ヘ短調作品34

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コールリッジ

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最近外国語の作文から遠ざかっており、これが原因で和訳も稚拙になってきている。最近和訳したメアリー・エリザベス・コールリッジの「あなたにお願いしたいのは」の仏訳を試みた。単純な詩であるが、私のフランス語の語彙が衰えているせいか苦労した。なんとか韻を取り繕ったが、原詩のニュアンスが失われたような気がする。さらに、私のフランス語の都合から、題名は「今私がしたいのは」にした。

I ask of thee

I ask of thee, love, nothing but relief.
Thou canst not bring the old days back again;
For I was happy then,
Not knowing heavenly joy, not knowing grief.

Mary Elizabeth Coleridge (1861-1907)

あなたにお願いしたいのは

あなたにお願いしたいのは安らぎ
昔の日々にはもう戻れない。
喜びも悲しみも知らずに
私は幸せだった。

メアリー・エリザベス・コールリッジ (1861-1907)

仏訳

Maintenant je voudrais

Maintenant je voudrais rester à loisir
Nous sommes encore par le passé occupé
Inconscient du triste et du plaisir
J'ai vécu assez heureux en paix

Mary Elizabeth Coleridge (1861-1907)

今私がしたいのは

今私がしたいのは心ゆくまで休養すること
私たちはまだ過去にとらわれている。
悲しみも喜びも意識せず
私は穏かでとても幸福だった。

メアリー・エリザベス・コールリッジ (1861-1907)

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サラ・コールリッジSara Coleridge 1802-1852はコールリッジSamuel Taylor Coleridge 1772-1834の末っ子で一人娘である。父親はすでにアヘン吸引の味を覚え、母親と不仲で家を飛び出し、湖畔詩人たちに育てられた。学校教育を受けたわけではないが、父親譲りの語学的才能を発揮し、ラテン・ギリシャの古典はもとよりドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語に堪能で、翻訳の業績がある。9年越しの恋がみのり従兄弟のヘンリー・ネルソン・コールリッジHenry Nelson Coleridge1798-1843と結婚した。子供は五人生まれたが育ったのは二人である。今日は「お休みなさい」は暗闇の中から生後直ぐに死んだ子供に歌いかける子守唄である。英語では babe だがここでは坊やとして訳した。


O sleep, my babe

O sleep, my babe, hear not the rippling wave,
Nor feel the breeze that round thee ling'ring strays
To drink thy balmy breath,
And sigh one long farewell.

Soon shall it mourn above thy wat'ry bed,
And whisper to me, on the wave-beat shore,
Deep murm'ring in reproach,
Thy sad untimely fate.

Ere those dear eyes had open'd on the light,
In vain to plead, thy coming life was sold,
O waken'd but to sleep,
Whence it can wake no more!

A thousand and a thousand silken leaves
The tufted beech unfolds in early spring,
All clad in tenderest green,
All of the self-same shape:

A thousand infant faces, soft and sweet,
Each year sends forth, yet every mother views
Her last not least beloved
Like its dear self alone.

No musing mind hath ever yet foreshaped
The face to-morrow's sun shall first reveal,
No heart hath e'er conceived
What love that face will bring.

O sleep, my babe, nor heed how mourns the gale
To part with thy soft locks and fragrant breath,
As when it deeply sighs
O'er autumn's latest bloom.

Sara Coleridge


坊やお休みなさい

坊やお休みなさい、波の音を聞かないで
まとい付く風も気にしないで
芳しい息を吸い
永のお別れの息をつきなさい。

風はお前の涙のベッドの上で泣き
波打ち際でわたしをとがめ
早すぎる悲しい運命を
つぶやくはずよ。

二つの眼が光を感じる前に
すがっても無駄、お前の未来の命はもうなく
目覚めたらもう眠りにつき
二度と目を開かない。

春の草の岸辺が
絹の葉を幾千も広げる
葉はみな優しい緑をまとい
みな形は同じ。

千の幼い顔はみな優しくて
毎年生まれるけど、母親はみな
一人っ子のように
最後の子がとりわけ愛しいもの。

いくら考えても見えない
明日の日に照らされる顔が
いくら想っても思いつかない
お前の顔の愛らしさ。

お休みなさい、風が強くても
風がため息をついても気にしないで
秋の最後の花を嘆くように
風はお前の髪と息を吹くでしょう。

サラ・コールリッジ

かくも早きに

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コールリッジはFrost at Midnightで霧が立ち込める真夜中の静寂の中、揺籠で寝息をたてる坊やを見詰める。恐るべき静寂の空白を埋める坊やに彼は優しく語りかける。その坊やハートレイも大きくなり詩を書いた。

EARLY DEATH

SHE pass'd away like morning dew
Before the sun was high;
So brief her time, she scarcely knew
The meaning of a sigh.

As round the rose its soft perfume,
Sweet love around her floated;
Admired she grew--while mortal doom
Crept on, unfear'd, unnoted.

Love was her guardian Angel here,
But Love to Death resign'd her;
Tho' Love was kind, why should we fear
But holy Death is kinder?

Hartley Coleridge (1796-1849)


かくも早きに

陽はまだ高くのぼらぬのに
彼女は朝の露のように逝った。
かくも命短く、彼女はため息の
何かも知らぬまに。

バラの優しい香のように
彼女にただよう優しい愛の心。
見とれられるようなると ― 死の運命が
気付かぬうちに忍び寄った。

愛の心は彼女を守る天使
でも彼女は死への愛に身を任せた。
愛の心は優しいが、清い死は
さらに優しくないだろうか?

ハートレイ・コールリッジ

バラッド形式の韻文詩である。すなわち各詩節の音節数は8・6・8・6であり、韻は英詩では標準的なABABの構造である。

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「今日の詩」の編者が薦めるのはメアリー・エリザベス・コールリッジの「あなたにお願いしたいのは」である。女性詩人の女性のための詩である。

I ask of thee, love, nothing but relief.
Thou canst not bring the old days back again;
For I was happy then,
Not knowing heavenly joy, not knowing grief.

Mary Elizabeth Coleridge (1861-1907)

あなたにお願いしたいのは安らぎ
昔の日々にはもう戻れない。
喜びも悲しみも知らずに
私は幸せだった。

メアリー・エリザベス・コールリッジ (1861-1907)


絵は James Tissot による。

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「今日の詩」はメリー・エリザベス・コールリッジMary Elizabeth Coleridge (1861-1907)である。彼女の家系図をどう説明したらいいのだろう。サムエル・テイラー・コールリッジSamuel Taylor Coleridge (1772 – 1834)の娘サラ・コールリッジSara Coleridge (1802 –1852)は彼女の大叔母さんということである。適切な日本語はあるのだろうか。メリーもコールリッジの優秀な知的遺伝子を受け継いだものと思われる。コールリッジの息子のハートレイHartley Coleridge (1796 - 1849)は卓越した知性だけでなく、意思の弱さも父親から受け継いだようだが、彼女はどうだったろうか。女性にしては身だしなみに無頓着だったかもしれない。現在なら医療事故であるが、45歳の彼女は盲腸炎の手術後合併症で死亡している。彼女の容姿は< Mary Elizabeth Coleridge >で画像検索すれば出てくる。

絵はロートレックである。彼のモデルはメリーさんのような教養あるレディとはいいがたい。鏡台に向かう女性は一般に容姿に自信のある場合が多い。申し訳ない気もしたが、適当な絵がなかった。


The Other Side of a Mirror

I sat before my glass one day,
And conjured up a vision bare,
Unlike the aspects glad and gay,
That erst were found reflected there -
The vision of a woman, wild
With more than womanly despair.

Her hair stood back on either side
A face bereft of loveliness.
It had no envy now to hide
What once no man on earth could guess.
It formed the thorny aureole
Of hard, unsanctified distress.

Her lips were open - not a sound
Came though the parted lines of red,
Whate'er it was, the hideous wound
In silence and secret bled.
No sigh relieved her speechless woe,
She had no voice to speak her dread.

And in her lurid eyes there shone
The dying flame of life's desire,
Made mad because its hope was gone,
And kindled at the leaping fire
Of jealousy and fierce revenge,
And strength that could not change nor tire.

Shade of a shadow in the glass,
O set the crystal surface free!
Pass - as the fairer visions pass -
Nor ever more return, to be
The ghost of a distracted hour,
That heard me whisper: - 'I am she!'

Mary Elizabeth Coleridge (1861-1907)


鏡の向こう側

私が鏡台に向かい
普段着の像を呼び出した日のこと
以前ここに写っていた
楽しげな顔つきとは似ても似つかぬ――
女の諦めというより
がらがらした女の像。

女の髪は両脇ともに
可愛げのない顔から後退し
隠しても羨ましくもない
男には全く想像できないから。
なだめようもない嘆きの
刺々しいオーラである。

開いたままの唇― 不健康な
赤い線が二本離れて引かれ
なぜか知らぬが、無残な傷から
こっそり出血していた。
声もない悲哀でため息ももれず
恐怖を語る声もなかった。

充血した目にわずかに輝いたのは
衰えいく生への願望の炎
希望を失って乱れ
嫉妬と復讐の火が突然点火した――
衰えいく気力の炎――以前は充実していた。

こんな鏡台の「陰」を考えてみて!
ガラスの表面から自由に
可愛い像のように ― 通り抜け
二度と向こう側には戻らずに
落ち乱した時間の亡霊に収まり
私が「あの女は私!」と言うのを聞いたのよ。

メリー・エリザベス・コールリッジ(1861-1907)

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