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Brahms Violin Concerto 1st Mov. Huberman 先週私の戦後のクラシック音楽との出会いについてご紹介したが、今週もその後の知人宅で聞いたクラシック音楽の記憶を辿ってみたいと思う。知人は非常に裕福だったかどうかは知らないが、当時としては文化的に贅沢した人だったと思う。その知人のお宅で伺ったレコード盤はとても衝動買いできるものではない。レコード盤には表と裏があるが、あっという間に片面は終わってしまう。そのレコード盤を何枚もの袋に入れ、豪華な装丁で仕上げる。お金持ちの結婚式のアルバムのような感じである。おそらくレコード屋さんは衣装道楽の金持ちの家に出入りする呉服屋さんのような商売だったのではないか。おいそれと買えるものではないし、飛ぶように売れたとは思えない。
だから知人の所有したレコードは名声が確立した演奏家ばかりである。その中で私が好んで聞いた曲はラローのスペイン交響曲である。演奏はブラニスラフ・フーバーマンである。知人のコレクションの中でも最も19世紀的な演奏家ではなかったろうか。その後あんなに情感あふれる演奏をするバイオリニストを知らない。おそらく彼の演奏スタイルは流行らなくなったのであろう。その後彼のタイプの演奏家は知らない。19世紀の音楽だから、19世紀的な演奏で良いと思うが。
彼はユダヤ系のポーランド人であり、五歳の頃から神童の評判が高かった。となればユダヤ系ハンガリー人の名バイオリニストであるヨゼフ・ヨアヒムにお目通りというのが既定のコースである。早速弟子入りしたが、ヨアヒムの弟子という肩書を頂戴しただけであり、実際にはヨアヒムの弟子の指導を受けたらしい。彼はブラームスの前で彼のバイオリン・コンチェルトを演奏し、彼にキスして貰った最後の「神童」である。ブラームスは新曲を神童に約束したが、間もなく他界した。
ユダヤ系のバイオリニストの曲を知人が戦前に購入したから、録音はヒトラー・ナチス以前になされたのか、外国に出た後の録音なのか定かではない。とにかく生気溢れる演奏であり、ノイズの記憶は全くない。最近、ピアノ伴奏による彼の「スペイン交響曲」を聞いたが、記憶とあまりにかけ離れた再生であり、YouTube による紹介は控えさせていただく。ご興味のある方はYouTubeで検索されたい。
音は消え去るものであり、記憶だけが残る。その記憶の蘇りで音楽は成立し、益々美化されていく。私が知人宅で聞いた「スペイン交響曲」はまだ世界中に残っているはずである。たしかオーストラリアにフーバーマンのコレクターがいた。十数年前にCD化され、発売されたので入手は可能のはず。私も持っているが、昔はなかったノイズがCDにははっきり残っていた。やはりという感じである。
今日は彼がブラームスの前で演奏した「バイオリン・コンチェルト作品61」の第一楽章をYouTubeからお届けする。彼が死ぬ三年前の録音だから当然である。 |

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