|
「今日の詩」はかなり前に選者が送ってきたものである。帝国主義者キップリングに対する疑問は消えない。だが考えてみると、ヴィクトリア朝時代に労働者の待遇改善を迫った「社会主義者」も帝国主義者だったような気がした。大英帝国を支えるイギリス労働者たちの劣悪な労働環境を批判した人たちは、大英帝国の未来に懸念を抱いていただけである。植民地の原住民の文化や民族的誇りなど気にしていたとは思えない。 キップリングを擁護するものではないが、彼は当時として特に奇矯な人物ではなかった。彼の詩から帝国主義の実態と本質の証言が得られるかもしれない。相変わらず苦戦したときは勇猛果敢な敵を賛美し、それにより最終的な勝利を収めたイギリスを高めるというのがキップリングの手法である。 今回も、労働者階級の言葉と軍隊用語の訳に私が所有するありとあらゆる辞書を動員した。自信が持てない部分がいくつか出てきた。今までキップリングの訳でいちばん苦労した。誤訳は当然あるものと思う。たびたび修正して後日模範的な訳を読んでみたい。 なお題名のファジー・ワジーであるが、イギリスの植民地戦争で原住民が唯一「局所的勝利」を収めたスーダンの戦士の髪型に由来するという。キップリングの詩で有名になったが、ウィキペディアに写真があったのでこれを今日の写真とする。 Fuzzy-Wuzzy We've fought with many men acrost the seas, An' some of 'em was brave an' some was not: The Paythan an' the Zulu an' Burmese; But the Fuzzy was the finest o' the lot. We never got a ha'porth's change of 'im: 'E squatted in the scrub an' 'ocked our 'orses, 'E cut our sentries up at Sua"kim", An' 'e played the cat an' banjo with our forces. So 'ere's "to" you, Fuzzy-Wuzzy, at your 'ome in the Soudan; You're a pore benighted 'eathen but a first-class fightin' man; We gives you your certificate, an' if you want it signed We'll come an' 'ave a romp with you whenever you're inclined. We took our chanst among the Khyber 'ills, The Boers knocked us silly at a mile, The Burman give us Irriwaddy chills, An' a Zulu "impi" dished us up in style: But all we ever got from such as they Was pop to what the Fuzzy made us swaller; We 'eld our bloomin' own, the papers say, But man for man the Fuzzy knocked us 'oller. Then 'ere's "to" you, Fuzzy-Wuzzy, an' the missis and the kid; Our orders was to break you, an' of course we went an' did. We sloshed you with Martinis, an' it wasn't 'ardly fair; But for all the odds agin' you, Fuzzy-Wuz, you broke the square. 'E 'asn't got no papers of 'is own, 'E 'asn't got no medals nor rewards, So we must certify the skill 'e's shown In usin' of 'is long two-'anded swords: When 'e's 'oppin' in an' out among the bush With 'is coffin-'eaded shield an' shovel-spear, An 'appy day with Fuzzy on the rush Will last an 'ealthy Tommy for a year. So 'ere's "to" you, Fuzzy-Wuzzy, an' your friends which are no more, If we 'adn't lost some messmates we would 'elp you to deplore; But give an' take's the gospel, an' we'll call the bargain fair, For if you 'ave lost more than us, you crumpled up the square! 'E rushes at the smoke when we let drive, An', before we know, 'e's 'ackin' at our 'ead; 'E's all 'ot sand an' ginger when alive, An' 'e's generally shammin' when 'e's dead. 'E's a daisy, 'e's a ducky, 'e's a lamb! 'E's a injia-rubber idiot on the spree, 'E's the on'y thing that doesn't give a damn For a Regiment o' British Infantree! So 'ere's "to" you, Fuzzy-Wuzzy, at your 'ome in the Soudan; You're a pore benighted 'eathen but a first-class fightin' man; An' 'ere's "to" you, Fuzzy-Wuzzy, with your 'ayrick 'ead of 'air -- You big black boundin' beggar -- for you broke a British square! Rudyard Kipling ファジー・ワジー 俺達は海の向こうでいろんな連中と戦争した 勇気のある奴もいたが、臆病な奴もいた。 パターン人、ズールー族、ビルマ人。 だがファジーが何といっても一番さ。 連中に敵う奴はいやしなかった。 薮の中に潜んで俺達の馬の腱を切り スア‘キム’では俺達の見張りを切り殺し 俺達の軍隊とキャット・アン・バンジョーを鳴らした。 さてスーダンに今いるファジー・ワジーに言うが 貴様は遅れて哀れな野蛮人だが、第一級の戦士だ。 俺達は証言してもいいぜ、署名がいるなら 貴様がその気になれば、俺達はいつでも書くぜ。 俺達はカイバル峠では一か八かだったし ボーア人にはひどい目にあったよ ビルマのイラワジでは冷や汗かいたし ズールーの部隊は最新式の俺たちを痛めつけたよ でも連中から頂戴したものは、ファジーに比べれば ただのゲンコツ一発みたいなものさ。 わが軍は陣地を断固維持したと新聞は書いているが 一人一人比較してみると、ファジーは俺達を圧倒したよ。 そこでファジー・ワジーと女房と子供に言うが 貴様達を打ち負かせという命令に俺達は従ったのさ。 貴様達をマティーニで酔わせたのは汚い手だと思うよ。 不利でもファジー・ワジー、貴様達は方陣を突破した。 連中には新聞があるわけでなし 勲章も褒美ももらえないのに 長い刀を二本使いこなす あのファジーの武術はたいしたものさ。 棺桶の蓋の盾とシャベルの槍で 連中が薮の中を飛び回って 突撃するファジーで狂った日のことは 丈夫な兵隊でも一年間は忘れない。 さてファジー・ワジー、貴様と貴様の死んだ戦友だが 俺達に仲間が残っていたら、貴様の戦友を追悼しよう。 俺達はギブ・アンド・テイクの主義が公平だと思う。 俺達よりも死者が多くても、貴様はわが方陣を破った。 奴は狙いを定めた銃の煙に突撃し 俺達が気付く前に俺達の頭をメッタ切りした。 奴は生きているときは辛い塩とショウガで 死んでいるときは生きているふりをする。 奴は第一級、奴はすごい、奴は従順だ! 奴は浮かれたインド・ゴムの馬鹿 イギリスの歩兵連隊を気にもせず 平気の平座だったのは唯一奴だけさ! スーダンに今いるファジー・ワジーに言うが 貴様は遅れた哀れな蛮族だが、第一級の戦士だ。 麦束の髪をしたファジー・ワジーに言うが 貴様は跳ね回るでかくて黒い奴 − 貴様はイギリス軍の方陣を破った。 キップリング
|
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
全1ページ
[1]
|
今日はドイツの女流詩人アダ・クリステンの「雨の後」という詩である。いかにも女性らしい優しい気分が出ている。ただこの女性この詩を読む限り、恵まれた環境にあったように思われるが、彼女は人生の辛酸をなめたようである。早くに父を失い、お針子になったりして家計を助けた。 その後芸人になり、結婚もしたものの夫と死別し、残された子供も早死にしている。その後詩集を出したというが、それ以上のことは分からなかった。書かれた詩から勝手な伝記を創作してはならぬという例である。 Nach dem Regen Die Vögel zwitschern, die Mücken Sie tanzen im Sonnenschein, Tiefgrüne feuchte Reben Gucken ins Fenster herein. Die Tauben girren und kosen Dort auf dem niedern Dach, Im Garten jagen spielend Die Buben den Mädeln nach. Es knistert in den Büschen, Es zieht durch die helle Luft Das Klingen fallender Tropfen, Der Sommerregenduft. Christen, Ada (1839-1901) 雨の後 鳥はさえずり、蚊は 陽光に舞い、濡れて 深緑の葡萄の樹は 窓越しに覗き込む。 鳩は一階の屋根の上で 仲良くクーと鳴き 男の子が女の子を ふざけて追いかける。 薮でザワザワする音 澄んだ空気に乗り 雨の滴の落ちる音 夏の雨の爽やかな香。 アダ・クリステン
|
|
57.ブラームスからエリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクへ [ベルリン、1879年4月15日] 親愛なる友へ あなたが手紙に書かれたニュースのおかげで、私はライプツィッヒをまことに心穏やかに通過することができます。あなたがノルト・カップを断念して、ウィー ンとグラーツに行かれるというのは朗報です。家に戻りたい今、ライプツィッヒに滞在するよりはるかに快適な気分でお会いできます。私はグラーツにも、ケルンテンの山を越えては谷を越え、あなたのお好きな所ならどこにでも参ります。取り急ぎ失礼します。 誠実なるあなたのJ.Br.より 訳注 夏休みにノルウェイというのはグリークに会いに行くのであろうか。グリークはライプツィッヒ音楽院に入学し、その後しばしばライプツィッヒに来てヘルツォーゲンベルク夫妻と交友を深めている。グリークはライプツイッヒで結核に感染し、生涯健康問題に悩まされた。グリークはその意味でも、ライプツィッヒで結核に感染し、留学を中途で断念せざるを得なかった滝廉太郎の大先輩になる。下の写真はノルト・カップでる。 |

- >
- エンターテインメント
- >
- 音楽
- >
- 洋楽
全1ページ
[1]

桜と日本人ですね。なぜか、三島由紀夫を思...



