ヘ短調作品34

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フロスト

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白樺 -- フロスト

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「今日の詩」の選者は昨日、これで200通のメールを送ったと言ってきた。まだまだ終わったわけではないが、しばらく休憩するとのことである。私も実はホットしている。この企画が始まってからやくし始めたわけではないが、200通には程遠い。彼女の休憩中に多少は処分しておこうと思った。

今まで訳していない詩の中から重要と思われるのを探してみた。この選者はディキンソンを盛んに送ってくるが、国民的人気詩人フロストの詩はわずかである。その中からしばしば評判になっている「白樺」を訳すことにした。

Birches

When I see birches bend to left and right
Across the lines of straighter darker trees,
I like to think some boy's been swinging them.
But swinging doesn't bend them down to stay.
Ice-storms do that. Often you must have seen them
Loaded with ice a sunny winter morning
After a rain. They click upon themselves
As the breeze rises, and turn many-colored
As the stir cracks and crazes their enamel.
Soon the sun's warmth makes them shed crystal shells
Shattering and avalanching on the snow-crust
Such heaps of broken glass to sweep away
You'd think the inner dome of heaven had fallen.
They are dragged to the withered bracken by the load,
And they seem not to break; though once they are bowed
So low for long, they never right themselves:
You may see their trunks arching in the woods
Years afterwards, trailing their leaves on the ground
Like girls on hands and knees that throw their hair
Before them over their heads to dry in the sun.

Robert Frost


白樺

黒い樹々は直立しているのに
白樺は右や左に曲がっている
男の子が揺すっているのかと思うが
曲がったままはあり得ないから
冷たい嵐だ。雨が上がりの冬の朝
氷の付いた白樺を見たでしょう。
微風で白樺はカチッと音を立て
一押しで表面にひび割れを作り
白樺は様々な色彩を放つ。
気温が上がり、水晶の破片が
雪面に崩れ落ちて散らばり
あたり一面のガラスの破片で
空の天井が落ちてきたかと思う。
白樺は重みで枯シダにのしかかるが
折れた様子はない。長い間低く
曲がったままで戻ろうとはしない。
森でアーチになった幹が長い間に
葉が地面についているのを見るが
まるで女の子が四つん這いになり
髪を垂らし日光で乾かしている様だ。

フロスト

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「今日の詩」もパソコンの故障がひびき投稿が遅れたものであるフロストの「一度だけ、何かが」である。フロストらしい詩である。この詩は1920年に月刊雑誌「ハーパー」に載った詩であり、「詩集」として出版されてはいない。どんな韻の芸当を見せてくれるのか期待したが、音節数は各行同じであるが、無韻詩であった。念のためにWebで検索してみたら、ある人物のブログにヒットした。ハイスクール時代に習って懐かしかったという。中学か高校か知らないが、ネイティブにはフロストは難しい詩人ではないみたいだ。

For Once, Then, Something

Others taunt me with having knelt at well-curbs
Always wrong to the light, so never seeing
Deeper down in the well than where the water
Gives me back in a shining surface picture
My myself in the summer heaven, godlike
Looking out of a wreath of fern and cloud puffs.
Once, when trying with chin against a well-curb,
I discerned, as I thought, beyond the picture,
Through the picture, a something white, uncertain,
Something more of the depths-and then I lost it.
Water came to rebuke the too clear water.
One drop fell from a fern, and lo, a ripple
Shook whatever it was lay there at bottom,
Blurred it, blotted it out. What was that whiteness?
Truth? A pebble of quartz? For once, then, something

Robert Frost.



一度だけ、何かが

僕は井戸端で膝をついて覗き込み
笑われるが、いつも光のかげんで
井戸は深くまでよく見えないのだ。
水はただ光る表面の僕の映像を送り返す
僕自身は神のようように
シダや雲の輪に縁取られ姿を現す。
井戸端に顎をのせて覗いたことがあるが
映像の向こうに白いものを見たような気がした。
映像を通してだから何か分からないが
深い所にある何か、そのうち見失った。
水はきれいすぎるのにいらだち始めた。
シダから一滴が落ちると、おや、波が
底にあるものをすべてかき回し、かすんで
見えなくなった。あの白いのは何だったろう?
錯覚だろうか?石英か?一度だけ、何かが。

フロスト

ハンニバル -- フロスト

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「今日の詩」もフロストの「ハンニバル」である。戦に勝利した人は詩に歌われるが、敗者もいつかは歌われる。これは普遍的な事実であり、作者一流の皮肉っぽい格言である。軍人でもないフロストが別にハンニバルに共感を持っていたわけではない。ハンニバルを称賛したナポレオンも、ハンニバル同様敗者となり、やがてナポレオン伝説で称賛されることになった。ハンニバルは、敗者となった英雄の名前に置き換えても良い。


Hannibal

Was there even a cause too lost,
Ever a cause that was lost too long,
Or that showed with the lapse of time to vain
For the generous tears of youth and song?

Frost


ハンニバル

まったく成らなかった志が一つでもあろうか
久しく成らなかった志も、時とともに
若者の涙と詩歌の涙を誘わんなかった例が
歴史に一つでもあるだろうか?

フロスト


下の絵はナポレオンの宮廷画家ダビットが描いた「アルプスを超えるナポレオン」である。彼の騎馬像の下の石にはアルプスを超えてイタリアに侵入した英雄の名前が刻んである。すなわち、ボナパルト(Bonapart)、カルロス・マグヌス(Carlos Magnus)、ハンニバル(Hannial) である。ボナパルトがハンニバルと同じ運命をたどったのは歴史の皮肉である。

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「今日の詩」はフロストの詩である。題名は Good-Bye, And Keep Cold (さようなら、寒さに耐えてな)である。この詩は彼が出版した詩集に収録されたものではなく、新聞か雑誌に投稿されたものである。いよいよ冬の季節が到来して、農場の端にあり、植え付けたばかりの果樹園に別れを告げる農場主の気持ちを歌ったものである。私は目を通し、すぐに気に入った。今日も音声入力は、期待以上の働きをしてくれたおかげで、私としては早く投稿できることになった。誤訳はおいおい、修正していくつもりである。


Good-Bye, And Keep Cold

This saying good-bye on the edge of the dark
And cold to an orchard so young in the bark
Reminds me of all that can happen to harm
An orchard away at the end of the farm
All winter, cut off by a hill from the house.
I don't want it girdled by rabbit and mouse,
I don't want it dreamily nibbled for browse
By deer, and I don't want it budded by grouse.
(If certain it wouldn't be idle to call
I'd summon grouse, rabbit, and deer to the wall
And warn them away with a stick for a gun.)
I don't want it stirred by the heat of the sun.
(We made it secure against being, I hope,
By setting it out on a northerly slope.)
No orchard's the worse for the wintriest storm;
But one thing about it, it mustn't get warm.
"How often already you've had to be told,
Keep cold, young orchard. Good-bye and keep cold.
Dread fifty above more than fifty below."
I have to be gone for a season or so.
My business awhile is with different trees,
Less carefully nourished, less fruitful than these,
And such as is done to their wood with an axe--
Maples and birches and tamaracks.
I wish I could promise to lie in the night
And think of an orchard's arboreal plight
When slowly (and nobody comes with a light)
Its heart sinks lower under the sod.
But something has to be left to God.

Frost


さようなら、寒さに耐えてな

まだ植え始めたばかりの果樹園、暗く
寒い縁でズドンと一発別れの挨拶をして
この冬、わが家から丘で切り離され
農場の端にある果樹園で起こる
ことをあれこれ考えてしまった。
ウサギやネズミの住処になって欲しくはない
鹿がうっとりして苗木をかじるのも
雷鳥が若芽をつまむ摘むのも嫌だ。
(連中を集めるのが馬鹿げていなければ
雷鳥、兎、鹿を壁に呼び寄せ
銃の代わりに棒で脅してやるのだが)
厳しい冬の嵐は果樹園に最悪だ。
(だから嵐から守るために
北側の斜面に果樹園を植える)
ただ一つ、暖かい冬もいけないのだ。
「君に何度も繰り返し言っただろう
寒さに耐えることだよ。さようなら
50度以下より50度以上の方が怖いよ」
僕はしばらくここに来れない。
しばらくの別の木の仕事がある
放ってあり、果実もならないから
木に斧をあてるような仕事だ −
楓、白樺、カラ松。
僕は夜中に床につきながら
果樹園を想うと約束しよう、苦境に陥り
じわじわと(誰も灯りを持ってこない)
果樹が草葉の陰に沈み
半ば神の手に委ねられるとき。

フロスト


韻は相変わらずお見事である。伝統的な英雄韻というのだろうか、heroic rhyme である。すなわち、
[a, a, b, b, c, c, .....]と続いていく。

写真はおおよそ植え付けたばかりの果樹園とは言い難いが、これしかなかった。

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「今日の詩」はプロストの「夜を知っている」である。ある男が夜散歩して、町の光から遠ざかり、空を見上げる。空に光る星は夜歩きを咎める様子もない。静寂な夜の光景である。1923年に出版された"New Hampshire"に収録されている。以前、同じ詩集に収録された「雪深い夜の森で立ち止まる」を訳したが、それとよく似た心象風景である。


Acquainted With the Night
.
I have been one acquainted with the night.
I have walked out in rain - and back in rain.
I have outwalked the furthest city light.

I have looked down the saddest city lane.
I have passed by the watchman on his beat
And dropped my eyes, unwilling to explain.

I have stood still and stopped the sound of feet
When far away an interrupted cry
Came over houses from another street,

But not to call me back or say good-bye;
And further still at an unearthly height,
One luminary clock against the sky

Proclaimed the time was neither wrong nor right.
I have been one acquainted with the night

Robert Frost



夜を知っている

僕は夜を知っているのだ。
僕は雨の中出かけ、雨の中戻って来た。
僕は町の光が届かない所まで歩いた。

僕はわびしい町の道を見下ろした。
僕は訳を話すのも面倒なので、目を伏せて
当番の夜警をやり過ごした。

一本筋向こうの住処から
突然叫び声が聞こえたので
僕は立ち止まり、足音をたてないようにした。

呼び戻すとか、別れを告げるわけではない。
さらに途方もなく高い所から静かに
空に光る時計が一つ

時間を間違えているとも言わなかった。
僕は夜を知っているのだ。

フロスト


形式の美しさはすごい。10音節(五歩格)弱強格で、英語では難しいとされる terza rima (三韻句法)である。[a, b, a] [b, c, b] [c, d., c] [d, e, d] [e, e]の構図になっている。シェリーのOde to the West Windはこの構図で5詩節続けたからもっとすごいけれども。

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