ヘ短調作品34

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ドイツ語圏で最初の自動車旅行の本を出版したビアバウム氏の詩である。偶数行で韻を踏む形式になっている。以前タカをくくり英訳してブログに投稿した。今回見直してみたら、当時の余りの無知に驚き、改定版を投稿することにした。知識がつけば英語が良くなるわけではないが、誤解には気づいた。

ドイツ語は格変化で母音が付きやすく、英語の詩より長くなるというのが私の感想である。原詩は四歩格(8音節)であるが、英語で四歩格にすると冗長な感じがしたので、7音節で整える工夫をした。

なおこの詩はキリスト教の「クレド(使徒信条)」の形式を取っているので、英訳でもそれを真似たかったが、成功したかどうか疑わしい。また牧神の笛を「シリンクス」と洒落てみたかったが、音節数も喰うし、対にはスフィンクスを持ってこなくてはならないので諦めた。

牧神はマラルメにより夏の季節の詩とすべきという固定観念が私にはあった。今回の詩で生と死の神である牧神が笛を吹いている季節はどちらとも取れる。秋の詩かもしれない。極端な牧神はフロストである。荒廃した自然を見て、自分の縄張りを侵すものがありえないことを確信して満足の笑みを浮かべている。今回のビアバウムの詩は我々の常識に配慮してくれた作品である。

Faunsflötenlied

Ich glaube an den großen Pan,
Den heiter heiligen Werdegeist;
Sein Herzschlag ist der Weltentakt,
In dem die Sonnenfülle kreist.

Es wird und stirbt und stirbt und wird;
Kein Ende und kein Anbeginn.
Sing, Flöte, dein Gebet der Lust!
Das ist des Lebens heiliger Sinn.

Otto Julius Bierbaum


牧神の笛の歌

我は偉大な牧神を信ず。
神聖なる活生の精霊。
彼の鼓動は大地の韻律
溢れる陽光は回り踊る。

誕生し、死し、再生する。
終わり無く、始めも無く。
歌え、吹け、欲望の祈り!
これぞ神聖な生の感受性。

ビアバウム


英訳

Pan’s Flute

I believe in Pan the god,
The unique vital spirit;
Nature pulses thro thy rhythm,
The sunshine dances to it

Birth and death and death and birth:
Without end, without begin.
Sing! Blow thy prayer of lust!
It is thy sense of being.

Otto Julius Bierbaum

牧神の笛

我は神なるパンを
唯一生の霊たるを信ず。
自然はその律で鼓動し
陽はそれに合わせ踊る。

誕生と死、死と誕生。
終わり無く、始めもなく
欲望の祈りを歌い、吹け!
これぞ汝の感ずる生存。

ビアバウム

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