ヘ短調作品34

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フロストの詩はアメリカ人には分かりやすいと思う。だが私は帰国子女ではない。彼のアメリカン・イングリッシュは見たところ簡単な単語の配列である。多くは辞書を見る気にもならない単音節の単語である。結局は辞書を引いてしまうし、時間をかけても辞書が役に立たない場合が多々ある。

今回も難儀した。検索は上手く引っかからなかった。唯一検索エンジンが反応したのは amazon である。この詩の第一行は2006年に出版されたJan Crowther 著の ”The People along the Sand’: the Spurn Peninsula and Kilnsea, a history, 1800 and 2000” のタイトルになっている。 この本の詳しい紹介があるがまだ読んでいない。海辺の民の辛苦の歴史を語っているようだ。また読み終わったら、紹介することにする。

私がまず目に浮かんだのは、ソヴィエト時代の開発によって干上がったアラル海である。フロストは代表的なアメリカの文化人としてソヴィエトに行ったことがあるが、彼は1963年に死んでいる。フロストにアラル海の深刻な状況が伝わっていたかどうか、今一自信はない。ただ私のアメリカン・イングリッシュの知識はお粗末であるが、それゆえ自由な想像が可能なのである。アラル海あるいはそれに近い状況を描いたとすると、私には辻褄が合うのである。その先入観で訳してみた。

という訳であるが、別の解釈が成り立つと考えられる方はご指摘いただけると有り難い。詩はほぼ七歩格で韻の構造は英詩に伝統的な
ABAB
である。


Neither Out Far Nor In Deep

The people along the sand
All turn and look one way.
They turn their back on the land.
They look at the sea all day.

As long as it takes to pass
A ship keeps raising its hull;
The wetter ground like glass
Reflects a standing gull

The land may vary more;
But wherever the truth may be--
The water comes ashore,
And the people look at the sea.

They cannot look out far.
They cannot look in deep.
Btu when was that ever a bar
To any watch they keep?

Robert Frost


遠くも近くも

砂浜の人々はみな
振り向き一方を見る。
陸に背中を向け
一日海を見ている。

海が去り行く限り
船は船体を上げておく。
濡れた地面は鏡のように
立つカモメを写す。

地形は変わるだろう。
真実がどうであれ――
水は岸に来ており
人々は海を見る。

人々は遠く見えない。
人々は深く見えない。
人々が砂州をじっと
見るのはいつだった?

ロバート・フロスト


注:オディールさんの指摘により「近く」を「深く」に修正します。大違いです。

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