ヘ短調作品34

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荒れ狂う嵐の夜!

 
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Wild Nights — Wild Nights!
 
Wild Nights — Wild Nights!
Were I with thee
Wild Nights should be
Our luxury!
 
Futile — the Winds —
To a Heart in port —
Done with the Compass —
Done with the Chart!
 
Rowing in Eden —
Ah, the Sea!
Might I but moor — Tonight —
In Thee!
 

荒れ狂う嵐の夜!

 

荒れ狂う嵐の夜!

汝と伴にあれば

荒れ狂う嵐の夜も

至上の悦楽ならん!

 

羅針盤がなくとも――

海図がなくとも――

避難港に泊る心に――

甲斐なき強き風!

 

エデンに漕ぎ入る――

ああ海よ!

今夜――汝に――

錨を降ろせたら!

 

エミリー・ディキンソン

 
私がアメリカのエミリー・ディキンソンのクラスの社会人学生であるとしよう。教官はディベイトを要求する。ディベイトでは少数意見が目立ちやすく、単位をとるには有利な作戦である。以下は私の戯言であり、結論はどうでもよい。私はディベイトが嫌いである。以前NHKで「ハーバード 熱血教室」なる番組があったが、バカバカしくなり見なくなった。
 
この詩も大変話題性のある詩であり、今回で私の二度目の訳である。最初の訳はよく分からずに訳出したものであり、削除しようと思う。
 
最初に詩集の彼女の詩を編集していた彼女のメル友であり、珍しく一度だけ彼女と面会したことのあるトーマス・ハギンソン(18231911)はこの詩を悪く解釈する人を恐れて妹のヴィニーに相談した。当時は進歩的な奴隷解放や少数派の移民を守るために活動した彼も詩集に載せるのを躊躇した。
 
少なくとも法的には処女であるエミリーがエロティックな性的幻想に耽るようにも読める詩である。Wild Nightsという出だしから、不道徳な夜を連想させるし、最後の moor in thee も性的結合を連想させて穏やかでない。抑制できない性的情熱と恍惚の詩という判定を編者は恐れたのである。
 
現代ではハギンソンの狭量を笑うフェミニストが多数派であろう。フェミニストはその通りだが、一体何故悪いという。
 
あるいは恍惚状態で神と会話する神秘的な詩であるという見解もあるそうである。この見解を否定する論者も、神との会話の語彙と性的な語彙には類似性があることを認めてはいる。
 
私は最初の「汝」は特定の人物をさすのではなく、イエスであると思う。二度目の「汝」は嵐が静まった海である。彼女は天国への苦難の旅をする詩を何遍も書いている。さらにイエスとロマンティックな出会いをする詩も書いている。天国への旅の類型とイエスへの恋の類型を重ねた詩がこの詩であると思う。イエスと一緒に天国へ向かう詩として「静かな方法だった」がある。カップルは気球に乗り天国へ向かうのである。エデンの園は荒海に守られた島にあるか、天上にあるか、乗り物が小舟なのか、気球なのかの違いはあるが、同じ類型の詩であると思う。
 
なおNights と複数形になっているが、エミリーは状態が刻々と変化する場合に s を付けて済ます場合がある。私はその意味で訳した。勿論毎夜という場合もあろう。これも新しい議論の種である。
 
 

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