ヘ短調作品34

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エミリーは信仰の自由を求めてマサチュウセッツに移住したピューリタンの末裔であり、その宗教的共同体で暮らした女性である。今日の詩はイギリス国教会への不服従を貫いた偉大な宗教的指導者の死を悼む内容かに見える。

だが壊れたミルク差しを悼んだ詩であると解釈した。後半に注を付ける。もっとも注とは言い訳である場合が多い。

形式的には4行目以降の偶数行で韻を踏んでいる。ただ内韻が非情に多い。it が6回使われている。また [it] の音は remitted で2回、flitted で2回使われている。十行の詩で十回登場している。

今回は it と ear がヒントになった。


Praise it ― 'tis dead ―

Praise it ― 'tis dead ―
It cannot glow ―
Warm this inclement Ear
With the encomium it earned
Since it was gathered here ―
Invest this alabaster Zest
In the Delights of Dust ―
Remitted ― since it flitted it
In recusance august.

Emily Dickinson (1830-86)


称えよ――逝けるを――

称えよ――逝けるを――
もはや輝かず――
大賛辞が
集中したる
凍える耳を
温めよ――
真白き情熱を注ぎ
塵を喜ばせよ――
充分――異様なる風体で
それを運びたれば。

エミリー・ディキンソン(1830-86)

Ear :ミルク差しの耳(取っ手)

alabaster Zest:雪花石膏の情熱 白い情熱 白いミルク

recusance:イギリス国教会への不服従 反抗的な


上の絵はフェルメール作。

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フロストらしい手馴れた小品。偶数行に韻を踏んでいる。

A Patch of Old Snow

There's a patch of old snow in a corner
That I should have guessed
Was a blow-away paper the rain
Had brought to rest.

It is speckled with grime as if
Small print overspread it,
The news of a day I've forgotten --
If I ever read it.

Robert Frost (1874-1963)


まだら雪

隅に雪が残っている
と僕は思ったが
雨で吹き飛んだ新聞紙
今は休憩している。

煤でシミが付き
全面小文字のよう
読んでいたとしたら
忘れていたニュース――

ロバート・フロスト(1874-1963)

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