者。ブレーメンの大聖堂でブラームスのドイツ・レクイエムをドイツで初演した。

(2) フランツ・ビュルナー(Franz Wüllner, 1832-1902)、ミュンヘンとドレスデンの指揮者。

(3) フラウ・シューマンのワーグナーに対する反感は非常に強く、ブラームスは「魔の炎」と同じプログラムでは演奏しないのではないかと心配した。

(4) フラウ・シューマンはドレスデンのコンサートでベートーベンの「合唱幻想曲」を演奏することになった。

(5) エードアルト・ベルンシュトルフ(Eduard Bernstorff, 1825-1901)、音楽紙 Die Signale für musikalische Welt の反ブラームス派の評論家。

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