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「小鳩」はチディオック・ティッチボーン作と認められている。人畜無害な「小鳩」が「カラスの群れ」と一緒にいたために、有害なカラスを駆除しようとする鳥打ちに一網打尽となる話である。「カラスの群れ」はエリザベス一世の暗殺を狙う反逆者であり、「小鳩」は交友関係を悔やむティッチボーン自身である。「鳥打ち」とはエリザベス一世のスパイ・マスターのサー・フランシス・ウォルシンガムである。最後に出てくる「一羽のカラス」とはウォルシンガムが送り込んだ二重スパイのことだろう。 The Housedove A silly housedove happed to fall Amongst a flock of crows, Which fed and filled her harmless craw Amongst her fatal foes. The crafty fowler drew his net - All his that he could catch – The crows lament their hellish chance, The dove repents her match. But too, too late! It was her chance The fowler did her spy, And so did take her for a crow - Which thing caused her to die. Chidiock Tichborne (1558–1586) 小鳩 バカな小鳩がうっかり カラスの群れの中 小鳩は餌をはみ、胃を満たす 鳩の仇敵の中。 鳥打ちが巧みに網を引き―― 全部捕まえようと―― カラスは恐ろしい運を嘆き 小鳩は交友関係を悔やむ。 もう遅い、チャンスだったのに 鳥打ちは小鳩を見つけ 一羽のカラスに残し 小鳩は死ぬはめに。 チディオック・ティッチボーン(1558–1586) 学生のデモ隊でもそうであるが、デモの呼びかけを断わりきれなかった、ノンポリの大人しい学生に限って逮捕されるものである。ティッチボーンもこの詩では、その程度の「反逆者」のようである。彼は足を負傷して逃亡が遅れたのである。不運な男である。 上の絵詩中の鳥打、フランシス・ウォルシンガム(Sir Francis Walsingham)である。
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2009年09月28日
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俊足の牡鹿 サヤがはじけるエニシダ、緑のエニシダ リンゴの肌は黄色くなり 我らは修道院の谷で牡鹿を嗅ぎ付け 我らは牡鹿の跡を嗅ぎまわった、風上へ、風上へ 我らは牡鹿の跡を嗅ぎまわった、風上へ―― 正真正銘の牡鹿、牡鹿、牡鹿 俊足の牡鹿、王者の枝角 ブラウ、ベイ、トレイ、サーロイヤル 牡鹿、俊足の牡鹿。 漁師の角笛が鳴りキャン、キャン、キャン 我らは見張り役の「フォワード」の声を聞く。 だが、ブナのやぶのすき間から 出てきたのは若い牡鹿一頭、やぶから 追い出し、角で突き出したのは 正真正銘の強い牡鹿、牡鹿 俊足の牡鹿、王者の誇りで 角の幹や枝をつけて眠りたい 牡鹿、俊足の牡鹿は立っていた。 そこでティンカーマンズ・パップとベル・オブ・サ・ノースを連れ 我らは隠れ処を午後まで探した。 漁師は不機嫌、犬は喧嘩しだすが ついに我らは牡鹿を突き止めた。 ついに我らは牡鹿を突き止めた。 本物の牡鹿、老獪な牡鹿 俊足の牡鹿、王者の枝角を生やし ブラウ、ベイ、トレイ、サーロイヤル 牡鹿の王者、俊足の牡鹿。 ベル・オブ・サ・ノースとティンカーマンズ・パップが 臭いを追い、雑木林を狩り立てた。 「タリホー!タリホー!」狩の始まり 頭が鞭を打ち、全員がかかる 全員が断固かかる 正真正銘の牡鹿はついに逃げる 俊足の牡鹿、その鹿だ、その鹿だ 牡鹿の蹄は燃え、角は炎のよう 牡鹿、俊足の牡鹿。 駄馬は放っておく。叱ったり、手綱を 締めると、すぐに躓き、狩からはぐれる。 300人の紳士が騎乗する 先頭に立つのに慣れた狩猟馬 先頭に立つのに慣れた狩猟馬 追跡する、俊足の牡鹿、牡鹿を 俊足の牡鹿、王者の枝角を生やし ブラウ、ベイ、トレイ、サーロイヤル 牡鹿、俊足の牡鹿。 険しい谷の危険な小道 ヒース、岩、川床の脇を 足は速くなる、臭いはよく残り 俊足の牡鹿は真っ直ぐに進む 獲物は真っ直ぐに進む―― 前へ、前へ、速く、遠く。 牡鹿の角の生やした頭、牡鹿の割れた蹄 ブラウ、ベイ、トレイ、サーロイヤル 牡鹿、俊足の牡鹿。 20マイル以上もあるだろうか 濃い生垣と高い塀のそばを通り まごつく雄牛の群れをくぐる 猟師と猟犬と全員の伝承 猟師と猟犬と全員の伝承 正真正銘の牡鹿、老獪な牡鹿 20マイル、さらに5マイル、さらに5マイル 牡鹿は走り、生け捕りにならない この牡鹿、この俊足の牡鹿。 待ち受けられ、引き返す草深い暗闇 小川が深くなったエメラルドの暗闇 牡鹿は遠くに大波の響きを聞き のどかな眠りの夢を見る すばらしい眠りの夢を見る 正真正銘の牡鹿、牡鹿、牡鹿 俊足の牡鹿は宝石の床の中 大洋の底、死の避難所 牡鹿、俊足の牡鹿。 運命を決める希望で牡鹿の目は輝き 鼻の孔をもう一度広く開き 枝角を高く揺さぶり チャーロックの谷へと急ぐ こだまする谷へと急ぐ さらに5マイル、牡鹿、牡鹿 20マイル、さらに5マイル。さらに5マイル 生きるも死ぬも、捕まるものか 牡鹿、俊足の牡鹿。 300人の騎乗した紳士たち 300頭の勇敢な馬が見つめる 夜の潮に乗って逃走し 彼方のセバンの海に沈む牡鹿。 牡鹿、浮いている牡鹿、牡鹿 ついに宝石の床で眠った 広がる大洋の底、死の避難所 牡鹿、俊足の牡鹿。 ジョン・デヴィッドソン(1857–1909),
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A Runnable Stag II By perilous paths in coomb and dell, The heather, the rocks, and the river-bed, The pace grew hot, for the scent lay well, And a runnable stag goes right ahead, The quarry went right ahead-- Ahead, ahead, and fast and far; His antler'd crest, his cloven hoof, Brow, bay and tray and three aloof, The stag, the runnable stag. For a matter of twenty miles and more, By the densest hedge and the highest wall, Through herds of bullocks lie baffled the lore Of harbourer, huntsman, hounds and all, Of harbourer, hounds and all The stag of warrant, the wily stag, For twenty miles, and five and five, He ran, and he never was caught alive, This stag, this runnable stag. When he turn'd at bay in the leafy gloom, In the emerald gloom where the brook ran deep He heard in the distance the rollers boom, And he saw In a vision of peaceful sleep In a wonderful vision of sleep, A stag of warrant, a stag, a stag, A runnable stag in a jewell'd bed, Under the sheltering ocean dead, A stag, a runnable stag. So a fateful hope lit up his eye, And he open'd his nostrils wide again, And he toss'd his branching antlers high As he headed the hunt down the Charlock glen, As he raced down the echoing glen For five miles more, the stag, the stag, For twenty miles, and five and five, Not to be caught now, dead or alive, The stag, the runnable stag. Three hundred gentleman, able to ride, Three hundred horses as gallant and free, Beheld him escape on the evening tide, Far out till he sank in the Severn Sea, Till he sank in the depths of the sea The stag, the buoyant stag, the stag That slept at last in a jewell'd bed Under the sheltering ocean spread, The stag, the runnable stag. John Davidson (1857–1909), 俊足の牡鹿 II 険しい谷の危険な小道 ヒース、岩、川床の脇を 足は速くなる、臭いはよく残り 俊足の牡鹿は真っ直ぐに進む 獲物は真っ直ぐに進む―― 前へ、前へ、速く、遠く。 牡鹿の角の生やした頭、牡鹿の割れた蹄 ブラウ、ベイ、トレイ、サーロイヤル 牡鹿、俊足の牡鹿。 20マイル以上もあるだろうか 濃い生垣と高い塀のそばを通り まごつく雄牛の群れをくぐる 猟師と猟犬と全員の伝承 猟師と猟犬と全員の伝承 正真正銘の牡鹿、老獪な牡鹿 20マイル、さらに5マイル、さらに5マイル 牡鹿は走り、生け捕りにならない この牡鹿、この俊足の牡鹿。 待ち受けられ、引き返す草深い暗闇 小川が深くなったエメラルドの暗闇 牡鹿は遠くに大波の響きを聞き のどかな眠りの夢を見る すばらしい眠りの夢を見る 正真正銘の牡鹿、牡鹿、牡鹿 俊足の牡鹿は宝石の床の中 大洋の底、死の避難所 牡鹿、俊足の牡鹿。 運命を決める希望で牡鹿の目は輝き 鼻の孔をもう一度広く開き 枝角を高く揺さぶり チャーロックの谷へと急ぐ こだまする谷へと急ぐ さらに5マイル、牡鹿、牡鹿 20マイル、さらに5マイル。さらに5マイル 生きるも死ぬも、捕まるものか 牡鹿、俊足の牡鹿。 300人の騎乗した紳士たち 300頭の勇敢な馬が見つめる 夜の潮に乗って逃走し 彼方のセバンの海に沈む牡鹿。 牡鹿、浮いている牡鹿、牡鹿 ついに宝石の床で眠った 広がる大洋の底、死の避難所 牡鹿、俊足の牡鹿。 ジョン・デヴィッドソン(1857–1909),
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桜と日本人ですね。なぜか、三島由紀夫を思...

