ヘ短調作品34

ルブランの回想録の link 先はゲストブックを御覧ください。

ヘルツォーゲンベルク書簡集

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203.ブラームスからヘルツォーゲンベルクへ

[ウィーン、1887年4月]

親愛なる友へ

私はイタリア(1)に旅立ちます。五月の中旬からはトゥーンに滞在します。

私自身はそこでは作曲するつもりはないので、新曲はそちらに送り、見せてください。開いた窓を通して川のさざ波(2)と一緒に美しく響くことでしょう。

長くならなければ、一部始終をお話しするのですが、あなたが出すべきと考えた警告はフロイライン・シュピースに下りました。ハンスリック(3)は一撃を喰らわし、いつものように効き目はありました。

しかし私は所持品を荷造りしなければなりません。26日に出発しますので、手紙はまだここに届きます。テュンに着きましたら、夏の読み物の潤沢な支給に関してあなたのお情けにすがりたいと存じます。

あなたのJ.Br.より




(1)ブラームスのお供をしたのは、彼の出版者のフリッツ・ジムロックとジムロックが招待したテオドール・キルヒナーであった。ブラームスはビューローに書き送っている。「ジムロックがキルヒナーに約束の地を見せてあげようと思いついたのは嬉しいことです。でもこれは少なくとも20年は遅かったと思います。彼は座って食事をし、華麗なるゲバントハウス等のお話をするときが一番落ち着けるみたいです。」往路はヴェローナ、ヴィセンツァ、ヴェニス、ボローニャ、フィレンツェで、ピサ、ミラノ、サン・ゴタールを経由して、5月15日にはトゥーンに到着して夏休みに入った。

(2)ブラームスのトゥーン近くのホッフステッテン(Hofstetten)の夏の家は、アール川沿いにあり、川はそこで曲がって町に流れていた。ヴィクトール・フォン・ミラー(Viktor von Miller)編集のブラームス絵本の挿絵の25に、記念碑が張ってある家の写真がある。

(3)ハンスリックは Neue Frei Presse でこの歌手の様式上の欠陥に注意するよう警告を発した。彼女がこの間「東プロシアカタル」にかかっていたことは事実であり、彼女の声はかなりひどかった。

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202.ブラームスからエリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクへ

[ウィーン、1887年3月]

ああ、新聞は必要悪になってしまった。音楽のゴシップを読む習慣が根強くはびこってきたと思います。そうとすると、フリッチュの新聞は一番実用的で我慢できる――最善と呼ぶのは躊躇しますが――ものです。その他に関しては、Signale からクリサンダーに至るまで、躊躇することなく悪いと断定できます。

この乱暴な調子も不都合だとは思いません。読者に真剣に考えてもらい、注意と抗議を促すことになるでしょう。あなたはSignale とかもう少し覇気のある…のような軟弱な新聞はさわりもしないでしょう。

しょせんフリッチュは今日か明日の凡人を扱っていますから、彼に抗議する気にはなりません。クリサンダーには腹が立ったから抗議しかけました。モーツアルトの件を愛情も同情もなく書き立てては、事実を自分の先入観に合うよう歪曲している、そのやり方に我慢がならないのです。しかし、われわれは偉大なモーツアルトの扱いを黙認してきたし、クリサンダーはたしかに尊敬に値する男であり、彼を尊敬し続けてきたのです。

もう一度、彼と彼の新聞を尊敬するかどうかは友人フリッチュにはどうでもいいことなのです。

新聞屋というものは教区の牧師と同じだと言いたいのです。それでも抗議したいなら、なぜハインリッヒ擁護とフリッチュ罵倒を止めないのです。つぎにパリのならず者がベルリンに着たときにベルリンの新聞とベルリンの聴衆をご覧なさい。ハイゼやケラー(1)の受ける関心や注目をご覧なさい。フランスの作曲家が多少なりとも才能があれば、ベルリンでわたしの曲が一曲でも演奏されると思いますか。――等々。私はこれを認めるように忠告したいのです。フリッチュは品がよく、善意の人間であることを思うべきです。さらに音楽院を調べてみてご覧なさい。あなたは結局彼の正当な砲火にさらされることになるでしょう。

でももう私はこれ以上書く気になれません。他のことをもっと書いたはずです。

さいわい便箋が一杯になりました。大切な写真(2)を汚すわけにもいけません。

ではさようなら。――失礼します。

あなたのJ.Br.より







(1)パウル・ハイゼとゴットフリート・ケラーはブラームスの好きな詩人であった。

(2)便箋を飾るハンス・フォン・ビューローの肖像。

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201.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ

ベルリン、1887年3月1日

  親愛なる友へ

わたしはシューマン交響曲を感謝してお返しします。料金がかかり、あなたが迷惑に思われるといけないと考え、書籍郵便では送りませんでした。

 分厚い小包にたいするあなたの魅力的なお手紙で、わたしたちは大喜びしました。ハインリッヒにはプールラメリット(pour le merite )勲章よりもあなたの手紙の方が重大事だったようです。彼は心から感謝しています。彼の唯一の希望は、バイオリン・ソナタはよく聴いていただければ、それほどベルリン臭くないことを気付かれることです。まだご覧になっていない合唱のための三大作について、あなたは意見を言われないと思います。ああ、どうして時々会えないのでしょうか。ハインリッヒは切望していますし、彼には重要なことなのです。わたしたちと一緒だと楽しいはずです。あなたのお顔を拝見したときの喜びは見ればお分かりのはずです。おお、あのトリオ。ハ短調の楽章を天使さん(1)に書いてどんと送りました。アンダンテもです。お二人はピアノに向かい、美しい断章を弾くことでしょう。彼は幸運にもわが家でトリオを聴いていますから、学問的に講義されるはずです。ユトレヒトよりもここで会える人たちです…(2)

 ハウスマンがハインリッヒのソナタを16日に――信じられますか――わたしと演奏します。彼は批評家を招待しなかったものですから、わたしに勇気がでました。わたしたちはこの作品で意見が一致し、上手く演奏できるものです。わたしはあなたのソナタも弾いてみたいという秘かな願望を抱いております。このことは誰にも言ってありませんし、わたしの無礼を善意に喜んでくださると思っているからです。そして合唱曲(3)を同封してくださるようお願いしますね。

 わたしはあなたのプールラメリット勲章(4)の受章をお祝い申し上げなくてはなりません。真のところ、わたしはこんな場合に勲章にお祝いを言いたかったのです。勲章も一度はしかるべき人の所に行きたいと思っていたでしょうから。

 最後に、ハインリッヒの合唱曲をカバーに入れるときに他のものも入れても構わないことを申し添えます。わたしは存じていますが、あなたも合唱曲(5)を書かれたのでしょう。わたしたちのような恋人たちになぜ見せてくださらないのですか。わたしたちは待ちこがれています。

 優しくて良い人であってください。時々わたしたちのことを思ってください。――

非常に忠実なあなたのヘルツォーゲンベルク夫妻より







(1)フラウ・エンゲルマン。

(2)この削除された部分は、Musikalische Wochenblatt の煮え切らない、日和見的態度への激しく攻撃とブラームスの介入への要請からなっている。

(3)ヘルツォーゲンベルク作品52。

(4)ブラームスはこの栄誉を受けた。この勲章はフリードリッヒ大王以来のもので、滅多に「いい加減な」人物のところには行かなかった。

(5)「混声合唱のための5つの歌、ア・カペラ」1889年出版。

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200.ブラームスからエリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクへ

[ウィーン、1887年1月15日]

親愛なる友へ

私は愉快な夜と愉快な朝のことであなたに感謝するものです。一つはあなたの手紙があり、もう一つは同封物が多くて、あなたの目録と分け、次々にほどきました。あらゆる点で結構なものでした。

「夜の歌」(1)は私の耳にもビロードのように聞こえました。私はひそかに若い綺麗な女の子が一緒に四手(a quatre mains )で演奏してくれたらと思った次第です。私はこの曲が一番好きです。私はデュエットを一人で弾くので、女性の伴奏を望むことも必要に感じたのは始めてのことです。今のところバイオリン・ソナタには訴えるものがまったくありません。愛らしいベルヒテスガーデンの散歩道というよりはベルリンの街の臭いがします。

ところで、私は自分が物知りだと思っています。散歩していて調べを思い付き展開させます。ハインツの作品は他の誰よりも私自身を思い出させ、私自身の研究と創作の努力の情景と方法を思い起こさせます。

彼は知識と理解に実に優れております。それが彼の承認を(あなたの挿入も)大事にし、頼りにしている理由です。

彼の知識は私の知識より広く正確です。それを説明するのは容易です。私が彼を羨ましいと思うのは彼の教育者としての力量です。私たちは骨を折りながら真面目に同じ急な道を歩んできました。彼には同じ苦労を他人に味合わせないという役割があります。口ばかりで、悪い方法はベルリンに責任があるのです。現代の人々には夜が明けると思います。

他にもたくさん頂戴しながら、急ぎの「ありがとう」しかご返事できなくてすみません。見かけ以上に几帳面であると思っていただけることを希望します。――では失礼します。

あなたのJ.Br.より







(1)ヘルツォーゲンベルクの合唱曲「夜に」作品57の1曲。

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199.ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ

[ベルリン]1887年1月9日

 親愛なる友へ

あなたの室内楽の新作は妻のみならず私たち男にも――ヨアヒム、シュピッタ、ハウスマン、私――明らかに王者の贈り物でありました。いずれも目立ちながら素朴な観念から可能な限り明快に構築され、感情的品位において若く新鮮であり、その信じがたい簡潔さにおいて円熟し賢明であります。その結果は私の知るもっとも説得的な音楽になっており、形式の一般的傾向はつねに満足のいくものであると同時に驚異に充ちたものであります。

 私たちはチェロ・ソナタ(1)の味を知っております。そしてこのバイオリン・ソナタとトリオ(2)はこの新しい流れの完全な展開であります。誰も、あなたですら、この先何処へ行くか予想もできないでありましょう。どうか地平を切り開き、巨人たちを虜にしてください。小人は簡潔になろうとすれば、言いたいことを犠牲にせざるを得ません。私たちはアラビアン・ナイトの漁師(3)のような気がします。彼の小さな箱から巨大な魔神が飛び出してきます。違いは、私たちは箱の中身には驚かないのですが、閉じこめられていた箱の容量に驚くのであります。

 どの具体例を引用しましょうか。トリオの第二楽章は依然として最高に驚嘆すべきものであります。そこでまったく新しい鍵を打たれました。にもかかわらず、最初の数楽節でその性格は確立されており、もうなじみであるような気がします。短い楽章がスイと通り過ぎて、これをたちどころに把握できたのはこの明確な輪郭のせいであったことを認識しました。それから、バイオリン・ソナタのアンダンテです。私たちはたちまち恋に落ちました。最初は、愛らしいへ長調の貴婦人が憂いを帯びたノルウェーの道化(4)と婚約する思いつきは好きではありませんでした。でもこの結びつきは良かったわけです。非常に子宝に恵まれましたから。

 バイオリン・ソナタのフィナーレは私たちの好奇心をそそりました。ヨアヒムと私は、ホ長調ロ音のドミナント7度に達したところで、この曲がりくねったアラベスク(5)の後に、第二主題を期待しておりました。私たちは耳と口を開いて聴いていました。その瞬間が過ぎ、真に妙なる第一主題が再登場したのです。私たち衒学者は主要な調子のドミナントを阻害終止で取り戻すか、あらたに組み合わせるために完全に終止するか、少なくとも7Eのホ音で長いペダル音を導入しイ長調(6)に経過部をつくるでありましょう。ああそうです。私たちは衒学者です。一方はあなたが思い通りにでき、他方は私たちには手が届かないときには、あなたの決定にたいし私たちの学問は何の役に立つのでしょう。ソナタの第一楽章は私たちの好みの中でも特別の位置を占めます。変ハ短調(展開部の(7))に入るのどかな経過の効果は独創的で大変魅力的です。イ長調の第一主題の陽気な再登場もそうです。展開部から振り切って完全に自由になり、笑いながら、「おい相棒、もうすんだよ。一人きりで行かせてくれないか。」トリオに戻りますが、巧みに切られた7/4バー(8)は蠱惑的です。二つの合唱部が互いに休みながら、三人が役を交代し、知り尽くした曲をリハーサルし、記憶からキューを拾い上げているようです。ところで、あなたは人形に並々ならぬ関心を示しておられますが、思うようにさせています。あなたの巨大な蹄はフィナーレの冒頭に現れますと、人は運勢を見て、死体を数えます。すくなくとも妻の瀕死を、とくに16部音符の楽節(9)で確認しました。このpp 主題が弦の和音とピアノ(10)のはねる音を伴って実に見事です。主題を伴ったハ長調コーダがレガート(11)で演奏され、最後に途方もない歓喜、リズムが正しくないが、それはどうでも良い。それから、私は第一楽章の第二主題(12)を忘れるところでした。あなたがリストであれば、私はあなたの手にキスをしたところですが、そんなことは思いつきもしないでしょう。

 私のような年老いたおしゃべりの祝福と感謝に多少の意味がありましたならお受けいただくことを希望し、あわせて曲の包み紙が不適切(13)であったことをお詫びいたします。

いつまでも誠実なるあなたのヘルツォーゲンベルクより







(1)作品97。

(2)作品100と作品101。

(3)漁師ディアンダールの冒険。

(4)ヘルツォーゲンベルクは、ニ短調ヴィヴァーチェが3度ヘ長調のアンダンテ・トランキロと交替して楽章を閉じていることを言っている。その彩色においてグリークのバイオリン・ソナタ、作品8を連想させる。

(5)48ページ第18小節。

(6)8ページ第1小節

(9)8ページ最終小節

(10)ブラームスは3/4+2/4+2/4(アンダンテ・グラチオーソ)で分割した。

(11) 27ページ第15小節。

(12) 26ページ第11小節。

(13) 34ページ第6小節。

(14)35ページ、「元の速さで(tempo primo)」。

(15)4ページ第3小節。

(16)ヘルツォーゲンベルクの作品。

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