ヘ短調作品34

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I showed her Heights she never saw—
 
I showed her Heights she never saw—
"Would'st Climb," I said?
She said—"Not so"—
"With me—" I said—With me?
I showed her Secrets—Morning's Nest—
The Rope the Nights were put across—
And now—"Would'st have me for aGuest?"
She could not find her Yes—
And then, I brake my life—And Lo,
A Light, for her, did solemn glow,
The larger, as her face withdrew—
And could she, further, "No"?
 
Emily Dickinson
  
 
私は彼女が未登頂の丘に案内した――
 
私は彼女が未登頂の丘に案内した――
「登りませんか?」と私が言うと
彼女は言った――「残念だけど」――
「私と一緒でも」――「私と一緒でも?」と言い――
秘密を見せた――朝日のねぐら――
闇夜の境界に綱が張られていた――
今度は――「私を案内して下さるわね?」
彼女はハイとは言えない様子――
それで私は慄然とした――その時、ほら、
荘厳な一筋の光が彼女を照らし
大きくなり、彼女の余光はすぼむ――
もう「イイエ」とは言えないわね?
 
エミリー・ディキンソン
 
またしても代名詞「彼女」の正体は文中では明らかにされていない。
 
エミリーの書簡集を持っているあるネイティブの女性のブロガーによれば、この詩もエミリーは親友で兄嫁でもあるスーザンに送っている。二人の仲は非常に良かった。なんでも性的な解釈をするのが昨今のアメリカの流儀である。誰だったかが、スーザンはエミリーの「口にするのも忌まわしい愛」の対象であったと主張した。論文数を稼いで良い条件で契約更新を狙う彼には「冒涜」という言葉はない。肯定的でも否定的でも反応さえあれば、話題性さえあればよい。
 
その女性ブロガーはいつも荒唐無稽な解釈を繰り返し、私を楽しませてくれる。翻訳に行き詰まり、疲れることがある。そんな時には失いかけた自信を回復するために、彼女のご高説を拝する。彼女によれば、この詩は性的だそうである。闇夜に彼女を頂上に誘ったが、良い返事が得られないが、やがて光が射す。歓喜の瞬間なのだろう。
 
私は「彼女」とはエミリーの好きな「夕日」であると解釈し、その「偏見」で訳してみた。丘の一方の斜面は朝日が見られても、夕日は見られない。ただ日昇と落日の時差が殆ど無い。時期としては北国の「極夜」であると断定した。この偏見と独断で私が楽になったことは確かである。

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