ヘ短調作品34

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ワーズワスの薫陶を受けたハートレイ・コールリッジお得意のソネット。

韻の構造は
ABBA BCCB DEFD EF
である。

Sonnet VII

Is love a fancy, or a feeling? No.
It is immortal as immaculate Truth,
'Tis not a blossom shed as soon as youth,
Drops from the stem of life--for it will grow,

In barren regions, where no waters flow,
Nor rays of promise cheats the pensive gloom.
A darkling fire, faint hovering o'er a tomb,
That but itself and darkness nought doth show,

It is my love's being yet it cannot die,
Nor will it change, though all be changed beside;
Though fairest beauty be no longer fair,
Though vows be false, and faith itself deny,

Though sharp enjoyment be a suicide,
And hope a spectre in a ruin bare.

Hartley Coleridge (1796-1849)


ソネット VII

愛は幻想それとも印象?違う。
愛は不滅の無垢なる真理
愛は若くしてしおれる花ではない
命の茎から落ちない ―― 愛は育つ

約束の光も沈思の闇を欺けず
水すら流れぬ不毛の地にあっても。
暗がりの炎、墓を微かにさまよい
ただ己のみを示し、闇を照らさぬ

というのが僕の愛の姿、愛は滅びず
すべてが変わっても変わらない
たとえ絶世の美女が容色衰えても
誓いが偽りでも、信念が転じても

激しい享楽が自滅であろうとも
希望が廃墟の亡霊であろうとも。

ハートレイ・コールリッジ(1796-1849)


上の絵はミレイ(John Everett Millais (1829-1896),の「ジャージーの百合」である。露出的でない女性を探すのに苦労した。この肖像画のモデルは女は見かけによらないという例である。

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J.アルフレッド・プルフロックのラブ・ソング

出かけよう、僕と君
夕暮れは空に広がり
麻酔かけられた手術台の患者。
出かけよう、さびれた街を通り
ブツブツいいながら避難する忙しい夜
安い連れこみ宿
カキの三流食堂:
街は続く
良からぬ企みの
退屈な話し合い
君は疑問に圧倒される...
「なんなの?」と言っちゃいけない。

行って見ようよ。
部屋では女たちが行き来し
ミケランジェロの話をしている。

窓ガラスに背をこする黄色い霧
窓ガラスに鼻をこする黄色い煙
夕暮れの片隅を舌でなめまわし
排水溝の水たまりをうろつき
煙突から落ちるススを背負い
ススはテラスをこっそり進み、突然跳びあがり
優しい十月の夜と知り
家に巻きつき、眠りについた。

たしかに時間がある
街を通り抜け、窓ガラスに
背中をこする黄色い煙にも。
時間がある、時間がある
顔を調えて顔と向きあう
時間がある、時間がある。
つぶす時間とつくる時間がある
君の皿の問題を取り上げる
仕事と日々の手作業の時間がある。
僕の時間と君の時間。
トーストとお茶を取るのにも
百のためらいの時間と
百の計画と修正の時間がある。

部屋では女たちが行き来し
ミケランジェロの話をしている。

たしかに考え込む時間はあるはず
「やってみようか」、「やってみようか」
階段をおりて引き返す時間も
僕の頭のてっぺんにはげがある――
(髪がうすくなった、といわれそう)
僕のモーニングの上着、僕の顎にぴったりのカラー
僕の高価で地味なネクタイ、だが気取らないピンに主張が――
(手足が細くなった、といわれそう)
全世界をかく乱して
驚かしてみようか。
一分間で時間は充分
一分間で決定と改定がひっくり返る。

僕は何もかも知っている、知り尽くしている。
夜も朝も午後も知っているから
僕はスプーンで僕の命を計測してきた。
僕は遠くの部屋の音楽を聴きながら
たそがれの秋とともにかすれていく声を知っている。
どうやってみよう?

僕は目を知っている、知り尽くしている――
君を公式的に見詰める目
僕が公式化され、ピンで貼り付けられたら
僕が壁面に貼り付けられ、のたうっていたら
僕はどうやって
僕の日々と道程の吸い殻を吐きすてよう?
 そしてどうやろう?

僕は腕を知っている、知り尽くしている――
腕輪をはめたむき出しの腕
(ランプの下では腕と茶色の髪は下がっている)
僕がずれているのは
服の香水のせいかな?
食卓の上にある腕、ショールに巻きつく腕。
 そしてどうやろう?
 そしてどうやって始める?
 
言っておくが、僕は夕暮れに出かけ、細道を通り
ワイシャツ姿の孤独な男が窓にもたれ
くゆらすパイプから上る煙を見詰めていた。

僕はギザギザの二本のはさみ
静かな海底を走り回ったのだ。

  • * * *

午後は、夜は安らかに眠っている
長い指にほぐされ
眠って ... 疲れて... 仮病装って
僕と君のよこで寝そべっている。
お茶とケーキとアイスの後で
この瞬間を危機に導く力が僕にあるだろうか?
僕は泣いて断食し、泣いて祈ったことがあるが
皿に盛った僕の頭(少し禿げている)を見たことがあるが
僕は預言者ではない――ここには偉大なものはないのだ。
僕は僕の偉大なる瞬間を見たことがあるし
永遠の従者が僕の上着を持っているのを見たことがある、そして笑ってしまう
ようするに僕は怖いのだ。

結局それなりの価値はあったろう:
カップ、マーマレード、ティーをすまして
ポーセリンの食卓で君と僕が会話する。
する価値もあったろう:
笑って困難をかみ砕き
宇宙を握りつぶし、丸めて
何か途方もない問題に向けて転がし
「我はラゾロ、死者からよみがえり
すべてを語らんとして戻るなり、すべてを語らん」――
もし彼女の頭に枕を整えて
 言ったとしよう「本気で言ったのではない
 まったく違う」

結局それなりの価値はあったろう:
する価値もあったろう:
夕日、前庭、散水済みの街の後では――

これで終わり、もっとだって?
僕の気持ちを話すのは不可能だよ!
だが魔法のランプが神経組織をスクリーンに写すなら:
する価値はあったろう:
もしも枕を整えるかショールを脱がせ
窓の方を向いていったとしよう:
「これは違うよ
これは本気じゃないよ」

違う!僕はハムレットではないし、そのつもりもなかった。
行列を膨らます家来にすぎない。
一場面か二場面の出だしに登場し
王子に助言する。明らかに御しやすい手先
いんぎんで、よろこんでお役に立つ
分別あり、注意深く、気配りがある。
弁舌は格調高いが鋭くはない。
時としてはこっけいであり――
時としては道化師も同然。

僕は歳をとっていく... 歳をとっていく...
僕の折り返しのあるズボンをはくべきだ。

僕は髪を後ろで分けようか? 若い娘を食べちゃおうか?
白いフラノのズボンをはいて浜辺を歩こう。
僕は人魚が歌いあっているのを聞いたことがある。

人魚が僕に歌いかけるとは思わない。

僕は波に乗り海に向かう人魚を見た
風が吹いて水面を白と黒にするとき
波の白い髪を逆巻きながら行く。
茶色い海草の冠つけた海の乙女にさそわれ
僕たちは海の寝室でぐずぐずしている
人間の声を聞き、僕たちは溺れている。

TSエリオット(1888-1965)

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